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yuuichik さんの日記

 
2012
8月 4
(土)
16:47
ギター伴奏者「音楽の力」を知る
次の日記 カテゴリー  雑記
タグ 
本文
「ガレぶろ」というものがあったのですね。
ziziさんの連載小説や、
おっぱいパンさんとkankanさんのおっぱい談義wで、
改めてその存在を知りました。

では私も、一筆書かせていただきます。
このところ「妄想族」としてひんしゅくを買っているので(笑)、
「それだけじゃないぞっ!」と、少しアピールしてみたいと思います。

kankanさんを始め、粋なギタリストが多く活躍されている現在のGBUC、
私もギタリスト・・・というには憚(はばか)られるものの、
多少ギターを弾く者の思い出を語ろうと思います。


実は私、仕事で精神科の「バーテンダー」をやっています。
【一部名称にモザイクを入れています。お察し下さい♪】
おっぱいパンさんと同じ職種です。
主に患者さんのお話を聴かせていただく仕事です。

しかし精神科には守秘義務があるので、
おいそれと患者さんの話は書けません。
なので、バーテンダーの仕事のかたわら、
病院のレクリエーションのコーラスグループで、
私がギター伴奏をしている時のエピソードをお話しします。


GBUCの皆さんは、精神科の患者さんはどんな風に歌を唱うと思いますか?
結論から言うと、「普通」に歌える人もいれば、
そうじゃない人もいます。
特に外来のデイケアのコーラスに参加している若い人は
比較的新しめの曲も唱いたいとリクエストしてきます。
しかしギターコード譜を元に弾く私のギターテクニックには限界があるため、
平原綾香の「ジュピター」レベルはNGとなり、
サザンの「TSUNAMI」レベルが弾ける限界となります。

とは言え、引きこもりや興味領域が狭くなっている患者さんも多く、
若い頃に聴いた「卒業写真」や「白い色は恋人の色」などの
スタンダードナンバーをリクエストする方も多く、
アマチュアギタリストとしては、ホッとするところです。


スタンダードな歌のリクエストは、入院患者さんのコーラスだとさらに多くなります。
なかには何年、何十年も入院している年配の方やお年寄りも多く、
唱歌や童謡、昭和歌謡のリクエストが多くなります。
例えば、「故郷(ふるさと)」や「シャボン玉」、「恋のバカンス」など。

ちなみに私が勤め始めた二十数年前には、
ボランティアでピアノ伴奏の女性の方がいたのですが、
その方が辞められてからは、趣味でギターを弾くバーテンダーの私が
コーラスを担当することになりました。


伴奏していて気づくのは、
「リズムに乗ることが難しい」人が多いということです。
いろんな意味で精神機能に障害があると、
外からの一定のリズムに自分を合わせていくというのが、
いかに高度な人間的機能かということが分かります。

とは言え、ここは「音楽教室」では無いので、
「合わせる」のは、ギター伴奏する私の方です。
十数名から数十名の患者さんたちがイスに座って並んでいるその前に、
ギターを抱えた私もイスに座って対面し、
まずは1回「お手本」を弾いて唱います。
(ギターは自前のOvation Super Adamasを、
アンプ Roland AC-100につないで響かせています)。


♪うーさーぎー おーいし かーのーやーまぁーー
 こーぶーなー つーりし かーのーかーわぁーー♪

『1回聞いていて下さいね』と言っているのに、
釣られて、一緒になって歌い出す人がいるのはデフォルトです(笑)
その時には基本的には、正しいリズムでお手本を聞かせます。

次にみんなで一緒になってコーラス(本来の合唱とは違いますが)で歌うときには、
最初はバラバラになりがちです。
ほっておくと、所々でディレイをかけた状態(笑)となります。

私は伴奏のギターを分かりやすいリズムにして鳴らし、
基本のメロディーラインを大きな声で唱い、
「中心」が聞こえるようにします。
そうすると、しだいに皆の声もその中心にまとまってきます。


すべての曲でうまく行くとは限りませんが、
スタンダードな歌ではそれができることが多いです。
そして、みんなの声がひとかたまりになって歌い続けてくると、
不思議なことが起こってくることがあります。
声が、段々と豊かに張り出してくるのです。

たぶん客観的に聞いたら、決して上手い唄い方ではありません。
でも、ふだんの病棟生活で、あまりしゃべらない孤独なおじいさん。
『食事に毒が入っているから食べない』と訴えるおばあちゃん。
廊下の片隅で独り言をつぶやいている男性。
拒食過食・自傷行為が止まらない女性。
そんな患者さんたちの日常の病棟生活からは、
ふだん聞こえない「声」が沸き出てくるのです。


♪こーこーろー ざーしを はーたーしーてぇーー
 いーつーのー ひーにか かーえーらーんんーー
 や-あまーはー あ-ぁおーきー ふ-うるーうぅさ-あとーー
 みーずーはー きーよき ふーるーさーとおーー♪

最後の方では、嬉しさの叫び声なのか、涙声なのか、
分からない声も混じっての「歌の束」になっていくこともあります。
“きっといろんな思いをこめて、唱っているのだろう”。
そう思うと、こっちも時にうるっと来ることもあります。

でも伴奏者はあくまでも、冷静であることが大切です。
伴奏者が必要以上に感情的にならないことで、
逆に患者さんは安心して、自分のペースで唄えるのですから。

歌い終わった後の患者さんたちは、
涙が光っていることもあるけれど、
一様に嬉しそうな表情であることが、印象的です。


どんな仕事も、決して楽ではないでしょう。
むしろ大変なことの方が、多くあると思います。
私のふだんの仕事もそうですが。
それでも・・・、
こういう「音楽の力」を感じられる瞬間が、時として在るということ。
それは決して「残るもの」では無いし、たいしたものでも無いのですが、
私に、音楽をやれていることの不思議さと感謝を、
思い起こさせてくれます。


たぶんそんな「仕事」とバランスを取り、永く続けていく意味でも、
プライベートでの自分の音楽作品では、テンポや形式に取らわれ無い、
好きな曲調で創っていくのが、好きなのでしょう。


作品同様、文章も長くて、ごめんなさい〜m(__)m
読んで下さって、ありがとうございます。

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投稿者 スレッド
yuuichik
投稿日時: 2012-8-5 23:26  更新日時: 2012-8-5 23:29
校長
登録日: 2004-2-16
居住地:
投稿数: 2404
 おっぱいパンさん> ギター伴奏者「音楽の力」を知る
いやー、おっぱいパンさん、読んでくれて、ありがとうございます♪
おっぱいパン・・・、あー、長いから、エビバさんにしますね!
エビバさんが自身のガレぷろで書いていたように、
「みんなの話が聞きたい」というリクエストに応える形で、
これを書いてみたんですよ♪

なので、某所での
「海老ば」発言は、冗談として許してくださいね(笑)


> 合奏(唱)の重要性を認識しましたし、
> 私がkankanさんとのやり取りで言いたかったことが全部書いてありますw

うそつきっっ!(笑)
「おっぱい、いっぱい、大好き!」しか書いてないじゃないですか!
ま、ホントは、そうした男の願望に隠れて、
ふかーい音楽談義があるらしいことは、読めましたけど(笑)


> 俺たちはひとつだ!みたいなw

気恥ずかしいですが・・・、
というよりも、「皮肉(かわにく)屋」のエビバさんが、
よう言い張りますなぁ〜、と、
何とか弁になるぐらい驚きましたが(笑)、

「何故エビバ氏は、かわにく屋になったか?」を分析すれば、
本当は「この感動がひと一倍欲しい」のに、
でも「簡単には手に入らないこと」が分かっているので、
「強く期待しないことを自分に課している」から、
ついつい「自分にも、人にも、かわにくっぽくなってしまう」・・・。
なんて、想像しました・・・(笑)

いや、失礼しました。私の悪いクセです〜m(__)m

せっかく、
> さすがは校長。文章が軟らかいですね。
> 長文でも実に読みやすいです
> 読む音楽、堪能しました♪

こんな素敵な誉め言葉を下さった、優しいエビバさんなのに、
私の方が、気恥ずかしいがために、
「かわにく屋」になっちゃいましたね(*^^*)
yuuichik
投稿日時: 2012-8-5 23:04  更新日時: 2012-8-5 23:07
校長
登録日: 2004-2-16
居住地:
投稿数: 2404
 kankanさん> ギター伴奏者「音楽の力」を知る
ガレぶろ、気づいちゃいましたよっ。
そりゃ、「おっぱい」「オッパイ」「わっしょい」っと
連呼していると、嫌でも、ううん、
隠れおっぱいファンとしても、黙っていられませんから(笑)

それはさておき・・・。
そう「自分が臨床」つまり「自分の実体験」を通して、
「音楽の力」のすごさ、感じますよね。

お父様・・・、そうなんですね。
本当にご苦労さまです。
優しい息子さんが居て、お父様も良かったですね。


カラオケ大会って、ホントに「盛り上がるイベント」なんですよね。
うちの病院でも、病棟内ではもちろん、
病院全体としても「七夕会」と「クリスマス会」があり、
体育館のステージで、各病棟の代表のカラオケを披露する場があり、
盛り上がっています。
みんな、そういうのが大好きなんですよね。

そう、多くの患者さんはあまり大きな声が出せない分、
マイク→アンプ増幅→スピーカーという文明の利器が、
人に「力」を与えてくれます。
これも「音楽の力」の成せる技ですね。


> 音楽って、所詮は遊びなのでしょうが、
> ヒトにとって、必要不可欠なんですね

そうですね、
「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん」ですよね♪
yuuichik
投稿日時: 2012-8-5 22:43  更新日時: 2012-8-5 22:45
校長
登録日: 2004-2-16
居住地:
投稿数: 2404
 ziziさん> ギター伴奏者「音楽の力」を知る
おぉ、ziziさん、同じ「妄想族」同盟として、嬉しいですよぉ(^o^)

ziziさんは「お仕事」関係で、病棟に入ったことがあるんですね。
そうですか。何のお仕事だろう??って、
ちょっと興味を持っちゃいました。
ま、それはいつか「妄想族ぶっちぎり大集会」wの時にでも、
呑みながら聞かせてください(笑)


「ピアノで童謡を指一本で弾くおばあさん」のエピソード。
グッと来ましたよ・・・。
そういうエピソードをちゃんと憶えているziziさんは、
人の心の機微が分かる方なんですね。素敵です♪

私も病院の仕事をしていると、大変なことも多いですが、
外からは決して見えないし、外には言えないけれど、
「ステキなエピソード」も、たくさんあるんですよ。
それもいつかお話しできたら。

「音楽は人を選ばない」
「楽器がヘタで音痴でも、その人に合った楽しみ方」ができる。
いいですね♪
ここGBUCも、それぞれがいろんなやり方で、
音楽を楽しめて、発表できる・・・、
ホント素敵な場所ですよね♪
yuuichik
投稿日時: 2012-8-5 22:10  更新日時: 2012-8-5 22:13
校長
登録日: 2004-2-16
居住地:
投稿数: 2404
 Beat720さん> ギター伴奏者「音楽の力」を知る
Beat720さん、読んでいただき、コメントまで〜〜。
お恥ずかしいですが、うれしいです。ありがとうございます♪

そうですね、まー、限定的なカミングアウトです(笑)

そうですか、Beat720さんも似たような分野が専門なんですね。
それはそれは、奇遇ですね〜♪

「音楽療法」の件・・・、
そう言えば、以前確か、私の何かの作品へのコメントで、
書いてくださったことがありましたよね。。。
あれは、でも、てふてふ時代の名前で、でしたっけ?(笑)

あ、今見つけました。この作品の時ですね。
七つの子


私がやっているのは「療法」とまでは言えない、
レクリエーションの一環としてのコーラスですが、
多少「隠し味」程度に、患者さんの気持ちが発散できれば、
と願ってやっていきます。

「流行歌や思い出の曲」って、
本当に「多くの」人を同時に癒すときには、
強い力を持つものですね。
やってみて、改めてその偉大さを知りました。

「音楽」は、きっと人と人とをつなぐ、
あるいは人と人とを包み込む、情緒的な力だと思います。

それは本当に、双方向的なものですよね。
ゲスト
投稿日時: 2012-8-5 14:30  更新日時: 2012-8-5 14:31
 Re: ギター伴奏者「音楽の力」を知る
さすがは校長。文章が軟らかいですね。
長文でも実に読みやすいです。

音楽って人の心を豊かにするものなんですね。
改めて合奏(唱)の重要性を認識しましたし、
なんと言うか、私がkankanさんとのやり取りで言いたかったことが全部書いてありますw

そうなんですよね、リズムに合わせるのが一番大変なんですよね。
そこが上手く行かないと何も始まらないというw
でも、揃った時の感動ったらっっ

俺たちはひとつだ!みたいなw

うーむなるほど。
うむうむ。

読む音楽、堪能しました♪
kankan
投稿日時: 2012-8-5 9:01  更新日時: 2012-8-5 9:01
TheKanders
登録日: 2008-1-14
居住地:
投稿数: 2002
 Re: ギター伴奏者「音楽の力」を知る
ガレぶろ、気付いちゃったっすか。

「音楽の力」
自分自身の臨床でその力に感謝。
音楽って、確かに脳と心を活性化しますね。

父親が全身不随で、北海道のセンターにいるものですから、
帰省する度に、身体障害者と知的障害者と接してました。
カラオケ大会は大いに盛り上がるイベントです。
若くしてしゃべることができなくなった人から、
90歳を超えてるのに、ハツラツした声を発する人まで、
さまざまな「歌」を聴くことができます。

マイクとスピーカーは、やはり大きな発明で、
演奏の中で、微かに歌う声を拾ってくれます。
歌というより、「アーウー」だけだったりしますが、
歌い終わると、拍手の中で、本人、かなり興奮しております。

自己満足って、あまりいい意味で使われないですが、
自己満足のないものって、本物ではないように感じられました。

音楽って、所詮は遊びなのでしょうが、
ヒトにとって、必要不可欠なんですねって、
うなづきのリズムをとってくれるバーテンダーにつぶやいてみる。
zizi
投稿日時: 2012-8-4 23:07  更新日時: 2012-8-5 7:16
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re: ギター伴奏者「音楽の力」を知る
先日より急に御世話になっております、ziziでございます。
ホントすみません...

大変なお仕事ですね...

ちょっとだけ仕事の関係で病棟に入った(というか職員の方の後ついて
通過しただけ)事ある程度ですが、その大変さは想像に難くありません。
非常に頭が下がる思いです。

「音楽の力」ですね、そういえば以前仕事である家庭にお邪魔した際に、
おばあさんがいらっしゃって、家の中の会話の雰囲気からどうもお嫁さんの
方が何故か立場が強いみたいで..怒られたりしてるんですよ。

で、その家ピアノがあったんですけど、私に童謡のメロディーを指一本
だけで弾くのが楽しみ..みたいな事を仰ってあったんです。
楽器が出来る人にとってはなあんだそんな事が...と思うような事が、
そのおばあさんにとっては、とても大切な事で、何と言いますか、
ただの趣味ではなく心の支えみたいなモノになっていたんじゃないかと
思うんです。

人は音楽を選ぶかもしれませんが音楽は人を選ばない。
「fun」と思える人には、楽器がヘタでも音痴でもその人に合った
楽しみ方をする事が出来る、という気がしました。

ちょっと意味不明の長文になってしまいましたがそんな事を思い出しました。
失礼いたしました〜。
ゲスト
投稿日時: 2012-8-4 17:32  更新日時: 2012-8-4 18:35
 Re: ギター伴奏者「音楽の力」を知る
お〜校長殿は、精神科におつとめなんですね。
私は、福祉系の大学を出て、精神科の病院で実習したこともありますし、他領域で働いていましたが、施設に入所している精神疾患の方のケアをしていた時期もあります。

 ご苦労が多い仕事ですよね。尊敬します。

 そのむかし、施設で音楽療法を取り入れて、アシスタント役をやっていたこともあります。高名な療法家の先生だったので、とても勉強になりました。

 色々やっていると、「こんな歌を知っているのか?」と驚くこともあって、やりながら、担当の先生と「発掘作業だね」と言ってました。毎週1時間ほどですが、我慢の多い施設生活で、自由に歌をうたったり、身体運動(踊るんですが)などをすると、みんな笑顔で帰って行きました。

 そんなことを思い出しました。その人のこころの支えになった流行歌や思い出の曲を再演するのは、とてもエンパワーメントされるし、レジリエンスを高めると思います。

 人がいて、人と何かをするその媒材が音楽というのはとても素敵ですね。

 で、もてなす方も、癒されるんですよね。双方向というか。そんな気がします。
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