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zizi さんの日記

 
2012
8月 24
(金)
05:55
zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
本文
連載小説「水の空に眠る」の第三話です。
初めての方若しくは過去の話をお忘れの方へ 説明すると長くなりますので
経緯及びバックナンバーは下記よりお読み頂ければと思います(スミマセン...)。

第一話

第二話

主な登場人物(今回登場しない方含む)
簡寛太 海軍航空隊に所属する特攻隊員
なぎこ 航空隊のある町の花街にいた美しい娘「なぎこ」
由布 一 寛太の基地の司令官
ぽとまん「黒猫館」常連客で萬商店「土瓶屋」の主
いさこ なぎこと同じ店で働く娘。声の美しい、恥ずかしがり屋。
まこ なぎこと同じ店で働く娘。おきゃんで元気、だけど寂しがり屋。
じじ 彼女たちを束ねる怪しい料亭「黒猫館」のあるじ。

第三話は海軍基地を出撃し、なぎこのいる街に別れを告げ、沖縄方面へ飛び立って
行った後の寛太のお話です...

今回のオープニングテーマにこちらをどうぞ...
kankanさん&potmanさんのコラボ曲「God Of Thunder」



------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

「水の空に眠る」

第三話 DogFight!

1945年4月 東シナ海上空


零式艦上戦闘機。寛太も乗って出撃したその機体は、太平洋戦争劈頭、連合軍を震撼させた。
圧倒的なキルレシオを誇り、1941年の時点では世界最高の性能を持つ航空機であった。
しかしアリューシャン列島において不時着した機体を確保した米国は徹底的に研究、
新たな機体と個人技でなく、編隊による空中戦で対抗する戦術を開発する。そして1945年の今、
空戦において昔の武士道のような一対一の格闘戦は既に過去の物となっていた。先に敵機を発見し、
有利な位置を占有した方が勝利する。



最期の連合艦隊の姿を眼下に追い越した後、寛太の隊は巡航速度で南下を続けていた。
発動機の調子もそう悪くない。このままなら順調に辿り着けるか...
しかしそろそろ艦載機の行動圏内だ...と思いかけたその時。

突然寛太の先を行く編隊長機の風防から手信号が伸びた。

「敵機だ!上空か?」

慌てて見上げると太陽をバックに三個のずんぐりした小さな影がこちらに向けて
急降下して来るのが見えた。と思う間もなく、機関銃弾が通過する衝撃を感じる。

「しまった!グラマンだ」

敵の一撃が僅かに逸れたのを見た隊長機が逃れるため降下する。寛太はそれに続こうと
したのだが遅れてしまう。すぐに機が重い理由に気付き、一瞬躊躇した後爆弾を投棄し
後に続くが距離が開く。その間に割って入った敵機は隊長機の後方に廻り一斉掃射を浴びせた。
先を行く編隊長機が炎に包まれる。

「くそっ!」

叫びながら寛太は咄嗟にトリガーを引く。まだ遠くて当たらないのは認識していたが、
敵機も動揺し進路を変えた。すかさず後方からすがり付き、巴戦に持ち込もうとする。
高度が下がり過ぎていたため急降下して増速し逃げる事は無理だった。隊長はこの時のために
自ら犠牲になり高度を下げたのかと今更ながら気付いた寛太の眼前、逃げ場を失った敵機
がたまらず宙返りを打った。

「しめた!乗って来たッスね!旋回性能だったら今でも絶対負けないッスよ」

と心の中で叫ぶ寛太。三転するうちに何とか敵機後方へ廻り込む事が出来た。衝突するか
と思える程照準器の中で大きくなった敵機に短くトリガーを引く。20mmの機関砲弾は
頑丈なF-6Fが相手といえども照準が正確であれば威力を発揮した。敵機主翼の付け根
辺りに命中、バランスを崩して海中へ落下して行く。しかしほっとする間も無く、今度は
後方から銃撃を浴びた。無線で連絡を取り合う敵機はすぐ後ろまで迫って来ていたのだが
それに気を配る余裕は流石に無かった。

「そうか...敵さんは連携を取って攻撃して来るんだったな…」

そんな事を感じる間も無く機体に衝撃を感じる。発動機から黒煙が上がり、主翼にも損傷を
受けたようだ。一撃での致命傷は免れたものの被弾した機体は思うように動いてはくれない。
どこかに傷を負ったらしい、出血したようだ…見事な一撃離脱で離れて行く敵機を横目に
そう感じながら、海面に向けて落下する機体を寛太は必死で立て直そうとしていた。

「上がれ!こんな所で死んじまっちゃたまんねぇッスよ!」

叫びながら操縦桿を必死で引き上げる。しかし高度計の指針は無情にも海面からの高度が
ゼロに近くなる事実を示していた。ありとあらゆる操作を試みる。が、黒煙を上げる
発動機は出力が上がらず、穴が開いた主翼はどう足掻いても浮力を得る事が出来ない。
振動が大きくなり、目の前に海面が迫ってくる。せめて着水する角度を浅くしようと
訓練された手足が勝手に動く。

「ああ、何でこんな事になっちまったんだ…」

そして遂に海面へ激突するその刹那、思い浮かんだのは両親となぎこの面影...

必死の操作の甲斐あって海面への墜落の角度は浅かった。しかし激しい衝撃に襲われ頭部
を強打、視界が赤く染まる。バラバラになった機体が沈む前にと最後の力を振り絞って風
防を開く、と同時に海水がなだれ込んで来る。辛うじて機外へ脱出するが機体が沈む渦に
巻き込まれ身体が沈んでしまう。血の気が引き思うように体が動かない…

なぎこさんから昨夜貰った櫛はどこに入れてたっけ...
あのハーモニカ、持っていてくれるだろうか...
ああ、あの歌をもう一度歌いたい...
寛太は意識が薄れ行くのを感じ、沈みゆく海の中から空を見上げた。


「なぎこ」の居た場所から遠く離れた南の海で「寛太」の目が見た「水の空」...


続く。

----------------------------------------------------------------

この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のもの
とは一切関係ありません...
今回のエンディングテーマはこちら。
kankanさん&キューピーさんのコラボ曲「「Tale Of The Woods (with QP)」です...

CM 速報!Asakoさん出演決定
前回主演の簡寛太さんへのインタビュアを勤めて頂きました美人歌手アサコさんが
数回後のエピソードで「笹子」を演じる事になりした。役柄は...どうやら「じじ」の
過去と何らかの繋がりがあるらしいですが例によって詳細は未定です(笑)

あとがき

またまた長い文章申し訳ありません。
寛太は最後に一矢報いた後どうなってしまうのか...その辺りも交えつつ、
次回より少し本筋を外れるかもしれませんが、「黒猫館群像」を描いてみたく思います。
今予定してるのは...司令官の苦悩を描いた「メランコリックな校長先生」
黒猫館をプチ家出した「まこ」の「マコちゃん危機一髪」、主の過去を暴く
「じじの秘密、笹子との間に一体何が!?」等です。とはいえ予定は未定ですので
どうなるか分かりません...(何だよそれ)
最後までお読み頂き誠にありがとうございます。

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投稿者 スレッド
zizi
投稿日時: 2012-9-2 7:34  更新日時: 2012-9-3 12:30
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: yuuichikさま
「それじゃ、ヨロチク。」

やれやれ....今週は散々だった...
戸田ちゃんは今度家に来てって...あれ後日でって意味だったのに急に家に来るし
女優陣には総スカンを喰うし...原案者の校長先生からはカラカワれちゃうし...
いいや。こんな時は家族が一番。週末はようやく家に帰れる...

そこは戸田を案内した仕事用の邸宅ではなく、愛する妻と息子二人が住む
ごく普通の公団住宅であった。階段を上がりかけたその時、着信のアラームが鳴った、

げ。く、くっ、くっくっ、九九社長?

大スポンサーのりんご電算機工業株式会社の社長様直々に電話かけてくるなんて...

「はい。ziziでございます」
「九九だ。少し話しがある。近くのコンビニまで来てくれ。」
「はいはいはいはいこれからスグに参りますっ」ピッ。

もしかして...制作裏話の方が本編より長いから怒られるのか...
今日は家族には逢えないかもしれない...そう覚悟した。
慌てて取って返って駅傍のコンビニに行く。店内には既に九九社長の姿があった。
社長は悠然と「週刊○スト」誌を立ち読みしている。トレードマークの眼鏡を
キラリと光らせながら、ページを垂直に立てて中を覗くような仕草をしていた。
袋綴じの中を見ようとしている...と思ってウインドウの外から眺めていると、
袋綴じを角が丸い◇状に拡げた空間の向こうの九九社長の眼と視線が合った。

慌てて中に入る。

「や。ziziちゃん。お久。」
「こんばんは。除部須会長の49日法要以来ですね...こんな遅くにどうされました?」
「いや。ちょっと話がしたくなって。ziziちゃんも何か食べる?」
「はあ、私は...では...このアップルパンとりんごジュースを...」
「そ、私はこれにしよっと。」

そう言って社長は150円もする「至福のロールケーキ」を手に取った。
流石は大会社の社長だ。太っ腹である。しかしきっちり割り勘でレジを済ませ
二人揃ってコンビニ袋をブラ下げ店外に出ると、社長はおもむろにコンクリートの
車止めに腰掛けて喋り出した。

「どう?最近調子」
「ええ、まあまあ...いえ、全然大丈夫です。絶好調です任せて下さい。」
「まあたそんな無理して...ちなみに最近どんなソフトウエア一番使ってるの?」
「もちろんPCはりんご社のりんご本で...最近使ってるのは...テキストエディット...」
「ziziちゃん。いいの?それで...Logicは?」
「いえ、良いんですこれで。私の音楽なんて...もう誰も...」
「ふ〜ん、私はキライじゃないけどね。ほらあの、ALWAYS や
 Fact that cannot be avoided や No one なんて...」
「社長....それ全部他の方のremix作品です...」
「え?そうだっけ。まあいいじゃないそんな細かい事。とにかくさ、イメージ上
 何でも使ってくんなきゃ困るのよ。映像作品の監督が、動画も静画もテキストも。
 勿論音楽も。これ重要よ。カメラなんかオートフォーカスしちゃうけど被写体変える
 事で撮る人の個性が出せるよね。しかし音楽にはオートフォーカスは無理だ。創り手に
 よって一から、土台から創るしかないから全然違う。勿論ループの音源みたいな同じ
 素材を使っていても出来上がる物は全く違う。だから面白い。」
「え?サスガ社長ですね...いつもそんな事ばかり考えてるんです?」
「え〜と。うん。だって宣伝しないといけないから。ziziちゃんもさあ、メディアの
 取材とかあるでしょ。あれに自分のりんご本持って行って写るように持ってさあ、
 今、こんな事やってます!なんて言って頂戴よ。今度雷電のSSDあげるからさあ...」
「え?あの何かすげえのに繋げる物が無かったあれですか?SSDなんてあるの?」
「え〜と。たぶん...ま、いいからいいから。それじゃ宜しく頼むよ〜」

社長はそう朗らかに言いながら愛車「ミ○・イース」に乗り帰って行った。
本当はCMに出ている香○奈が好きだという理由で「ア○ト」にしたかったらしいのだが
奥様があのモデルさんが宣伝していた通販で服を買って自分で着たら全然香○奈のようには
見えなかったから嫌いとの理由で却下されたのだった。

「ふう。ようやく家に帰れる....」

AM3:00。明日は久しぶりにゆっくり寝れる...
いや今日か...は起きたらまずあの音源を例のサイトにアップするんだ...
zizi
投稿日時: 2012-9-2 7:32  更新日時: 2012-9-2 7:32
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: kimux さんへ
いやいやそんな...そんな事言っても無駄でしょうおそらく。
どうせ今頃何の反省も無くお笑いのテレビでも見ながらバカ笑いしとるに
決まっとります。もう少し向上心ってもんがあれば...

え?自分は?シーン....
yuuichik
投稿日時: 2012-9-1 21:06  更新日時: 2012-9-1 21:07
校長
登録日: 2004-2-16
居住地:
投稿数: 2404
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
yuuichik「監督、をきのうアップしましたよ! これで由布一司令官の苦悩を描いた『メランコリックな校長先生』篇も、広がりを持って書けますね♪」。
zizi監督「うん・・・」。
yuu「あれ? 元気ないですね。どうかしましたか?」。
zizi「いや、別に・・・」。

yuu「でも由布一がどうやって戦前に歌を録音できたのか。結論は出なくて見切り発車だったけど、キム教授を登場させといて良かったですね。きっとキムさんなら自分で良いアイデアを考えてくれると思ったら、大正解でしたね(笑)」。
zizi「うん・・・」。
yuu「同盟国のドイツからオープンリールの録音機材を、黒猫館のじじの財力にものを言わせて、土瓶屋のぽとまんさんが極秘輸入したということにしましょうか?」。
zizi「うん、そうだ・・・ね」。
yuu「で、録音場所は、海老婆さんの酒場というのはどうでしょう?」。
zizi「いいんじゃない・・・」。

yuu「監督、ホントにどうかしたんですか? 何か悪いものでも食べたんですか?」。
zizi「・・・」。
yuu「監督?」。
zizi「・・・なんで?」。
yuu「え?」。
zizi「なんで、なんで!」。
yuu「なんでとは?」。
ziz「なんで、いさこちゃんと、そんなにイイ雰囲気でデュエットしてるんだよぉー!」。

yuu「え!? 監督まさか、それで御機嫌斜めなんですか!(笑)」。
zizi「おい、校長! いったいどこのスタジオで、いさこちゃんと二人で録音したんだよぉ!」。
yuu「それは勘違いですよ。一緒になんか録音してませんよ!」。
zizi「いさこちゃんは、いさこちゃんは・・・(T_T)」。
yuu「もう監督、よく聴いてくださいよ。あれはyuuichikであって、yuuichikじゃないですよ」。
zizi「ん? どゆこと?」。
yuu「それは、ねぇ、もう少しヒミツっ(^x^)♪」。
zizi「え? どゆこと? あの男性ボーカルは校長じゃないの?」。
yuu「まぁ、私ではあるんですけどね♪」。

zizi「監督にヒミちゅにするとは、けしからんっ!」。
yuu「まぁまぁ(笑) それに相方の女性も、いさこであって、いさこじゃないんですから」。
zizi「ん? ますます分からん!」。
yuu「もう監督ったら! 分かってるくせに?(笑)」。
zizi「はは(笑) そうだった・・・。ちょっと嫉妬しちゃって(*^^*)」。

yuu「年甲斐も無く(^-^;) なぎこさんや、まこちゃんに言いつけちゃいますよ」。
zizi「そ、それだけは勘弁!〜m(__)m」。
yuu「もぉ、どこの世界の監督もオコチャマで嫉妬深いのは同じですね(笑)」。
zizi「それが創造性の源だよ」。
yuu「なんでも創造性に結びつけるんだから(^_^;」。
zizi「屁理屈も言い続ければ信念となる!」。
yuu「はいはい(笑)」。
kimux
投稿日時: 2012-8-31 23:23  更新日時: 2012-8-31 23:23
登録日: 2004-2-11
居住地: 地球
投稿数: 6944
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
佐藤さん見てるか〜〜〜?!
戸田さん見てるか〜〜〜?!
zizi
投稿日時: 2012-8-31 19:46  更新日時: 2012-8-31 19:46
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: 拝啓 樋渡干記 様
zizi監督は今日の制作会議の事を思い出し一人悦に入っていた。


議題は「大河ドラマへの対抗策」をどうするか。
ziziは「女優陣の衣装の裾丈を短くする」と提案したのだが、主演のなぎこから
「一体何を考えているのか」と説教されていた。事前に根回ししておいた監督助手その2佐藤を
チラと見るが視線が合わないように下を向いて黙ってやがる。事前に打ち合わせした時には
「監督、それいいっス!絶対援護しますから是非やりましょう!」とかノリノリで調子の
いい事言いやがって...やはりコイツは使えねぇ...と心中罵りながらこの場をどう凌ごうかと
頭をフル回転させ無い知恵を絞り出そうとしていた。しかし大方の予想通り返す言葉が無く
会議が一触即発の険悪な雰囲気に包まれていたその時。

コンコン
「入ります。」
がちゃ

と一人の男が入ってきたのだった。メジャーアーティストの樋渡干記だ。
最近キューブリックとジョブスを足して2で割ったようなキレキレの曲が好調な
セールスを記録している、寛太と並ぶ日本を代表するロケンローラーだ。

「おお。」と会議室にどよめきが起こる。

ziziには元々ギターが巧い人を無条件でウラヤマシがる傾向がある。
昔ギターをバンドで弾きたくて練習していたのに一向に上達せず、いざ演ろうとすると
仲間から「それよりキーボード弾いてよ〜」と鍵盤を弾かされた、という苦い経験が頭を過ぎる。

樋渡氏はスティーブ・ジョブズ 張りの流れるような朗々としたプレゼンを始めた。
一旦終わった...かに見えたが「One more thing...」と言葉を発し、ゆっくりとした間を取ってから
「ステイ・ハングリー、ステイ・フーリッシュ」。と語り終えると皆スタンディングオベーションで迎えた。

「さすがね。」「うん、監督とは器が違う」
などとヒソヒソ声だかわざと聞こえるように言っているのか判らなかったがもうそんな事は
どうでも良かった。大作家によるノベライズの道も開ける...これは放ってはおけない...
入るかどうかも解らない印税収入を皮算用しながら口座は家計と別にしておこう、
などと心の中で呟いていた。シュンとしていたのだがゲンキンにも既に立ち直っている。

最初から役になり切っており、かなり高い妄想指数も監督のココロをくすぐった。
「妄想力と創造力は直結する」と言ったのはルーカスだったかスピルバーグだったか...
いや違うマコちゃんだ。大体カワイイ女子の言う事は全て真実だ。妄信するに値する。

本来であればウハウハで手を握りながら「是非これからすぐにでも宜しくお願いしますっ!」
と言いたかったのだが見栄張な性格がそれを辛うじて抑えて言った。

「少し考えさせて下さい...ただし..もしかしたら役の上ではロクな死に方をしないかも知れませんよ...」

と、言ったのだが現在その手は既に脚本に手を加えている。

良かった...この前戸田ちゃん役者やらない?って話を冗談だと思ってくれて....
ひわたし
投稿日時: 2012-8-30 23:52  更新日時: 2012-8-30 23:52
オビ=ワン
登録日: 2007-4-8
居住地: ロックンロールサーカス
投稿数: 1528
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
コンコン
「入ります。」
がちゃ
「私、満州にて映画を撮っております、樋渡干記と申します。干記という名は
戊辰戦争にて熊本で活躍された谷干城様の字を恐れ多くも貰いました。佐世保から新天地を目指し海を渡り、現在は満州に展開する関東軍の庇護を受けております。ですが、どうも陸軍は堅苦しくて性に合いません。その点海軍はいい。海に、空に、男のロマンが溢れております。祖父は現在ニューギニア戦線にてジャングルの中で赤痢と闘っております。すいません,自分の事を喋りすぎました。えーと、かいつまんで申し上げますと、こちらで活躍されておられる寛太さんのお手伝いが出来ないかと思いまして、いや何せですね、私思い立ったらすぐに行動に移さないと昼寝もおちおち出来ぬ性質でして、居ても立っても居られず連絡船に飛び乗った次第であります。まあ、何と言うか寛太さんには非常にお世話になりまして、何か出来る事が有れば何でもするし、その行動を記録して親交の有る火野葦平や松本清張に小説を書かせたりも出来ますし、要するにちょい役でも貰えないかなてへへ的な感じで参った次第であります!」
zizi
投稿日時: 2012-8-30 20:33  更新日時: 2012-8-30 20:33
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[4]: ぽとまんサンへ
小松崎茂さん、ボックスアートの中身に中学生位の頃お世話になりました(笑)
画集が出たりしてましたね、ちょっと欲しくなって来ました。

星野之宣氏は中学生の頃デビュー作読んで以来のファンです。
「星を継ぐ者」はまだ1巻しか買ってない...続巻が出てるようなので今度買ってきます。

「四次元の爆撃機」は...確か家にあったはずと思って
ちょっと本棚漁ってみたら、持ってました。
「イワン・デジャヴュの一日」という単行本に「落雷」と題名を変えて
収録されていました。今も入手可能なのか?と思って調べたら

「ONE DAY IN THE LIFE OF IVAN DEJAVU」

http://www.shogakukan.co.jp/comics/detail/_isbn_9784091846983

とタイトルを変えて発行されてますね。この方の作品良く判型を変えたり
収録作品を微妙に変えたりして過去作品が再発されとるんですよ...
サスガにそんなに何度も買えません。が、これの収録作見てたら未読の
作品が入ってる...う〜ん困った...
potman2
投稿日時: 2012-8-30 7:13  更新日時: 2012-8-30 7:13
ターミネーター
登録日: 2010-5-23
居住地: 東京
投稿数: 1451
 Re[3]: ぽとまんサンへ
お、あのインドの猛虎、じゃなかったサーベルタイガー!
星野之宣サン、「星を継ぐ者」も漫画化したようで。
ご紹介の転校生的な物語も面白そうで、探してみます。

あとはいわゆる箱絵(ボックスアート)の小松崎茂さんの躍動感溢れる画もゴイスー!
zizi
投稿日時: 2012-8-29 20:30  更新日時: 2012-8-29 20:30
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: ぽとまんサンへ
ぽとまんサンどうもどうも。いつもお世話になっとります。え?いや〜ツケのお支払いなんざ結構で。
先日は助けて頂きやしたし...面目ない。またご厄介かける事あろうかと思いますんで宜しゅう頼んます。

え〜と。ziziに戻ります(笑)。
小林源文氏は実は未読です。戦車関係は専門外で(そういう問題ではないですが)
実は欧州戦線の事はよく知らんのですよ。

私の印象に残ってる戦記物では...子供の頃父親が買ってきた「紫電改のタカ」。
前半の青春群像的物語から後半にかけての大変やるせない展開が心に残ってます。


もう一つは中学生の頃読んだ星野之宣氏の「四次元の爆撃機」。

http://www5.plala.or.jp/morigin/log/yozigen/yozigen.html

ちょっとデータが無くて...あんまりよくわからないと思いますがすみません。
読みきりの短編なんですがね、落雷で1945年のB-29と現代の小型機がタイムスリップして
入れ替わる...という話です。少年雑誌にこんなの載ってたんですね、当時は。

これ映画化したら「博士の異常な愛情」に匹敵する問題作となる事必至です。
衝撃的なラストに鳥肌が立ったのを良く覚えています。

また今後も...宜しくお願いいたします!
potman2
投稿日時: 2012-8-29 7:19  更新日時: 2012-8-29 9:22
ターミネーター
登録日: 2010-5-23
居住地: 東京
投稿数: 1451
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
あ〜、戦争もの劇画はウチ(土瓶屋)では小林源文がよく出たねえ、ドイツ戦車ばっかだけど。

                                                ぽとまん談
zizi
投稿日時: 2012-8-29 6:13  更新日時: 2012-8-29 6:13
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: SCRAPSさんへ
お読み頂きどうもありがとうございます!

いやいやこんな事が出来るのもGBUCならではと思います。このような我が儘な
自己満足的企画の機会を得た事、お読み頂いている事に誠に感謝です。

かわぐちかいじ、私も読みました。他に松本零士や新谷かおるやその他諸々...
今後の展開については只今絶賛構想中です(今頃〜?)

>清少納言の実名は諾子(なぎこ)

そうなんですか!全然知りませんでした。しかしそうですね、この物語の
「なぎこ」は美しく聡明で可憐...そんな感じです(笑)

また続けますので宜しくまた宜しく御願い出来れば嬉しく思います。
本当にどうもありがとうございました。
zizi
投稿日時: 2012-8-29 6:06  更新日時: 2012-8-29 6:07
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: 凪さんへ
そうなんですね...確かに南方に行かれた方などは特に行方がわからない方いらしたようですね。
横井庄一氏や小野田寛郎氏の例もありましたが、あえて現地に残って戦後の独立運動に参加した、
という方も結構いらっしゃったようです。

前の職場の後輩から聞いた話ですが知人の叔父に元特攻隊員の生き残り、という方がいらっしゃった
そうなのですが、戦後50年位経ってから自殺された..という方がいらっしゃったそうです。

残された方にとっては...確かに時間はそこで止まったまま..なのかも知れません。
本当にこれは体験された方でないとわからない気持ち、苦しみ、悲しみがあるのでしょうね...
貴重なお話を教えて頂きどうもありがとうございました。
身を引き締めて話を続けて行きたく思います。

はっ!今回「なぎこ」の出番が無い....すみません(笑)
サイドストーリーは打ち合わせ無しのアドリブ合戦の様相を呈して来ました。
しかももしかしたら本編よりも文字数多いんじゃないかと言う(爆)
「なぎこ」と「寛太」の運命は...
しかし「マコちゃん危機一髪」の期待が高まって参りました。頑張ります(そこか?)!
SCRAPS
投稿日時: 2012-8-28 22:02  更新日時: 2012-8-28 22:02
ターミネーター
登録日: 2007-1-27
居住地: 宮崎市
投稿数: 1424
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
GBUCでこんな読み物に出会えるとは。
このスペースにこういう場所があるのもいいものですね。
戦争モノの小説はあまり読みませんが、漫画ならかわぐちかいじなんかは読んだことあります。
寛太はどうなっちゃうんでしょうか。
なぎこと結ばれるのか悲恋に終わるのか、気になります。
ところで、清少納言の実名は諾子(なぎこ)との説があります。そのせいか、このヒロイン、どうも清少納言のような知的でクールな女性というイメージを持ってしまいます。
投稿日時: 2012-8-28 21:51  更新日時: 2012-8-29 5:59
ドラえもん
登録日: 2006-11-11
居住地:
投稿数: 1270
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
コメント欄でサイドストーリーが着々と展開してるなあ。

ちょっとこの小説から離れたことを書きますね。


ある日学校から帰ると、祖母が泣いていました。
戦争に出たまま長い間消息が分からなかった兄弟(私にとって大おじ)が、ミンダナオ(だったと思う)で戦死していたことが確認されたという知らせが届いたところだったのだそうです。

はっきりいつだったか覚えてはいません。
でも、学校に通っていたこと、日本が何十年も前に戦争をして負けたことくらいは知っていたことからすると、ある程度は物の分かる年齢だったのでしょう。

もちろん終戦から何十年も経っていたので、生きていると思ってはいなくても、彼女にとっての彼の時間はそこで止まったままだったのですね。

祖母の兄弟姉妹の家族のうち集まれる者だけがほんの数人集まって、小さな法要を営みました。宙ぶらりんになっていましたが、数十年の時を経て墓石に名前が入りました。この法要は、普通に死を悼む意味に加え、
「ああ、確かにこの人は遠い昔に異国の空の下で死んだのだ」
ということを各々が納得するための集まりだったようです。
きっとそういう人、全国各地にたくさんいらっしゃったのだろうなと想像します。
もし判明しないままだったら、終わりのないもやもやを抱えたまま。
兄弟は死んでも兄弟ですが、兄弟でなくて恋人だったら。夫婦だったら。
終わりにして新しい生活を始めていいのか、よくないのか。


さて、話をこの作品に戻して。
寛太はどうなるのでしょう。
生き延びることができれば、なんとかしてなぎこに自分が生きていると伝え、再会しようとするのでしょうか。
なぎこはどうやって寛太の生死を知るのでしょうか。
知った時、どのような道をとりうるのでしょうか。

…ええと、個人的にはマコちゃん危機一髪がとても興味深いですw
zizi
投稿日時: 2012-8-26 21:00  更新日時: 2012-8-26 21:00
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: kankan さんへ 第二話
zizi監督は鈴木のオドオドした面持ちと一度だけ見かけた地味な彼女の姿を
思い出していた。鈴木の仕事が終わるのをスタジオの外で待ってたっけ...

zizi「そうやね...まだあの仕事は佐藤には荷が重いか...鈴木に言っといて。
   また弁当の手配頼むって。その代わり...一から出直しだから。」
戸田「ハイ...きっと喜ぶと思います。」
zizi「そうか...シオナちゃん...1000円で泣く芝居も出来るのか...」
戸田「ハイ!絶対大丈夫です。ワタシが何とかしますから、何かありましたら
   寛太はスルーしてワタシに相談して下さい!」
zizi「そうか...じゃ頼んじゃおっかな...寛ちゃんにも宜しく言っといてね。
   アレ?戸田ちゃん今呼び捨てしなかった?」
戸田「へ?いやいやちゃんと寛太さんって言いましたよ〜もう監督ったら〜」
zizi「そう?じゃアイスコーヒーもう一杯飲む?」
戸田「ハイ!喜んで頂きます!」
zizi「ところでさ、日本は負けたんだけど、もしもだよ。ミッドウエイでさ、南雲長官
  じゃなく山口中将が指揮を取っていたらどうなってただろうね...ペラペラペラ」
戸田「...<小一時間程耐えに耐える>」

戸田は頬をさすりながら見送るzizi監督が玄関の扉を締めるまで頭を下げた後、
門まで勿論15分もかからずに帰宅する。

zizi「あ〜肩こった。ルカ姉さん、肩叩いてくれる?」
ルカ「夏への扉アケテ〜」
zizi「やや。また新しい言葉打込んどかなくちゃ...」
kankan
投稿日時: 2012-8-26 13:07  更新日時: 2012-8-26 18:09
TheKanders
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 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
戸田がzizi監督のご自宅にお邪魔した。戸田がいうには、今から来いっていうから。
戸田「しっかし。遠いっすね」
zizi監督「いらっしゃい。いらっしゃい。なんか喋り方が寛太ちゃんに似てきたんじゃない」
戸田「勘弁してくださいよ。それにしても、すばらしい家ですね。門から玄関まで15分」
zizi監督「それは言い過ぎ。まぁ、上がれよ。お疲れお疲れ」
戸田「お邪魔します」と言いながら、背広を脱ぎ、右手に巻く。
zizi監督「この暑いのに。ジャケットにネクタイなんだ」
戸田「仕事だと気持ち的にこれが楽なんです。慣れというか。お決まりって無難だし」
zizi監督「そんなもんかね。まぁ、気兼ねなしでやってくれ」
リビングに通されて
戸田「いいリビングですね。趣味がいいです」
zizi監督「わかった、わかった。そういうのいいって。戸田ちゃんはどこで本音か、お愛想なのかわからん。まぁ。座って」
戸田「ところで、私をご自宅に呼んだのは、何か訳が?」
zizi監督「うん。もう、気付いているとは思うが。。。」
そこに、めちゃくちゃアニメっぽい少女が登場。
少女「いらっしゃいませ」
と言って、冷たいアイスコーヒーを、戸田に、そして監督に差し出す。
少女、一礼して去ってゆく。
戸田「誰っすか。なんか、ご主人様って世界、感じちゃいました」
zizi監督「うん。ボカロちゃん。今年になっていろいろね。あって」
戸田「。。。そうだ。夏の扉だ。内の間寛太がロバート・A・ハイラインとかディックとかSF小説が好きで、騒いでました」
zizi監督「君は空とか宇宙とか、SFは好きか」
戸田「きらいじゃないですけど、特に好きって訳じゃないです」
zizi監督「聞いた話だが、戸田ちゃんは、アメリカ大陸横断したんだって」
戸田「昔の話ですよ。ただ、バスに揺られて西から東に渡っただけです。なぜ、そうしたのか、そのことで何か感じたか。今では覚えてません」
zizi監督「今撮っているのは、太平洋戦争の話だけど、君はどう思う」
戸田「戦争ですか。戦争なんてない方がいいし。人が争ったり死んだりするのもイヤです。でも、戦争しちゃって。日本が負けた。そういう歴史があるだけです。敗戦したのに、繁栄して、私が生まれた。平和を祈る以外、自分に何もできません」
zizi監督「ビジネスってわけか。ビジネスも戦争、戦争もビジネス。戸田ちゃんも役者やってみるか」
戸田「冗談は止してください」
zizi監督「はははっ。冗談冗談。ところで、一押しの若い娘はどうなった?」
戸田「。。。一押しですか。一押しっていうか、ぶっとびが一人いるんですが」
zizi監督「ぶっとび娘!!?」
戸田「歌は好きなんだけど、ビジュアル系が好きで、土日がめちゃ楽しい。根はいい娘なんだけどわがまま。瞬間瞬間で何言い出すか意味不明。泣いていたかと思えば笑っているし、面白いことには貪欲なくせに、次の瞬間、キモイとか言って。目を薄めて人を見る。自分に正直過ぎる。見てて危ない18娘」
zizi監督「ロシアのt.A.T.uみたいな感じ?」
戸田「そこまではいかないにしても。やっぱ、いいです。これ、なかったことにしてください」
zizi監督「使う使わないは別として、誰よ。写真は。可愛いの?」
戸田「すでに、監督もご覧になっていると思うんですが。寛太の姪っ子」
zizi監督「TheKandersやkankanのアートワークにときどき登場する、あの、あの。。。」
戸田「シオナです」
その瞬間、リビングは残暑厳しい折だというのに、氷付いた。
蝉の鳴く音がリビングに溢れた。

zizi監督「シ、シ、シオナちゃん。寛太ちゃんが彼女の詩に曲を付けて歌ったら、キモイ。バラードにしてって言って、寛太ちゃんがバラードしてやり直した、しかもこの曲をパソコンでカラオケを流して、歌うにはどうしたらいいかって、丑三つ時まで、家族や寛太巻き添えにして大騒ぎした、あのシオナちゃん。寛太ちゃんに泣かされたら1000円罰金ってのを逆手にとって、わざと泣く、あのシオナちゃん」
戸田「あの、シオナです」
zizi監督「それで、寛太ちゃんは、もしシオナちゃんが出演するようなことになったら、どうなのよ。気持ち的というか、今のポジション的というか」
戸田「別にいいんじゃないですが。喜ぶとか不安だってことは別として、ビジネスですから。まぁ。あの娘ならノッたらいいもの出すとは思いますが。けっこう無茶な役でも」(アイスコーヒー。冷たくて、おいちぃ)
zizi監督「無茶な役も」
戸田「行水シーンなんて、喜んで」
zizi監督「ノらなかったら?(赤くなっている頬を撫でながら)」
戸田「けっこうキツいもんありますね。監督次第って感じです。もちろん、キャスティングが決まったら、戸田、全力でシオナをコントロールする所存です」
zizi監督「戸田ちゃん。大丈夫なの?」
戸田「大丈夫。間寛太に比べたら、もう。任せてください」
zizi監督「うーん。考えてみようかな。。。インパクトかぁ」
戸田「監督」
zizi監督「何?」
戸田「今日、私を呼んだのは、実は鈴木ちゃんのことでしょ。外で待っているんですが、どうします。この暑さだから、唐揚げになってるかも、ですが」
zizi監督「。。。」

その頃、寛太は昼寝の夢の中で、次々と敵機を撃ち落としていたのであった。
寛太の寝言「やったぜ。メリケンなんて屁でもねぇぜ。戸田ーーーーっ。と、とだ__。どこだ、とだぁ。アイスコ。。。また携帯。。。むにゃむにゃ」
zizi
投稿日時: 2012-8-25 22:17  更新日時: 2012-8-25 22:17
登録日: 2008-4-25
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 Re[2]: kankan さんへ
===戸田と監督助手その2佐藤、撮影後にバッタリ廊下で会う。
戸田「ねえねえ佐藤ちゃん、監督助手その1の鈴木ちゃんなんでクビになったの?」
佐藤「それが...この前のロケの時...手配した弁当が唐揚げ弁当だったんで...」
戸田「ああ〜そりゃ絶対ダメだよ〜。監督鶏肉キライだもんね〜...
   ねえねえそれよりさぁ佐藤ちゃん、寛太さん..第四話以降どうなのよ?」
佐藤「いや...それが...ちょと今それ所じゃないです...」
戸田「え?何で?今アサコさんとノリノリで打ち合わせ中なんじゃないの?」
佐藤「いや...それが...今日の第一回目の打ち合わせはもう終わってます...脚本見たら...
   自分はそんなの大丈夫かって言ったんです...そしたらこれも芸術の為だとか言って...」
戸田「え?ま、まさか監督...」
佐藤「ええ..そのまさか...脚本見たら無駄に行水するシーンとかあって...」
戸田「ふむふむ。それでそのまま見せたの?そしたらアサコさんが...?」
佐藤「監督に...思い切り平手打ちしてました!」
戸田「.....<これは寛太さんには黙っておこう...>」

そこに虚ろな表情でzizi監督通りかかる...

zizi「あ、ああ...戸田ちゃん...次回NAKの若い娘一人御願いね...」
戸田「え?ありがとうございま〜っす!しかし監督...大丈夫っすか?何か頬が赤いですけど...」
zizi「いや...何だか心地良かった...それと寛ちゃん戦闘機の話好きみたいだっから今度徹夜で
   語り合おうって言っといて」
戸田「ええ、ええそりゃもうきっと喜ぶと思います!あ、ちょ。すんません電話が...」
zizi「もうすぐ秋だな...あ、佐藤ちゃん今度のロケ弁手配御願いね。」
佐藤「ハ、ハイッ!唐揚げはダメなんでしたよね?」
zizi「は?いや別に唐揚げ弁当だったらキャベツだけのにしてくれたら良いけど...」
佐藤「了解。おまかせ下さい!」
戸田「あ、すんません監督。で、寛太、どうです今後?」
zizi「うん。そりゃ彼の演技、リスペクトしてるから。カリスマ性も大事だと思うよ。
   だからNAKの若い娘...一押しの娘、御願いね。」
kankan
投稿日時: 2012-8-25 20:23  更新日時: 2012-8-25 20:35
TheKanders
登録日: 2008-1-14
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 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
寛太は、冷たいアイスコーヒーが飲みたかった。
自分は、もしかすると役者として、天才なのではないかっと、思っていた。
「うん。これは役者として忙しくなりそうだ。」「社長も喜んでくれるぞ」
「戸田ぁ。どこ行ってやがる。マネージャーはいつもそばに居なきゃならんだろ」

===戸田、携帯電話をかけながら登場。
「はい。はい。いいえ。そりゃ。もう。Win & Winで。何言ってるんですが。大丈夫です。それじゃぁ。よろしくお願いします。はい。よろしくお願いします。」
おっ。戸田も忙しくなってきたか。
戸田「すいません」
寛太「オファーの電話か?」
戸田「いえ。違います。ちょっと、事務所にネズミが出るんで、知ってる業者さんにちょっと。」
寛太「そんなことで、1時間も電話しているのか」
戸田「だって、社長命令ですから」
寛太「わかった。いいから、アイスコ・・・」
戸田の携帯が鳴る
戸田「はい。戸田です。あぁ、もう、電話待ってましたよ。(寛太に)すいません。ちょっと」
寛太「また携帯かぁ。あいつ、一日、何時間電話してるんだ。メシ食ってても携帯、糞してても携帯」

===そこにzizi監督が通りかかる
zizi「いぃや。よかった。操縦桿の握り方なんか、もう本物。戦闘機、知ってますなぁ。あのF-6Fは・・・べらべらべらべら」
寛太内心語 <また、始まった。戦闘機の話、長くなるんだよなぁ。また、同じ話してるし>
でも、笑顔で相槌を打つ寛太であった。
寛太「第4話。楽しみですね」
zizi「そうなんですよ。もう膨らんじゃって。そうそう。社長さんから電話があって、お宅の事務所の若手をお願いされちゃいましてね」
寛太「自分、出番あるっすか?」
zizi「うん。そのことね。そうね。戸田ちゃんからは何も?」
寛太「いえ。何も。あいつ、携帯電話ばっかして、一緒に居ても、ろくすっぽ話してないっすよ」
zizi「戸田ちゃんも忙しいよね。いいことだ。いいことだ。あっ(時計を見ながら)いけない。これから、アサコちゃんと打ち合わせよ。それじゃ。また。よろしく」

===zizi監督、寛太の腰を叩いて、去る。
寛太「監督、なんかウキウキしてんなぁ」

===戸田、携帯を切りながら戻って来る
寛太「お前は、携帯電話のマネージャーやってんのか?恋人か?奴隷か?神様か?」
戸田「何なんでしょうね。仕事半分、プライベート半分ってとこですかね」
寛太「わかった、わかった。お前、監督から第4話のこと、なんか言われてるだろ」
戸田「はい。これからはあんまり寛太を出すと、なんというか寛太の輝きが減る。カリスマ性も必要だろうって」
寛太「それって、つまり」
戸田の携帯が鳴る。寛太睨む。
戸田「メールです。10秒待ってください。。。。。。。。。。はい。すみません」
寛太「第4話には、で。。。」
また、戸田の携帯電話鳴る。
戸田、寛太に詫びのポーズ作って、携帯に出る。
「はい。戸田です。えっ。。。なぁんだ。そんな冗談な切り出しやめてくださいよ。ただの間寛太のマネージャーですよ。そんな、社長だなんて。専務でもありませんって。ぺいぺいですって。えっ。内のモデル使ってくれるんですか。はい、はい。いいですよ。何でもできます。。。」

そうなのだ。間寛太の所属するNAK(ナック)プロダクションは、所属の新人の売り出しに躍起なのだ。
自分が、zizi監督や最近バーテンダーを始めた校長と、少しばかり縁があるものだから、決まったこのドラマ出演。
これを機に、我がプロダクションは、このドラマのエキストラからイレギュラーまで、自社タレントで埋め尽くそうとしている。
最早、寛太出演は二の次なのだ。戸田が自分を余所に忙しいのは、そのためだ。
第4話では、レギュラー以外で、数多くのNAKプロのタレント、エキストラが出演するであろう。

寛太は、ここではアイスコーヒーを飲めないと悟った。たとえ、飲んでも、ぬるくて苦いものになることを思って、ぶるっと震えた。
いつも、秋はそっと忍び寄り、突然に気配を感じさせる。
zizi
投稿日時: 2012-8-25 4:39  更新日時: 2012-8-25 4:39
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re[2]: yuuichikさんへ
先日から御世話になっております&どうもありがとうございます!

そうです「零式艦上戦闘機」です。「艦上」は航空母艦にて用いる飛行機という意味です。
いやいや...私はそれ程詳しいつもりは無いのですが...しかも何の役にも立たないし(笑)
所謂「オタク」と呼ばれる方は本当に凄いです。ワタシはまだまだ足下にも及びません。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B6%E5%BC%8F%E8%89%A6%E4%B8%8A%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F

そうですね、今回は「寛太」の単独出演、何故か私も「ロック」を感じました。
もしかしたら...このシーンが一番描きたかったのかもしれません。
「水の空」のアイデアは...本当にyuuichikさんの原案あっての事で...
大変感謝しております。

「黒猫館群像」は...タイトルは超仮題ですが、どんな危機かは...
う〜ん。憲兵と対決して頂くか...なんつって。只今構想中です。
今後共御指導宜しく御願い致します〜!

PS あちらの方も後ほどあれします(笑)
yuuichik
投稿日時: 2012-8-24 22:11  更新日時: 2012-8-24 22:11
校長
登録日: 2004-2-16
居住地:
投稿数: 2404
 Re: zizi通信 06 「水の空に眠る」第三話
今回も堪能しました。
零戦としか理解無かったですが、「零式艦上戦闘機」が正式なんですね。
ziziさん、なぜにそんなにお詳しいのでしょうか?(笑)

流れるような空中戦の描写と、
それが寛太=kankanさんが演じているとイメージすると、
画に「ロック」を感じます。

寛太が南の海に沈みながら見た「水の空」が、
なぎこが飛び込んだ川から見た「水の空」と呼応させるところも、
音楽の第一主題が再現されたようで、音楽的です。
お見事!

次回から語られる「黒猫館群像」も楽しみです。
特に、えーっと「いけないマコちゃん」・・・じゃなくてっ(笑)、
「マコちゃん危機一髪」が、どんなだ!?って、楽しみですっ♪
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