SCRAPS さんの日記
2014
3月
11
(火)
22:03
本文
宮沢賢治の「やまなし」という児童文学の短編作品があります。
多くの子ども達に愛されてきた作品だと思いますし、もしかすると学校の授業で読んだことがあるという人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
その話の冒頭に、クラムボンというキャラクターが登場しますが、クラムボンは宮沢賢治の造語なので実態が何なのかははっきりしてないのだそうですよ。
そんなわけでこの「やまなし」という作品については、実にさまざまな研究がありまして、クラムボンの正体についても諸説あるのですよね。
そんな中でも一応定説的な扱いになっているのがクラムボン=泡説。(定説的な扱いとしたのは、定説とまで言われる説が無い中で、比較的有力な説とされているという意味で)
他にも亡くなった賢治の妹説やら日光(太陽)説、アメンボ説、蟹のお母さん説、クラム=ハマグリ説など様々。
究極は解釈してはいけない説なんてものまであり、多くの場合かなり深読みされており、皆さんアカデミックなのですね。
もし読んだことのない方や、もう一度読んでみたい方、すでに宮沢賢治の作品は著作権切れなので青空文庫でフリーで読めますよ。
「やまなし」は子ども向けの短編なのでものの数分で読み切れると思います。
さて、上述の通り諸説あってなかなか深い解釈もされているのですが、楽しいので私も不遜ながら考えてみました。(実際には以前書いていたブログにもうずいぶん前に投稿した内容なのですけども)私としては、クラムボンの正体は子どもじゃないのかなと思っているのですが、今日はそのことについて書いてみようと思います。
描かれているのは水中で生活する幼い蟹の兄弟のほのぼのとした日常のひとコマ。
絵としては小川の川底から川面の方を見上げた風景が描かれています。
水中の世界から見れば外の世界に存在する人間、しかも子どもなんて未知の生物もいいところですから、クラムボンなんていうなぞの名前をつけたっておかしくないですよ。
ボンクラのアナグラムなのか、あるいはボンっていうのは「坊」のことなのでしょうか。まぁ、色々と想像はできます。
ちなみに、アイヌ語でkur=影(接尾語の場合は英語のmanと同意だそうですが、接頭語の場合はこの意だそうです)、ram=低い、pon=子どもを意味するそうです。宮沢賢治の草稿ではクラムポ(boでなくてpo)ンとなっていたそうで、wikipediaの情報によれば古い全集ではクラムポンと表記されているのだとか。
ただの偶然なのかもしれませんが。
クラムボンは'かぷかぷ'笑うのですが、これ、揺れる水中から見た楽しそうに笑う子どもたちの様子を的確に描写してると思いません? かぷかぷ。
魚がやってくるとその姿を見てクラムボンは笑うのです。それも飛び跳ねて笑ったりします。
次にクラムボンは死んだ、殺されたという描写が出てくるのですが、子どもたち(それも昔の子どもですから)ってよくチャンバラ遊びとか戦争ごっこみたいのとかしてやられたぁ〜とかやりますよね。
で、死んだはずのクラムボンは魚が戻ってくるとすぐにまた笑うのです。
いかにも飽きっぽくて移り気な子どもらしい行動ではないでしょうか。
そのあと、にわかにぱっと明るくなるのですが、この描写はそれまで子どもたちが水辺で魚や蟹のすぐそばにいたんだということを説明しているように思えますね。
つまりそれまで子どもたちが太陽を遮って、蟹の兄弟にとっては影を作っていたということ。
そして、明るくなるとしばらくして、それまで落ち着きのなかった魚も戻ってきて、今度はゆったりと落ち着いて泳ぐのです。
影の描写は、光が斜め方向から差していることを示していて、そのことも岸辺の子どもたちが影を作っていたことを示している描写の一環かと思うのですが、そう考えると賢治の描写のすばらしさもまた際立ちます。
そして、警戒すべき人間がいなくなってから、川蝉が魚をさらって行くのも理にかなった描写です。
私自身にはこれが自然な解釈に思えるのですが、ネットで見る限りでは同意見は皆無のようです。
クラムボンは人間だと言う説を立てている方もいらっしゃるにはいらっしゃいましたが、その方々の説では泳いでいたとか実際に殺人が起こったとか……。
しかしそれだと賢治が丹念に描写している水中に差し込む光の穏やかな描写と矛盾しているし、そもそも「やまなし」が童話であることを無視した解釈ではないかなと思います。
子どもは小川を覗き込んで歓びますが、逆に水中の蟹の兄弟から自分たちが覗かれていたり、蟹が自分たちと同じように兄弟げんかしてたり、蟹のお父さんから早く寝ろと言われたりという想像をふくらませながら小川を覗き込んだら、きっともっともっと楽しくなるでしょうね。
ブクブク水面に上がっていく泡が描写されていますが、蟹の兄弟が張り合って大きな泡を出してるなんて想像しながら見たら、きっと子どもにとって楽しいに違いないのです。
賢治は子どもたちにそんな豊かな発想力やイメージする力を伝えたかったのではないでしょうか。
こちらにクラムボンの正体に関する様々な説がまとめられていましたので、興味のある方はどうぞ。
さて、皆さんにとってクラムボンの正体は何ですか?
クラムボン / パンと蜜をめしあがれ
音楽好きのみなさんにとって、クラムボンといえばバンドのClammbonかもしれませんよね。私も大好きなんです。
こちらのクラムボンとの出会いはたまたまTVで流れていたデビュー曲のPV。
耳を奪われ、その後デビュー・アルバムを予約してワクワクしながら待っていたのを思い出します。
その時見たPVがこの「パンと蜜をめしあがれ」でした。いやぁ、改めて今聴いても冴えてますね。
多くの子ども達に愛されてきた作品だと思いますし、もしかすると学校の授業で読んだことがあるという人も結構いらっしゃるのではないでしょうか。
その話の冒頭に、クラムボンというキャラクターが登場しますが、クラムボンは宮沢賢治の造語なので実態が何なのかははっきりしてないのだそうですよ。
そんなわけでこの「やまなし」という作品については、実にさまざまな研究がありまして、クラムボンの正体についても諸説あるのですよね。
そんな中でも一応定説的な扱いになっているのがクラムボン=泡説。(定説的な扱いとしたのは、定説とまで言われる説が無い中で、比較的有力な説とされているという意味で)
他にも亡くなった賢治の妹説やら日光(太陽)説、アメンボ説、蟹のお母さん説、クラム=ハマグリ説など様々。
究極は解釈してはいけない説なんてものまであり、多くの場合かなり深読みされており、皆さんアカデミックなのですね。
もし読んだことのない方や、もう一度読んでみたい方、すでに宮沢賢治の作品は著作権切れなので青空文庫でフリーで読めますよ。
「やまなし」は子ども向けの短編なのでものの数分で読み切れると思います。
さて、上述の通り諸説あってなかなか深い解釈もされているのですが、楽しいので私も不遜ながら考えてみました。(実際には以前書いていたブログにもうずいぶん前に投稿した内容なのですけども)私としては、クラムボンの正体は子どもじゃないのかなと思っているのですが、今日はそのことについて書いてみようと思います。
描かれているのは水中で生活する幼い蟹の兄弟のほのぼのとした日常のひとコマ。
絵としては小川の川底から川面の方を見上げた風景が描かれています。
水中の世界から見れば外の世界に存在する人間、しかも子どもなんて未知の生物もいいところですから、クラムボンなんていうなぞの名前をつけたっておかしくないですよ。
ボンクラのアナグラムなのか、あるいはボンっていうのは「坊」のことなのでしょうか。まぁ、色々と想像はできます。
ちなみに、アイヌ語でkur=影(接尾語の場合は英語のmanと同意だそうですが、接頭語の場合はこの意だそうです)、ram=低い、pon=子どもを意味するそうです。宮沢賢治の草稿ではクラムポ(boでなくてpo)ンとなっていたそうで、wikipediaの情報によれば古い全集ではクラムポンと表記されているのだとか。
ただの偶然なのかもしれませんが。
クラムボンは'かぷかぷ'笑うのですが、これ、揺れる水中から見た楽しそうに笑う子どもたちの様子を的確に描写してると思いません? かぷかぷ。
魚がやってくるとその姿を見てクラムボンは笑うのです。それも飛び跳ねて笑ったりします。
次にクラムボンは死んだ、殺されたという描写が出てくるのですが、子どもたち(それも昔の子どもですから)ってよくチャンバラ遊びとか戦争ごっこみたいのとかしてやられたぁ〜とかやりますよね。
で、死んだはずのクラムボンは魚が戻ってくるとすぐにまた笑うのです。
いかにも飽きっぽくて移り気な子どもらしい行動ではないでしょうか。
そのあと、にわかにぱっと明るくなるのですが、この描写はそれまで子どもたちが水辺で魚や蟹のすぐそばにいたんだということを説明しているように思えますね。
つまりそれまで子どもたちが太陽を遮って、蟹の兄弟にとっては影を作っていたということ。
そして、明るくなるとしばらくして、それまで落ち着きのなかった魚も戻ってきて、今度はゆったりと落ち着いて泳ぐのです。
影の描写は、光が斜め方向から差していることを示していて、そのことも岸辺の子どもたちが影を作っていたことを示している描写の一環かと思うのですが、そう考えると賢治の描写のすばらしさもまた際立ちます。
そして、警戒すべき人間がいなくなってから、川蝉が魚をさらって行くのも理にかなった描写です。
私自身にはこれが自然な解釈に思えるのですが、ネットで見る限りでは同意見は皆無のようです。
クラムボンは人間だと言う説を立てている方もいらっしゃるにはいらっしゃいましたが、その方々の説では泳いでいたとか実際に殺人が起こったとか……。
しかしそれだと賢治が丹念に描写している水中に差し込む光の穏やかな描写と矛盾しているし、そもそも「やまなし」が童話であることを無視した解釈ではないかなと思います。
子どもは小川を覗き込んで歓びますが、逆に水中の蟹の兄弟から自分たちが覗かれていたり、蟹が自分たちと同じように兄弟げんかしてたり、蟹のお父さんから早く寝ろと言われたりという想像をふくらませながら小川を覗き込んだら、きっともっともっと楽しくなるでしょうね。
ブクブク水面に上がっていく泡が描写されていますが、蟹の兄弟が張り合って大きな泡を出してるなんて想像しながら見たら、きっと子どもにとって楽しいに違いないのです。
賢治は子どもたちにそんな豊かな発想力やイメージする力を伝えたかったのではないでしょうか。
こちらにクラムボンの正体に関する様々な説がまとめられていましたので、興味のある方はどうぞ。
さて、皆さんにとってクラムボンの正体は何ですか?
クラムボン / パンと蜜をめしあがれ
音楽好きのみなさんにとって、クラムボンといえばバンドのClammbonかもしれませんよね。私も大好きなんです。
こちらのクラムボンとの出会いはたまたまTVで流れていたデビュー曲のPV。
耳を奪われ、その後デビュー・アルバムを予約してワクワクしながら待っていたのを思い出します。
その時見たPVがこの「パンと蜜をめしあがれ」でした。いやぁ、改めて今聴いても冴えてますね。
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投稿者 | スレッド |
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SCRAPS | 投稿日時: 2014-3-15 20:54 更新日時: 2014-3-15 21:48 |
ターミネーター ![]() ![]() 登録日: 2007-1-27 居住地: 宮崎市 投稿数: 1424 |
![]() こちらにもコメントどうもありがとうございます!
クラムボン(バンド)いいですよねぇ。 ほぅほぅ。何かの小さな生物ですね。 そういう説もありますから、私の説のほうがマイノリティ(っていうか私以外にこの説を唱える人は皆無のようです)なので、zizi監督の説の方が多分有力なんだと思いますよ。 お、しろくまカフェですね。 私も好きで、アニメも時々見てましたねぇ。 最近の萌系アニメはそんなに得意な方ではないのですが、音楽をチェックしていてアニメのOPやED曲に行き当たることもちょいちょいあります。 あと、ミュージシャンを追っていてアニメ声優のアルバムに行き当たることもあります。 最近ヒットだったのは声優の(誰だっけ……、ただ今HDD内を検索中w 記憶力が悪すぎて……苦笑。お陰で「キヲク」なんていう曲が生まれたりしたわけですが)花澤香菜のアルバムです。1stアルバムもつい最近出た2ndアルバムもかなりの力作で、そう言えばクラムボンのミト氏も参加してるんですよね。 あと、(またまた検索中・笑)豊崎愛生のちょっと前のアルバムも聴きましたがよかったですよ。(いずれも参加ミュージシャンから行き当たったんで、同じようなミュージシャンが参加してます) てなわけで、いつも律儀にコメント頂きまして大変励みをいただいてます。 どうもありがとうございます! |
zizi | 投稿日時: 2014-3-15 19:19 更新日時: 2014-3-15 19:19 |
![]() ![]() 登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3257 |
![]() ううむ。。。私不勉強ながら未読でした。
バンドの方はそれ程聴きこんでるわけでは無いですが私も好きです。 初めて聴いたのはFMでしたが「これは!」っとびっくりしましたね。 ピアノメインのサウンド、一風変わった独特の雰囲気を持っていながらも キャッチ―さを損なっていないという私好みのサウンドでした。 で、「くらむぼん」についてですが、相変わらずの観察眼ですね〜! 実は私の家の近所に行った事無いですが同名の喫茶店兼スナック風の 店があり、その看板に何やら靴の絵柄が描いてあって、何となく 「ああ、あの「くらむぼん」という言葉は何かの靴の種類だったのか」 と思い込んでいて語源を捜そうという発想がなかったんです(何の言い訳か) それでですね。早速私も読んでみました。う〜んナルホド人間の子供ですか。。。 そんな風にも感じられましたが。。。ちょっと心を無にして読み返してみると 魚が通り過ぎてから殺されてるようなので、ここは素直に魚に食われたもの、 みたいな気がしてきました。何かの小さな生物みたいなのでしょうか。 あっ。ちょっとつまらない解釈ですねスミマセン… ちなみに私のお気に入りはこれ↓ http://www.youtube.com/watch?v=N_SjknWet3A それとついでにこれに出てくるキャラでお気に入りは 「みずねむ」とはまったく無関係ですが「笹子さん」(笑) http://www.youtube.com/watch?v=iMwudyMUW8k また時間楽しみにお待ちしております〜 |
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