
喜びと悲しみについて ハリール・ジブラーン(Kahlil Gibran 1883-1931)作 yuuichik 訳 そして一人の女が言った。 喜びと悲しみについて、お話しください。 彼は答えた。 喜びとは悲しみが仮面を取ったもの。 笑いさざめくその泉は、 かつて涙でしばしば満たされていたもの。 喜びと悲しみとはそういうもの。 悲しみがあなたの存在を深くえぐればえぐるほど、 その深みを満たすあなたの喜びは大きい。 うまい葡萄酒を受ける杯は、 焼物師の窯で焼きさいなまれてできたもの。 心を慰めるリュートも、 元は小刀でくり抜かれた木からできたもの。 喜びにあふれている時、 その心の奥深くを見つめれば、 あなたに喜びを与えたものが、 かつて悲しみを与えたものと同じものと気づくだろう。 悲しみに沈んでいる時、 その心を再び見つめれば、 かつて喜びを与えたもののために嘆いているのを知るだろう。 あなたがたの中には、 「喜びは悲しみよりも大きい」と言う人がいる。 あるいはまた、 「いや悲しみの方が大きい」と言う人もいる。 しかし私はこう言おう。 喜びと悲しみは分け隔てることのできないもの。 両方とも連れ添ってやって来る。 だから忘れてはならない。 一人があなたと共に食卓に着いている時、 もう一人はあなたの寝床でまどろんでいることを。 あなたは秤のようなもの。 喜びと悲しみの間に懸かっていて、 空(から)の時だけ釣り合って止まっている。 宝の持ち主がやってきて、 彼自身の金と銀を量ろうとして、 あなたを持ち上げる時、 必ずあなたの喜びと悲しみは、 あるいは高まり、あるいは低くなる。
