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zizi さんの日記

 
2013
9月 20
(金)
23:28
Blue mirage 第6話
本文
Blue mirage 


第6話


2013年 6月 -1


体育会も終わって中間服の季節となった。

今日はビックリする程良い事があった!またゴミ捨てに行って音楽室の前を通りかかったら、何とアサミちゃんが音楽室から顔出して...

「ジジ君。いつも大変だね」

って言ってくれたんだ!で、ボクは「何でもないよ、ちょっとゴミ捨ててこなくちゃ」と早口で言って、走ってゴミ捨てて来てまた音楽室に戻った時に窓越しに中をみたらアサミちゃんの方から気づいてくれて。

「中に入って来ない?」

って手招きするんだ。ボクはもう我を忘れてフラフラと中に入って行った。今日は初めてちゃんとお話しが出来たと思う。

「あ、ボクは...マコから聞いた?ジジでいいよ。皆そう呼んでるから。一年の時は吹奏楽部にいたんだけど、今はヤメちゃってて..」
「ジジ君ね。あっ、吹奏楽部にいたんだ、音楽が好きなんだなぁってことは何となくわかったけど」
「うん..そうだね、好きなんだけど。最近はあんまり...」
「そうなの?でもピアノ弾けるんでしょ?マコちゃん言ってた...」
「小さい時親に言われて少し習ってたんだけど...すぐにヤメちゃったから殆どダメだよ...」
「ふーん...私は自然と小さい頃からやってたから...お母さんも普通に家で弾いてて...見よう見まねで弾いて、自分からやりたいって言ったらしいわ。覚えてないんだけど」
そう言いながら彼女は少しはにかんだ笑顔を見せた。今日は二人きりだから...と言っていつもと変わりがあるワケじゃないけど、とにかくカワイイんだ。ボクは心臓の音が彼女に聞こえるんじゃないかとヒヤヒヤした。
「そうなんだ...お母さんも弾くんだね。やっぱ遺伝すんのかな...」
「ね、ジジ君の家ってどんな感じなの?」
「え?父さんは普通のサラリーマンで...母さんは...普通のオバさんだよ。もう絵に描いた様な一般家庭。ちょっとボクが部活ヤメてから、父さんに叱られて少しギクシャクしてるけど、まあそんなにやかましいワケでもないかな...」

それからボクはアサミちゃんが興味を示した両親の夫婦喧嘩の事を話した。父さんが母さんにナイショでクレジットカードを使って...どうせ会社のOLさんたちに良い所見せようとして気前良く奢ったりしたんだ。母さんは全てお見通しで、「今月は小遣い無し!」なんて言われてさ、昼飯どうすんだって思ってたら朝早起きして自分で弁当作ってた事なんかを面白おかしく話した。アサミちゃんは随分面白がってくれて、クスクス笑ってた。それで、羨ましそうに言うんだ。
「ジジ君家って楽しそうだね...私の家はちょっと厳しいんだ...好きなテレビもあんまり見れないんだよ。お友達は真面目な人にしなさい!なんて言ってさ、今時珍しいよね...」

「ジジ」でいいよと言ったんだけど、アサミちゃんはボクを「ジジ君」と呼んだ。この呼び方がボクはとても気に入った。それからボクはとにかく何か話さなきゃ、と思って、自分の事をペラペラと話した。元々クラシックが好きだったけど最近はロックが好きになって来た事。SF小説や飛行機が好きなこと。少し前までテレビでやってて大好きだった「水の空に眠る」の感想なんか一方的に語ってしまった。ただ、この話の途中で「マコちゃんと仲が良いのね」と言われたのでそこは全力で否定した。それで、その時思い出した事があって以前から気になっていた事を聞いてみた。

「ねえ、この前言ってた青い蜃気楼って何のこと?」
「あ、ごめんね、訳わかんないよね…あの、ジジ君が音楽室に入って来た前の日にね、ちょっとした事でお母さんと言い合いになっちゃって…私「もう子供じゃないんだから!」なんて言っちゃって。そしたらお母さんが言ったのよ。てっきりひどく叱られるって思って身構えてたら、ふっと表情を緩めてね。「あなた、青い蜃気楼を見た事がある?」って言うの。私も「え?」って聞き返したんだけど。「もういいわ」って言ってそれっきり。あの時それが心に引っかかっててね、つい口に出ちゃった」
「ふうん…どういう意味だろう?」
「よくわかんない。いいのよ、もう忘れて」
そう言いながらアサミちゃんは、軽くもて遊ぶようにピアノを弾き始めた。

「でも…どんな風景なんだろうね。いつか一緒に見れるといいな...」
ボクはアサミちゃんとお喋りをした事で気持ちが昂ってて、つい口が滑って思ってた事を言ってしまった。
「え...一緒って...?」彼女は鍵盤から手を離さず小さな声で言った。
「いや…だから…その...アサミちゃんと…」
またしても口を滑らせ、言ってしまってからしまったと思った。でも、ピアノの音で聴こえないのかアサミちゃんは何も言わなかった。その後彼女はしばらく練習に興じ、ちょっとやそっとで終わる雰囲気じゃなくなって来た。だからボクは邪魔しちゃ悪いと思って帰る事にした。彼女がまだピアノを弾いている中そっと音楽室を出ようとした。その時だった。

「ジジ君...いつか一緒に見れるかな...」

アサミちゃんは確かにそう言った。何だかとても嬉しくって、本当は飛び上がらんばかりだったんだけど、いや待て、そんなに深い意味は無いんだと一生懸命自分に言い聞かせ、頷きながら、

「それじゃ、さよなら」

とだけ言って音楽室を後にした。

この時、ボクはこの続きはいつだって話せる...そう思っていた。

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投稿者 スレッド
zizi
投稿日時: 2013-9-23 18:37  更新日時: 2013-9-23 18:53
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 九九社長との電話3
度々申しワケありません。今度は二重投稿してしまっており、削除出来ないので内容を書き換え「九九社長との電話3」に変更致しました(笑)ホントすんません...

--------------------------

あ、また九九社長から電話だ...

zizi「今度はどうしました?」
九九「いや。DAWの論理だけどさ」
zizi「ああ、新しヤツ。どうなんです?」
九九「いい。ziziちゃん使ってみたら。」
zizi「はあ...ちょっと読書してましたから」
九九「また青春コミックなんか読んでんでしょ。もう遅いって」
zizi「い、いいじゃないですか。今2巻目に突入した所なんですから」
九九「どっちでもいいけどさ。Flex Pitch、知ってる?」
zizi「え?何ですそれ?」
九九「いやさ、新しい論理のエフェクト。歌のヘタなziziちゃんでもいけるかもよ」
zizi「え?そんなに凄いんですか?」
九九「まあね。さ、はやくDLしちゃいなよ」
zizi「あ〜でも私のOSまだライオンでも無いし...」
九九「ジジちゃんさ、時代に乗り遅れちゃうよ」
zizi「う〜む...でも今度の初音ミ○はwinとmacのハイブリッドなんですよね...」
九九「...え?」
zizi「いや...とうとうAUにも対応するらしいんですがね...」
九九「あんたね。家にルカちゃんいるじゃないの」
zizi「そうですね。声はあちらの方が...それにだいたい人の歌の方が好きなんです」
九九「じゃ、自分で歌いなよ」
zizi「それはイヤです」
九九「じゃ、いつになったら歌モノ出来るのよ」
zizi「まあ...それは...」

段々声が小さくなって行くzizi監督に黙って通話ボタンを「切」にする九九社長であった...
zizi
投稿日時: 2013-9-23 18:37  更新日時: 2013-9-23 18:37
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 九九社長との電話2
あ、九九社長から電話だ...

九九「どう?行列並んだ?」
zizi「なんです?ああ...愛本...」
九九「え?行ってないの?」
zizi「はあ...ちょっと読書してましたから」
九九「また青春小説なんか読んでんでしょ。もう遅いって」
zizi「い、いいじゃないですか。今度は小説じゃななくコミックです」
九九「どっちでもいいけどさ。愛本さ、もう完売してる色殆どだからね。」
zizi「そうですか、まあ私は...選ぶならグレーかな?」
九九「....」
zizi「え?どうしたんです?あ...もしかしてそれだけ余ってるんですか?」
九九「その言い方やめてちょ。もう時間の問題で在庫切れするから」
zizi「ええ。気にしないで下さいよ九九社長。新製品の話はキム教授にでも任せて...」
九九「ジジちゃんもそろそろスマホにしなよ」
zizi「う〜む...あ、勿論私はりんご社の製品好きですが...あ、愛撫氏がデザインしたガラケーなんてどうです?シンプルにして...逆に通話とメールしか絶対出来ないとか。」
九九「...それワールドワイドで売れないでしょ?」
zizi「まあそうですけど。でもほら。愛姫リンゴ(判りにくいですがimac的製品の事)が出た時、ほら、あれ風のスピーカーが展示会に出た時そのデザインから「何に使うのか知らないが売ってくれ」っていう人いたらしいじゃないですか」
九九「...ああ...羽慢過丼の音響機器ね...そんなの小数派でしょ?」
zizi「そうですね。」
九九「ハッキリ言うね」
zizi「私は...マイノリティとなってもりんご社の製品を使い続けますよ」
九九「うん...そう、ありがと。やっぱ海軍に入るんじゃなくて海賊になれってか...」
zizi「あ、海軍じゃないですが海自の護衛艦進水しましたね、その名も「いずも」」
九九「へ。へえ、そうなの?」
zizi「そうなのじゃないですよ、いいですか、「いずも」は全長は赤城と同じ位あって...ペラペラ...」

黙って通話ボタンを「切」にする九九社長であった...
zizi
投稿日時: 2013-9-20 23:30  更新日時: 2013-9-20 23:30
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 あとがき
巷では行列が出来ておったようですが相変わらず淡々と進めて参ります。関連楽曲もそろそろ自分でなんとかせねばと思い制作に取りかかってはいます。が、遅筆につきいつ頃かわかりません..が、出来上がったらアップしようと考えています。

kankanさんの切なくもカッコいい関連楽曲はこちらです。勝手に第一期OP曲(スンマセン)

She Was Briting
http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15661&cid=8

バックナンバーはこちらです。
http://gbuc.net/modules/d3diary/index.php?req_uid=2049&mode=category&cid=4

登場人物

ジジ:無気力な中学二年生。音楽室で隣のクラスの女の娘に一目ボレします。
アサミ:ジジの隣のクラスの女の娘。音楽室でピアノを弾いている。ジジと少しづつ心を通わすように..なるのか?
マコ:ジジの隣の席の女子。ジジとはいつもケンカばかりしている女子。天敵なのか...?
貫太郎:ライブハウス「Kanders」マスター。結構年配です。(9話くらいから登場予定)
凪子:ライブハウス「Kanders」スタッフ。アラサー位?の美人です。(9話くらいから登場予定)
ヤスオ先輩:ジジの先輩。バンド「Potmans」で活動中。現在大学生です。(9話くらいから登場予定)
ユーイチ:ジジの親友、学級委員の秀才。
須倉先生:ジジのクラスの担任の先生。あだ名はスクラップ先生。



また、この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません。

それではまた次回。
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