zizi さんの日記
2013
3月
1
(金)
06:29
本文
連載小説「水の空に眠る」の第十一話です。
バックナンバーにタイトルを付けて並べてみました。下記より御参照頂ければと思います。
第一話 寛太の出撃
第二話 出逢い
第三話 DogFight!
第四話 司令官の憂鬱、その過去
第五話 まこの外出
第六話 笹子
第七話 いさこの鼓
第八話 ぽとまんの傷跡
第九話 なぎこの回想夢
第十話 黒猫館の暑い日
クライマックス編予習コーナーはこちらからどうぞ。
本編より始まりますクライマックス編。大変申し訳無いのですが、これまでと違い場面も目まぐるしく変わり、テンポも早くなりますので今回より関連楽曲及び登場人物の紹介欄はコメント欄にて別記載する事に致します。それでは終戦直後の黒猫館から始まります〜。
今回のオープニングにこちら。クレパスと青い空/kankanさん
挿入歌にこちらをどうぞ。 キヲク memória/SCRAPSさん
----------------------------------------------------------------------
「水の空に眠る」
第十一話 終戦後
1945年8月15日
黒猫館
この日黒猫館では全員揃って玉音放送を聞いた。主が言っていた通り戦争は終わった。日本は負けたのだ。しかし、先週長崎市へ出かけたままの主は遂に戻って来る事は無かった。
「だめだね…すまない…残ってる診療所や怪我人が収容されている場所全部…散々捜したが、見つからない。しかしあれは酷い状態だ。ちょっとあれではおそらく…」
消息不明のじじを捜しに長崎市へ最後の頼みと出かけて行き、帰って来ていたぽとまんと樋渡の話を戦争が終わった喜びも湧かぬまま聞いて皆下を向いた。
「じじさん…やっぱりもう会えないのかな…」
なぎこは辛うじてそう呟いた。それまでは主を失った事に実感が湧かなかったのだが、ぽとまん達の言葉は現実を突きつけられた思いであり、皆言葉が無かった。
しかしいついまでもここにいる訳には行かない。もう戦争は終わったのだ。
ぽとまんは悲嘆に暮れる皆を励まし、帰郷の用意をするよう促した。一日かけて土蔵の中の物は大きくて運びきれない物を除き土瓶屋の倉庫へ移動させた。黒猫館の土蔵は外見が立派で、もしも米軍が進駐して来たら接収されるかもしれない、それにここには主が大金を隠し持っているという噂もあり、どさくさに紛れて火事場泥棒を働く輩が居るかもしれず、危険だとぽとまんは言う。中に残っている物はピアノと蓄音機程度になった。
「ここって、最初来た時何があるのか不思議だったよね...」なぎこはしみじみと言う。
「そうですよね、私もあの時散々廻りをうろちょろして怒られて...」
「私もよじ昇ろうとして落っこちて...叱られたけどその後お菓子頂いて...」
がらんとした土蔵の掃除をしながら、皆本当にここともお別れなんだな…との思いを噛み締めていた。
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1945年8月16日
奄美大島海辺の村
戦争は終わった。戦火に見舞われなかったこの村では負けた事に実感は沸かなかった。軍からの命令は軍務に関わる書類を全部燃やす事。村長は役場でその命令を遂行していた。北部の日本軍基地へは既に米軍機が降りて来たとの事だったがどうせここには大した物はない、連絡事項の記録やその程度だ。その作業もようやく終わり、家路を急いだ。
村長が帰る途中、驚いた事に家の近くに米軍のジープが止まっていた。不思議に思い家路を急ぐと銃を担いだ米軍人らしき男が近くの海岸に向かって行くのが見えた。いつも寛太が夕方怪我の回復の為歩いている場所だった。おかしい、米軍が進駐してくるには早すぎる…心配になり後を追い、海岸に向かうとやはりそこには寛太とシオンが居て、そのアメリカ兵が寛太に話しかける所だった。
「Hey!you!ちょっと聞きたいコトがある!」
カタコトであったが日本語は思いの他流暢であるようだった。村長は慌てて駆け寄ってシオンを庇うように立ちふさがる寛太を落ち着くよう促しアメリカ兵を家に案内すると寛太、シオンと共に応接した。
その米国軍人はスティーヴと名乗り、寛太達も自分の名前を名乗った。スティーヴはいずれ日本へ進駐する為に以前から日本語を勉強していたとの事だった。話によるとスティーヴは陸軍、兄は海軍の戦闘機のパイロットで、兄はここの近海で日本軍機に撃墜され最期を遂げ、その時の状況を知る者を捜しているとの事だった。米軍側の記録は混乱している上に戦果が大袈裟になっていて真実が見えないと嘆いている。彼は戦闘空域はこの海岸から見えたはずだと言いながら兄の乗機であったF-6Fの写真を見せた。その時、写真を見た寛太は思わず体がビクっと反応した。尾翼のマークに見覚えがある…濃紺の機体の垂直尾翼に白い欠けたリンゴのマーク…その姿は少しだけ記憶を呼び覚ました。
「兄は…リンゴを食べるとき最初の一口が大好きでいつも残りを私によこしたもんだった…」
スティーヴが差し出した写真を手にした寛太は思わず口に出た。
「俺は…これを見た事がある…」
予想外の答えにスティーヴは驚きを隠さず詰め寄った。
「what!?どこで?答えるんだ、カンタ!」
「ちょっと待ってくれ…俺は…」
動揺するシオン。寛太は少し目眩がして椅子に深々と座り込んだ。心配そうにシオンと村長、スティーヴが見守る中少し休む。しばらくして寛太が目を開くと少し落ち着きを取り戻していた。
「村長、自分はいつからここに居ましたっけ?」
「確か...四月上旬位だったか..」村長は躊躇しながら答えた。
「少し思い出した...俺は…零戦に乗ってここまで来たんだ…」
「寛太さん?」「思い出したのか?」
村長とシオンは同時に声を出した。思いがけない答えにスティーヴは俄然興味を示した。
「oh!ゼロ・ファイターか!この近海に…沖縄上陸の時期だな、カミカゼか?」
「そうだ…思い出して来た…俺は九州の基地を飛び立った…特攻隊として、そして…この付近の上空でF-6Fの迎撃を受けた…隊長が自ら囮になって、俺を助けてくれた…その隊長機を撃墜した機の背後に廻って撃ち落した…その機の尾翼にそのマークがあった…」
「You!Goddamn!」
スティーヴは話を聞くうちに寛太が兄を撃墜したと知り、思わず殴りつける。
「何するの!彼はまだ怪我人よ!」
思わず寛太を庇うシオン。
「sorry…あんたのせいじゃない…」
「Mrスティーヴ、気持ちは判るがもう戦争はもう終わったんだ…我々も随分ひどい目に遭っている...まあ、一杯どうだ?」
村長はこの近くには戦火が及ばなかったからか、米軍人にも寛容だった。泡盛を振る舞い、夕食を食って行けという。スティーヴは仲間と無線で連絡した後、案外大人しく従った。夕食を摂りながらそれぞれに互いの話をしているうちに、寛太は戦争の記憶を無くしていた事も手伝い、やはりパイロット同士であり打ち解けて行った。日本語が上手なのは実は子供の頃近所に住んでいた日系人の娘と仲良くなりたくて必死で勉強した事や、ここへ来た事は命令では無く兄の最期を知りたかった自分の勝手な行動である事を聞いた時には妙な親近感を覚えた。
明日は島の南部を廻り、北部の日本軍の基地を接収している仲間のいる場所へ戻るとの事でだった。村長はもしも野営するつもりなら家に泊まりに来てくれと言った。
「Thank you、明日また来るよ...」
スティーヴはそう言うとジープを走らせ村を後にした。
「寛太さん、おやすみなさい..」
「ああ、おやすみ...」
シオンは寛太が少し記憶を戻した事には少しも触れず、固い表情のまま自室に戻って行った。
------------------------------------------
1945年8月17日
海軍航空隊基地
「司令官殿、米軍はいつ頃来るのでしょうか?」
由布は武装解除の命令に従い、米軍の接収の前に武器や書類を焼却し、僅かに残っていた飛行機も連絡用の一式陸上攻撃機一機を残し解体処分した。隊員にも任務を解き必要最小限の人数を残し故郷へ帰した。しかし副官の問いへの答えは自分もまだはっきりと聞かされていない。
「いや、自分もよくわからないが来週位だろうか...しかし寂しくなったもんだな...」
人もまばらとなった基地の様子を眺めながら応えた。
「そうですね...しかしもうすぐ、全てが終わります」
「そうだな...厚木の様子はどうなってるんだ..」
「はっきりとは判りません...他の部隊に影響を与える前に収束すると良いのですが...」
海軍厚木航空隊では司令官が降伏反対のビラを撒き徹底抗戦の意思を表明しているらしい。しかし今となっては外に波及する前に収束させねばならん。この事よりも由布は自分が命令を下して命を落として行った若者達の顔を思い浮かべながら心を決めたように瞼を閉じた。
しかしこの頃。基地の一室では敗戦を受け容れる事が出来ず、武装解除に応じる素振りを見せながら密かに銃火器を温存し抗戦しようとする総勢10名程の一派がいた。小さな声で密談は夜更けまで続いていた。
「銃火器は隠している...後は...」
「司令官殿には御協力頂けねば少し...」
「黒猫館...」
「例の場所から軍資金を調達して...」
中には民間人を巻き込むのはやりすぎではないかという意見を述べる者もあった。しかし中の一人は強行に主張した。
「あそこの主は私腹を肥やしていやがる...勘弁ならん。今我々が頂戴しないでどうする」
その剣幕はやや私怨の調子を帯びていたがそれ以上異を唱える者も居なかった。
「それでは明日...」
「もしもの場合には...」
「一式陸攻を奪って厚木へ...」
この日、密かに進められている危険な計画に由布は気付かずに夜を過ごした。
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1945年8月17日
黒猫館
土蔵と本館の片付けも終わり、明日にはここを出る予定の夜、がらんとした館内でなぎこはまこといさこに話かけた。
「まこちゃん、いさこちゃん、今まで大変だったけれどいよいよお別れね...これからも元気でね。明日は樋渡さんが迎えに来てくれるんですって。それで、皆を家まで送ってくれるって言うんだけど...」
「でもどうやって実家まで?もう少し落ち着いてからの方が良くないですか?」まこが尋ねる。
「それが、ちょっとその時の状況によるんですって。何故か慌ただしくなるかも知れないって言うのよ..何があっても自分に任せて下さいって...」
「やっぱりもう危ないんやここ...ぽとまんさんと樋渡さんが話してたんやけど、あの土蔵狙ってる人がいるんやね...」
なぎこの答えを聞いたまこは不安な様子で独り言のように言った。
「ええ?どうして..あの中金目の物なんて何もないのにね...」
そう言いかけたいさこはなぎこが手に持っているハーモニカを見て心配そうな顔をした。
「なぎこさん…寛太さんの事…」
「あ、ごめんなさいね、どうしても思い出してしまって…でも大丈夫よ。私は大丈夫…そういえば二人とも関西だったよね?家は大丈夫なの?」
「私の家は、大丈夫なんだそうです。校長先生が教えてくれました…」
話題を転じたなぎこにいさこが応え、まこが続けた。
「私の家は…空襲で燃えちゃったんですけど、じじさんがお給金はずんでくれてたんで…帰ったら私も働いて何とかします..」
最近まこは無理して明るい表情を見せようとしている。それに気付いていたなぎこは少し前から不思議に思っていた事があり、まこに尋ねた。
「ねえ、まこちゃん。じじさんが居た頃、時々長い荷物持って一緒にどこか出かけてたよね?あれ、どこ行ってたの?」
「え...なぎこさん、それは...ごめんなさい...」
いつものまこらしくない歯切れの悪い答えだった。まこは身の廻りの物は僅かで、なぎこが見かけた長尺の荷物を今も用心深そうに傍に置いている。
「ねぇ、それってもしかして...」となぎこが言いかけた時、
「ねえ、何だかおなか空かない?」と緊張した雰囲気に耐えかねたようにいさこが口を挟んだ。しかしまこは厳しい声で応えた。
「じじさんもう居ないんやで。何もあるわけないやろ!」
「そんなつもりじゃ..」
びっくりして口をつぐむいさこ。なぎこは庇うように声をかけた。
「まこちゃん、どうしたの...」
「ごめん、なぎこさん...もう疲れたから寝るわ...」
なぎこはもうそれ以上は問わず、三人押し黙ったまま黒猫館最後の夜を過ごした。
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1945年8月17日
奄美大島海辺の村
この日夕方、再びスティーヴは現れた。一緒に廻っていた仲間は北部のキャンプ地に帰し、自分一人で来たと言い、村長はこの家は大丈夫だから家に泊って行けと言う。スティーヴは一旦外に出て仲間と無線連絡を取った後戻って来て日本語で「オセワ二ナリマス」と言った。
再び村長と寛太と夕食後にシオンを加えて話し込む。今日のスティーヴは少し酔った。この時寛太には出撃以前の事がまだ思い出せていなかった。
「カミカゼなどクレージーだ」
「そうかもしれん、しかし..」
「but.. 何だ?」
「俺たちには...」
「そんな作戦を命令されて平気で飛んだのか?」
夜も更けて来て話が戦術に及んだ時、スティーヴの言葉を寛太は素直に聞く事が出来なかった。
「クレージーか、そうかもしれん...」
「俺たちならあんな事はしない」
「しかし...」
しかしながら俺達には守りたい物があったのだ、と伝えたいのだが出撃以前の記憶を無くしている今の自分にはとても言葉にする事が出来なかった。寛太が苦しそうな表情を浮かべ黙ってしまい会話が途絶えた時、それまで困ったような表情で二人の話を黙って聞いていたシオンが急に切り出した。
「寛太さん…実は渡したいものがあります…」
一同何の事かわからずに唖然とした雰囲気の中シオンは一旦自室に行き、再び寛太達の居る部屋へ戻って来た。そしておずおずと両手の上に載せ寛太に差出した物があった。寛太は何かわからずにそれを手に取った...
それは「なぎこ」と名前が彫ってある櫛だった。※1
-続く-
----------------------------------------------------------------------
この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません。
今回のエンディングテーマはこちら。 「時間の花(jun&yuuichik校長ver.)」
※1第三話参照
あとがき
史実では玉音放送の録音盤を奪おうとした事件もありましが未遂に終わってます。混乱期にはやはり色んな事が起こっているんですね...さてさて実は残る所あと三話の予定となりました。次のお話は、遂に「なぎこの櫛」を手にした寛太は全てを取戻す...のか?そして三人娘と黒猫館の運命は?登場人物総出演の展開に!?それでは次回!
バックナンバーにタイトルを付けて並べてみました。下記より御参照頂ければと思います。
第一話 寛太の出撃
第二話 出逢い
第三話 DogFight!
第四話 司令官の憂鬱、その過去
第五話 まこの外出
第六話 笹子
第七話 いさこの鼓
第八話 ぽとまんの傷跡
第九話 なぎこの回想夢
第十話 黒猫館の暑い日
クライマックス編予習コーナーはこちらからどうぞ。
本編より始まりますクライマックス編。大変申し訳無いのですが、これまでと違い場面も目まぐるしく変わり、テンポも早くなりますので今回より関連楽曲及び登場人物の紹介欄はコメント欄にて別記載する事に致します。それでは終戦直後の黒猫館から始まります〜。
今回のオープニングにこちら。クレパスと青い空/kankanさん
挿入歌にこちらをどうぞ。 キヲク memória/SCRAPSさん
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「水の空に眠る」
第十一話 終戦後
1945年8月15日
黒猫館
この日黒猫館では全員揃って玉音放送を聞いた。主が言っていた通り戦争は終わった。日本は負けたのだ。しかし、先週長崎市へ出かけたままの主は遂に戻って来る事は無かった。
「だめだね…すまない…残ってる診療所や怪我人が収容されている場所全部…散々捜したが、見つからない。しかしあれは酷い状態だ。ちょっとあれではおそらく…」
消息不明のじじを捜しに長崎市へ最後の頼みと出かけて行き、帰って来ていたぽとまんと樋渡の話を戦争が終わった喜びも湧かぬまま聞いて皆下を向いた。
「じじさん…やっぱりもう会えないのかな…」
なぎこは辛うじてそう呟いた。それまでは主を失った事に実感が湧かなかったのだが、ぽとまん達の言葉は現実を突きつけられた思いであり、皆言葉が無かった。
しかしいついまでもここにいる訳には行かない。もう戦争は終わったのだ。
ぽとまんは悲嘆に暮れる皆を励まし、帰郷の用意をするよう促した。一日かけて土蔵の中の物は大きくて運びきれない物を除き土瓶屋の倉庫へ移動させた。黒猫館の土蔵は外見が立派で、もしも米軍が進駐して来たら接収されるかもしれない、それにここには主が大金を隠し持っているという噂もあり、どさくさに紛れて火事場泥棒を働く輩が居るかもしれず、危険だとぽとまんは言う。中に残っている物はピアノと蓄音機程度になった。
「ここって、最初来た時何があるのか不思議だったよね...」なぎこはしみじみと言う。
「そうですよね、私もあの時散々廻りをうろちょろして怒られて...」
「私もよじ昇ろうとして落っこちて...叱られたけどその後お菓子頂いて...」
がらんとした土蔵の掃除をしながら、皆本当にここともお別れなんだな…との思いを噛み締めていた。
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1945年8月16日
奄美大島海辺の村
戦争は終わった。戦火に見舞われなかったこの村では負けた事に実感は沸かなかった。軍からの命令は軍務に関わる書類を全部燃やす事。村長は役場でその命令を遂行していた。北部の日本軍基地へは既に米軍機が降りて来たとの事だったがどうせここには大した物はない、連絡事項の記録やその程度だ。その作業もようやく終わり、家路を急いだ。
村長が帰る途中、驚いた事に家の近くに米軍のジープが止まっていた。不思議に思い家路を急ぐと銃を担いだ米軍人らしき男が近くの海岸に向かって行くのが見えた。いつも寛太が夕方怪我の回復の為歩いている場所だった。おかしい、米軍が進駐してくるには早すぎる…心配になり後を追い、海岸に向かうとやはりそこには寛太とシオンが居て、そのアメリカ兵が寛太に話しかける所だった。
「Hey!you!ちょっと聞きたいコトがある!」
カタコトであったが日本語は思いの他流暢であるようだった。村長は慌てて駆け寄ってシオンを庇うように立ちふさがる寛太を落ち着くよう促しアメリカ兵を家に案内すると寛太、シオンと共に応接した。
その米国軍人はスティーヴと名乗り、寛太達も自分の名前を名乗った。スティーヴはいずれ日本へ進駐する為に以前から日本語を勉強していたとの事だった。話によるとスティーヴは陸軍、兄は海軍の戦闘機のパイロットで、兄はここの近海で日本軍機に撃墜され最期を遂げ、その時の状況を知る者を捜しているとの事だった。米軍側の記録は混乱している上に戦果が大袈裟になっていて真実が見えないと嘆いている。彼は戦闘空域はこの海岸から見えたはずだと言いながら兄の乗機であったF-6Fの写真を見せた。その時、写真を見た寛太は思わず体がビクっと反応した。尾翼のマークに見覚えがある…濃紺の機体の垂直尾翼に白い欠けたリンゴのマーク…その姿は少しだけ記憶を呼び覚ました。
「兄は…リンゴを食べるとき最初の一口が大好きでいつも残りを私によこしたもんだった…」
スティーヴが差し出した写真を手にした寛太は思わず口に出た。
「俺は…これを見た事がある…」
予想外の答えにスティーヴは驚きを隠さず詰め寄った。
「what!?どこで?答えるんだ、カンタ!」
「ちょっと待ってくれ…俺は…」
動揺するシオン。寛太は少し目眩がして椅子に深々と座り込んだ。心配そうにシオンと村長、スティーヴが見守る中少し休む。しばらくして寛太が目を開くと少し落ち着きを取り戻していた。
「村長、自分はいつからここに居ましたっけ?」
「確か...四月上旬位だったか..」村長は躊躇しながら答えた。
「少し思い出した...俺は…零戦に乗ってここまで来たんだ…」
「寛太さん?」「思い出したのか?」
村長とシオンは同時に声を出した。思いがけない答えにスティーヴは俄然興味を示した。
「oh!ゼロ・ファイターか!この近海に…沖縄上陸の時期だな、カミカゼか?」
「そうだ…思い出して来た…俺は九州の基地を飛び立った…特攻隊として、そして…この付近の上空でF-6Fの迎撃を受けた…隊長が自ら囮になって、俺を助けてくれた…その隊長機を撃墜した機の背後に廻って撃ち落した…その機の尾翼にそのマークがあった…」
「You!Goddamn!」
スティーヴは話を聞くうちに寛太が兄を撃墜したと知り、思わず殴りつける。
「何するの!彼はまだ怪我人よ!」
思わず寛太を庇うシオン。
「sorry…あんたのせいじゃない…」
「Mrスティーヴ、気持ちは判るがもう戦争はもう終わったんだ…我々も随分ひどい目に遭っている...まあ、一杯どうだ?」
村長はこの近くには戦火が及ばなかったからか、米軍人にも寛容だった。泡盛を振る舞い、夕食を食って行けという。スティーヴは仲間と無線で連絡した後、案外大人しく従った。夕食を摂りながらそれぞれに互いの話をしているうちに、寛太は戦争の記憶を無くしていた事も手伝い、やはりパイロット同士であり打ち解けて行った。日本語が上手なのは実は子供の頃近所に住んでいた日系人の娘と仲良くなりたくて必死で勉強した事や、ここへ来た事は命令では無く兄の最期を知りたかった自分の勝手な行動である事を聞いた時には妙な親近感を覚えた。
明日は島の南部を廻り、北部の日本軍の基地を接収している仲間のいる場所へ戻るとの事でだった。村長はもしも野営するつもりなら家に泊まりに来てくれと言った。
「Thank you、明日また来るよ...」
スティーヴはそう言うとジープを走らせ村を後にした。
「寛太さん、おやすみなさい..」
「ああ、おやすみ...」
シオンは寛太が少し記憶を戻した事には少しも触れず、固い表情のまま自室に戻って行った。
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1945年8月17日
海軍航空隊基地
「司令官殿、米軍はいつ頃来るのでしょうか?」
由布は武装解除の命令に従い、米軍の接収の前に武器や書類を焼却し、僅かに残っていた飛行機も連絡用の一式陸上攻撃機一機を残し解体処分した。隊員にも任務を解き必要最小限の人数を残し故郷へ帰した。しかし副官の問いへの答えは自分もまだはっきりと聞かされていない。
「いや、自分もよくわからないが来週位だろうか...しかし寂しくなったもんだな...」
人もまばらとなった基地の様子を眺めながら応えた。
「そうですね...しかしもうすぐ、全てが終わります」
「そうだな...厚木の様子はどうなってるんだ..」
「はっきりとは判りません...他の部隊に影響を与える前に収束すると良いのですが...」
海軍厚木航空隊では司令官が降伏反対のビラを撒き徹底抗戦の意思を表明しているらしい。しかし今となっては外に波及する前に収束させねばならん。この事よりも由布は自分が命令を下して命を落として行った若者達の顔を思い浮かべながら心を決めたように瞼を閉じた。
しかしこの頃。基地の一室では敗戦を受け容れる事が出来ず、武装解除に応じる素振りを見せながら密かに銃火器を温存し抗戦しようとする総勢10名程の一派がいた。小さな声で密談は夜更けまで続いていた。
「銃火器は隠している...後は...」
「司令官殿には御協力頂けねば少し...」
「黒猫館...」
「例の場所から軍資金を調達して...」
中には民間人を巻き込むのはやりすぎではないかという意見を述べる者もあった。しかし中の一人は強行に主張した。
「あそこの主は私腹を肥やしていやがる...勘弁ならん。今我々が頂戴しないでどうする」
その剣幕はやや私怨の調子を帯びていたがそれ以上異を唱える者も居なかった。
「それでは明日...」
「もしもの場合には...」
「一式陸攻を奪って厚木へ...」
この日、密かに進められている危険な計画に由布は気付かずに夜を過ごした。
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1945年8月17日
黒猫館
土蔵と本館の片付けも終わり、明日にはここを出る予定の夜、がらんとした館内でなぎこはまこといさこに話かけた。
「まこちゃん、いさこちゃん、今まで大変だったけれどいよいよお別れね...これからも元気でね。明日は樋渡さんが迎えに来てくれるんですって。それで、皆を家まで送ってくれるって言うんだけど...」
「でもどうやって実家まで?もう少し落ち着いてからの方が良くないですか?」まこが尋ねる。
「それが、ちょっとその時の状況によるんですって。何故か慌ただしくなるかも知れないって言うのよ..何があっても自分に任せて下さいって...」
「やっぱりもう危ないんやここ...ぽとまんさんと樋渡さんが話してたんやけど、あの土蔵狙ってる人がいるんやね...」
なぎこの答えを聞いたまこは不安な様子で独り言のように言った。
「ええ?どうして..あの中金目の物なんて何もないのにね...」
そう言いかけたいさこはなぎこが手に持っているハーモニカを見て心配そうな顔をした。
「なぎこさん…寛太さんの事…」
「あ、ごめんなさいね、どうしても思い出してしまって…でも大丈夫よ。私は大丈夫…そういえば二人とも関西だったよね?家は大丈夫なの?」
「私の家は、大丈夫なんだそうです。校長先生が教えてくれました…」
話題を転じたなぎこにいさこが応え、まこが続けた。
「私の家は…空襲で燃えちゃったんですけど、じじさんがお給金はずんでくれてたんで…帰ったら私も働いて何とかします..」
最近まこは無理して明るい表情を見せようとしている。それに気付いていたなぎこは少し前から不思議に思っていた事があり、まこに尋ねた。
「ねえ、まこちゃん。じじさんが居た頃、時々長い荷物持って一緒にどこか出かけてたよね?あれ、どこ行ってたの?」
「え...なぎこさん、それは...ごめんなさい...」
いつものまこらしくない歯切れの悪い答えだった。まこは身の廻りの物は僅かで、なぎこが見かけた長尺の荷物を今も用心深そうに傍に置いている。
「ねぇ、それってもしかして...」となぎこが言いかけた時、
「ねえ、何だかおなか空かない?」と緊張した雰囲気に耐えかねたようにいさこが口を挟んだ。しかしまこは厳しい声で応えた。
「じじさんもう居ないんやで。何もあるわけないやろ!」
「そんなつもりじゃ..」
びっくりして口をつぐむいさこ。なぎこは庇うように声をかけた。
「まこちゃん、どうしたの...」
「ごめん、なぎこさん...もう疲れたから寝るわ...」
なぎこはもうそれ以上は問わず、三人押し黙ったまま黒猫館最後の夜を過ごした。
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1945年8月17日
奄美大島海辺の村
この日夕方、再びスティーヴは現れた。一緒に廻っていた仲間は北部のキャンプ地に帰し、自分一人で来たと言い、村長はこの家は大丈夫だから家に泊って行けと言う。スティーヴは一旦外に出て仲間と無線連絡を取った後戻って来て日本語で「オセワ二ナリマス」と言った。
再び村長と寛太と夕食後にシオンを加えて話し込む。今日のスティーヴは少し酔った。この時寛太には出撃以前の事がまだ思い出せていなかった。
「カミカゼなどクレージーだ」
「そうかもしれん、しかし..」
「but.. 何だ?」
「俺たちには...」
「そんな作戦を命令されて平気で飛んだのか?」
夜も更けて来て話が戦術に及んだ時、スティーヴの言葉を寛太は素直に聞く事が出来なかった。
「クレージーか、そうかもしれん...」
「俺たちならあんな事はしない」
「しかし...」
しかしながら俺達には守りたい物があったのだ、と伝えたいのだが出撃以前の記憶を無くしている今の自分にはとても言葉にする事が出来なかった。寛太が苦しそうな表情を浮かべ黙ってしまい会話が途絶えた時、それまで困ったような表情で二人の話を黙って聞いていたシオンが急に切り出した。
「寛太さん…実は渡したいものがあります…」
一同何の事かわからずに唖然とした雰囲気の中シオンは一旦自室に行き、再び寛太達の居る部屋へ戻って来た。そしておずおずと両手の上に載せ寛太に差出した物があった。寛太は何かわからずにそれを手に取った...
それは「なぎこ」と名前が彫ってある櫛だった。※1
-続く-
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この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません。
今回のエンディングテーマはこちら。 「時間の花(jun&yuuichik校長ver.)」
※1第三話参照
あとがき
史実では玉音放送の録音盤を奪おうとした事件もありましが未遂に終わってます。混乱期にはやはり色んな事が起こっているんですね...さてさて実は残る所あと三話の予定となりました。次のお話は、遂に「なぎこの櫛」を手にした寛太は全てを取戻す...のか?そして三人娘と黒猫館の運命は?登場人物総出演の展開に!?それでは次回!
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投稿者 | スレッド |
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zizi | 投稿日時: 2013-3-13 20:57 更新日時: 2013-3-13 20:58 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
鈴木の彼女、その3 「これは...」
「...予約しています...」 少し震え気味の声だった。監督は少し考えてから口を開いた。 「だったらここに行けばいい」 「え..?」 監督は驚く彼女を尻目にホテルの名前とルームナンバーをメモ帳に走り書きし、ページを破って彼女に渡した。 「え?これは...」 「鈴木が居るホテルとルームナンバーだ。ちょっと今クライマックス編に突入して、彼に脚本上げるの缶詰で手伝ってもらってる。スケジュールがかなりタイトでね。」 「は。そうなんですか?」 「ええ、実はそうなんですよ、貴方にも連絡してなかったんですね...すみませんね、彼にばかり。ここぞという所で頼りになるのはやはり彼しか居ません。だから」 「なんだ...そうだったんですね...てっきりまた何か監督の逆鱗に触れてクビになったんだとばかり...」 「ははは...私は少し偏屈で少し変態ぽいし人間としてはクズですからね」 「クスクス...ホントですね...」 「え?ホント?」 「あっ、すみません、そういう意味じゃ」 それからしばらく食事をしながら談笑した。鈴木とは学生時代に演劇部で知り合った事や、監督のスタジオでの裏話などひとしきり話終えた後、監督は彼女に早く鈴木の所へ行くよう促した。 「監督、すみませんそれじゃ、お先に失礼いたしますね、あ、御代は私が払いますから」 「何言ってんの。若いお嬢さんとお話出来て楽しかったから...私に奢らせて下さい。心配おかけしましたから」 「でも今回私からお誘いしたから...」 「あ、ほら、タクシーが待ってますよ。早くお行きなさい。」 「監督、本当にすみません...どうもありがとうございました。それではここで失礼致します...」 何度もこちらに向かって頭を下げる彼女を見送ってから、ちょっと良い気分でウエイターを呼び清算しようとした。 「お会計の方は、12万6千円でございます」 「えええーーーーー!!!そんなバカな!!!」 「ええ、あのヴィンテージワインは11万4千円の品物でしたので..流石に監督はお目が高い....」 薄い財布を握りしめ、途方に暮れるziziであった.... 完 |
zizi | 投稿日時: 2013-3-12 20:17 更新日時: 2013-3-12 20:19 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
鈴木の彼女、その2 彼女は黙って先導し、予約していたらしいテーブルに案内されると下を向いて黙っていたが、ウエイターに薦められるまま二人ともよくわからずに注文したワインが運ばれ、少し口にするとおずおずと口を開いた。
「監督、鈴木を元に戻してやって下さい...彼、アパートに戻ってないんです...最後に会った時は深刻な顔して何も喋らなくって...」 「え?、そうなの...」 「またクビにされたんですよね...行き先も教えてくれずに居なくなって、連絡も取れなくなって...」 彼女は少し思い詰めているような感じだった。余程鈴木の事が心配なのだろう。 「あの人...監督の事尊敬してました。少し偏屈で少し変態ぽいし人間としてはクズだけどあの妄想癖はマネ出来ないって...」 「それ...もしかして褒められてるのかな?」 監督は少しおどけた調子で言ったが彼女は笑わなかった。 「彼は映像作品に携わる事が本当に好きなんです...だから御願いです...彼をもう一度助監督として使って頂けませんか...」 「え...いや、貴方そんな事...」 「ええ、分かってます。私も...こんな事を御願いするからには...」 彼女は決心したように少し震える手である物をテーブルの上に置いた。このホテルのダブルの部屋の鍵だった。若い女性にホテルの鍵を渡された監督は動悸が早くなった事を自覚した... 続く |
zizi | 投稿日時: 2013-3-11 20:55 更新日時: 2013-3-11 20:55 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
鈴木の彼女、その1 「zizi監督...ですよね...」
撮影が終え、スタジオを出たzizi監督は女性に呼び止められた。 「え?そうですが、あなたは...」 「あの...鈴木の...」 そういえば時々スタジオの外で待っているのを見かけた事がある、鈴木の地味な彼女だった。 「ああ、そういえば。お見かけした事ありましたね」 「はい...すみません、ちょっとお話したい事があるのですが、御時間頂けませんか...」 「え...ええ、少しなら」 いつもの地味な服では無く、いかにも一生懸命頑張って来た、という感じの垢抜けた綺麗な格好をしている。彼女は通りに出るとタクシーを呼び止め、監督に乗るように促し、運転手に行き先を告げた。沈黙したままの二人が乗るタクシーの到着した先はとあるホテルのエントランスだった。 「レストランを予約しています」という彼女の言葉をいつもの眼鏡をコンタクトに変えたらしい彼女は案外綺麗だったんだな、と思いながら聞いた監督は黙ってタクシーを降りた。 続く |
zizi | 投稿日時: 2013-3-10 13:02 更新日時: 2013-3-10 13:02 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
キム教授いつもありがとうございます! キム「言い忘れておりましたが今回も例の件終了致しました」
zizi「いえ。キム教授、本当にいつもありがとうございます」 キム「しかし今回焦らされ感が凄いですね」 zizi「ふふふ。... 次回なんて、あ、人に聞かれるとマズい...ちょっと耳を」 キム「わわっ!」 zizi「え。まだ何も言ってないのに」 キム「息吹きかけるのヤメて下さい。」 zizi「あ。すみません、つい」 キム「ところで最近助監督の鈴木さんいませんね」 zizi「ああ...ちょっと彼は...」 続く |
kimux | 投稿日時: 2013-3-10 0:39 更新日時: 2013-3-10 0:39 |
登録日: 2004-2-11 居住地: 地球 投稿数: 6943 |
Re: zizi通信 14「水の空に眠る」第十一話 (あれれ?書き込んだつもりだったのに無いぞ?まあいいか)
ということで、第十一話までを収録した電子書籍を作って、 GBUC 共有フォルダに入れておきました。 しかし、今回の「続く」は、じらされ感がすごかったです。 次回が楽しみ! |
zizi | 投稿日時: 2013-3-3 19:34 更新日時: 2013-3-3 19:34 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re[2]: 由布司令官殿へ おお、風邪でしたか、お互いトシなのであまり無理なさらぬよう(笑)
そうですね、早いもので既に十一話を終えました。 >最初は「10月頃」、次には「年明けには完結編」。 そういえば最初の頃そんな事言ってたような気がします(何と無責任な)。 最初期の構想ではA4用紙3〜4枚で終わるつもりだったのですが... 群像編など何でかわからないんですけどそれぞれのエピソードが 次から次へと湧いて来てしまいまして...書いてるうちに段々興がノって 来てしまいましてこんなになってしまいました(爆) これも皆様とやりとりしてるウチに妄想力を刺激されてここまで来たのでした。 と、あまりここでこんな事書いたら最後に書く事無くなってしまいますので 今はこの辺りにしておきますね。 人生多層的、そうですね。ごく普通の生活を送っているようでも 一人一人何かしら背負って生きているのだと思います。 いよいよ大きく物語も動き出しました。こうなったら もう最後まで突っ走る予定です。由布司令官はどんなメに合うのか? 残り少なくなって参りましたが、また宜しく御願い致します! |
yuuichik | 投稿日時: 2013-3-3 10:49 更新日時: 2013-3-3 10:49 |
校長 登録日: 2004-2-16 居住地: 投稿数: 2404 |
Re: zizi通信 14「水の空に眠る」第十一話 先日まで風邪でダウンしていましたが、やっと復活しました♪
小説「水の空に眠る」も、もう第十一話なんですね。。。 去年8月に第一話を発表した時には、 まさか「ここまで」の超大作になるとは思っていませんでした。 何度かPMでやり取りさせてもらっていた時も、 最初は「10月頃」、次には「年明けには完結編」。 そんな当初の「予定」も、だんだんと変わっていったこと。 これって、歴代のアート&文芸作品ではよくあるエピソードですよね。 きっとzizi監督のこの作品も、 今は「ただ中」に居るから十分には分からないながらも、 数年して思い返すと、「凄い仕事」に着手していたことに きっと気づくことだろうって、思います。。。 さて今回は、ついに寛太側に重要な展開が訪れましたね。 「記憶を回復すること」。 ついに日本へと再びつながっていく糸口が見えはじめましたね! そこに「リンゴのスティーヴ」が関係しているとは! さすがGBUCがらみ(笑) とは言え、記憶を失っていた間も寛太は生活していた。 そこで過ごした日々、シオンとの間で芽生えた感情。 それもまた、寛太の大切な一部となっているはず。 このあたりのことも含め、 小説とは言え、人生多層的ですよね。 今回の挿入歌に、SCRAPSさんの「キヲク」や、 junさんと私の「時間の花」を選んでくれたことも、 意味深いですね。 次回は、迫り来る「危険な計画」…。 由布はどうなるのか!?w 期待させますね(笑) |
zizi | 投稿日時: 2013-3-2 23:31 更新日時: 2013-3-2 23:32 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re[2]: 須倉歩氏へ そうなんですよ...いよいよ残り三話(の予定)となってしまいました。今まで群像編では本題のストーリー展開がゆっくりしていた(と言いますか全然進んでいない)のでこれから一気に進行してあっと言う間に...な展開になるような気がします。
そういえば全く関係無い話なのですが... >ところで、清少納言の実名は諾子(なぎこ)との説があります。 とのコメントを第三話で頂いていたのですが、その後ふとした事からこの本を読んでしまいました。 いや実に面白かったです。清少納言好きになりましたね(笑)ちなみに著者の方の御名前も海野「凪子」さんって。 今まで清少納言と言えば「春はあけぼの〜」しか知らなくて、何となくほんわかした感じの方かとイメージしてましたがとんだ失礼をば(爆)。清少納言ってめちゃくちゃキャリアウーマンで言いたい事バッサリ言うサバサバした方だったのですね。しかしこの本読んだ限りでは千年の昔から人ってやっぱり本質的には変わってないんだなぁ...と。 全然関係無い話すみません。残り少なくなってまいりましたがまた宜しく御願いします! |
SCRAPS | 投稿日時: 2013-3-1 22:24 更新日時: 2013-3-1 22:24 |
ターミネーター 登録日: 2007-1-27 居住地: 宮崎市 投稿数: 1424 |
Re: zizi通信 14「水の空に眠る」第十一話 なんとなんと、残すところあとたった3話になりましたか。
いよいよ色々と動き始めましたね。 クライマックス、どうなるんでしょうか。 それにしても話が進むにつれて、文章がこなれてきてソレらしさが増して来ましたよね。気が早い話ですが、これはもう、次回作も楽しみにしております。(笑) スティーヴと兄の飛行機のリンゴマークのエピソードなど、GBUCならではで、思わずクスリとしてしまいました。こういうネタを挟んでくるところもまた楽しいですね。 そうそう、そして今回の挿入歌に拙の曲をチョイスして頂きまして、どうもありがとうございます。ちょうど寛太の失われた記憶が思い出されつつある場面でしたね。 あの歌は実は思い出そうとして思い出せず結局日が暮れたっていう、ロマンも風情も何もない歌だったのですけどもwww |
zizi | 投稿日時: 2013-3-1 6:29 更新日時: 2013-3-1 6:29 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
関連楽曲、登場人物等 関連楽曲です。
「水の空に眠る」/yuuichikさん[/url] 「君十七の月ほの暗く」/yuuichikさんの外伝曲 「AVANT LE LEVER DU SOLEIL」/SCRAPSさん 「彼方から」/ziziの外伝曲 かんなぎの空 〜「水の空に眠る」main title/zizi 予告編【Youtube 高解像度版】 主な登場人物(今回登場しない方含む) 簡寛太 海軍航空隊に所属する特攻隊員 なぎこ 航空隊のある町の花街にいた美しい娘「なぎこ」 由布 一 寛太の基地の司令官 ぽとまん「黒猫館」常連客で萬商店「土瓶屋」の主 いさこ なぎこと同じ店で働く娘。声の美しい、恥ずかしがり屋。 まこ なぎこと同じ店で働く娘。おきゃんで元気、だけど寂しがり屋。 じじ 彼女たちを束ねる怪しい料亭「黒猫館」のあるじ。 樋渡干記 大陸帰りの従軍記者。過去経歴に謎の部分有り。 シオン 寛太が漂着した村の美しい娘 笹子 古ぼけた写真に写っていた女性。じじ昔の知人であるらしい。 須倉 歩 気の荒い整備兵 これまでコメント欄での裏話等に登場している本編登場人物以外の方々です。 戸田:芸能事務所NAK社所属、寛太のマネージャーだが... オマタ:芸能事務所NAK社所属、戸田に代わり寛太のマネージャーとなる。 鈴木:監督助手その1、唐揚弁当事件で一旦クビになる。 佐藤:監督助手その2、会議で監督を援護せず不興を買う。 鈴木の彼女:地味な女子。 ルカ:ziziの仕事用邸宅に居るボカロちゃん。アンドロイドなのか? 九九社長:大スポンサー、りんご電算機株式会社社長。愛車はミ○・イース。 キム教授:時代考証担当顧問 樋渡満記:樋渡干記の兄 三好:須倉氏の美人マネージャー nak社長:愛車はリンカーンコンチネンタル |
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