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gigo さんの日記

 
2012
9月 27
(木)
12:36
セーラー服とバイオリン
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本文
9月24日の各新聞で一斉に載った「バイオリニストの諏訪根自子」が、今年3月に亡っていたという報道を、多くの人は読んだかと思います。

朝日、毎日、読売
http://www.asahi.com/obituaries/update/0924/TKY201209240582.html
http://mainichi.jp/select/news/20120925k0000m040092000c.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20120924-OYT1T01416.htm

諏訪根自子演奏「インディアン・ラメント」ドボルザーク
http://www.youtube.com/watch?v=coAzm1TJG4g




諏訪根自子「プレルデイアムとアレグロ」パガニーニ




記事は「戦前の美少女天才バイオリニスト、16才でウイーンに留学、ナチス宣伝相のゲッベルスからストラディバリウスを贈られ、戦後も活躍。最近は消息も聞かなくなっていたが、今年3月亡くなっていたのがわかった。」と言うような内容でした。実はこれに先立って9月21日のニューヨークタイムス誌に「A Violin Once Owned by Goebbels Keeps Its Secrets」と言う記事が載って、諏訪根自子が亡くなっていると言う記述があったのです。たぶん、それがきっかけで日本の新聞社がこぞって報道をしたのでしょう。

しかしニューヨークタイムスの記事の趣旨はバイオリニストの死ではなく、ゲッベルスが贈ったストラディバリウスの身元の探索なのです。第二次大戦後イスラエル(ユダヤ人)はナチスの罪を暴いて償わせるために、大戦後身を隠して生き続けている、ユダヤ人殺害の首謀者達を探し続けています。その中でも特に有名な、1960年アルゼンチンで捉えられイスラエルで処刑された、ナチス親衛隊アドルフ・アイヒマンの名前を聞いた事があるかもしれません。その後もユダヤ人殺害首謀者の調査を続け、幾つかの成果を果たして来ましたが、大戦から70年近くたって来たため、容疑者のほとんどは高齢で調査困難なため、しばらく前からナチスによって奪われた、ユダヤ人の財産、美術品等にフォーカスを移して来たと言われています。NYタイムスの記事は、その美術品調査の経過(あるいは成果ともう言うべきか)を纏めたものなです。

記事では諏訪根自子が贈られたストラディバリウスが、ユダヤ人から略奪されたモノと言う断定はしていません。しかしゲッベルスが購入したものかもしれないと言う含みは残しつつ、根自子が贈られた時の新聞インタビューで語った1722年と言う制作年度から20のストラディバリウスを推定し、その中でもアートコレクターのオスカー・ボンディか、ヨハン・シュトラウスIIのユダヤ人の連れ子から奪われたモノという可能性を示唆しています。

記事の後半は、連合軍のパリ進行直前、諏訪根自子が何度か空襲に会いながらバイオリンを肌身離さず、日本人外交官らと汽車でアルプスを越え逃げ落ち、アメリカ兵に捉えられフランスの港からニューヨークまで送られた後、終戦を迎えて外交官待遇でペンシルベニアの保養地ベッドフォード・スプリングのホテルに、他の外交官等183名と共に幽閉され、日本に送り返される前、やはりベッドフォード・スプリングにいた近衛秀麻呂の指揮で、ゲッベルスから贈られたバイオリンで演奏会を催した話や、51年ハリウッドに渡り多くの観衆の前でナチスに禁じられたメンデルスゾーンの曲を演奏したなど、映画にもできそうなスリリングで非常に興味深い話が語られています。

現在、根自子のストラディバリウスは彼女の甥が所有しているそうで、NYタイムスの記事の筆者(バイオリン制作者であり弁護士。たぶんユダヤ人)は電話でその甥に、「バイオリンについてのお話しをするつもりはありません」と言われたらしく、私の考えではこの記事は、バイオリンの実物を公開させるための、布石のように思われたのです。つまりまず国際世論形成から圧力を与えて実物の鑑定をし、バイオリンの由来の証明に迫るためでしょうか。

NYタイムス「A Violin Once Owned by Goebbels Keeps Its Secrets」
http://www.nytimes.com/2012/09/23/arts/music/nejiko-suwa-and-joseph-goebbelss-gift.html?_r=0&adxnnl=1&adxnnlx=1348620809-PeGWZUxReYGKjpcmmxC2Ow

諏訪根自子の伝記的な日本語のページがありました。
http://www.hananoe.jp/classical/takuminomiri/takuminomori13.html

諏訪根自子のストラディバリウスの話は、いろいろとワクワクさせるような内容で、どこかで映画にでもしないかなー、などとつまらない事を色々と考え始めて、タイトルはやっぱり「セーラー服とバイオリン」で、留学から演奏家として活躍した時代は長澤まさみで、晩年は薬師丸ひろ子で。しかしもっと若いデビュー時の美少女が思いつかないのです。

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投稿者 スレッド
gigo
投稿日時: 2012-10-13 1:34  更新日時: 2012-10-13 1:37
登録日: 2004-6-2
居住地: 中央公園西半丁入る北通り下駄履き最上階北窓日照短猫付時折雨漏り環境並地下鉄バス近大通り東3丁目元馬通
投稿数: 4160
 ziziさん> セーラー服とバイオリン
ziziさん
着々と研究は進んでいるようですね。

その後少し日本の戦前戦時中ヨーロッパ外交をネットで調べてみた処
http://www.saturn.dti.ne.jp/~ohori/sub19.htm
ここに諏訪根自子や結婚した大賀小四郎の記述がありました。
書いているのがどういう人なのか分からないけれど、ちょっと面白い。

他に英語ですが(たぶん日本人が書いたのか?)
「”Three Violin Maidens” ヴァイオリン三人娘 」
http://www.violinist.com/blog/Ku92me/20116/12394/
こちらも興味深いです。

もうひとつ根自子をモデルにした小説「総統のストラディヴァリ」
と言うのがあるようですね。

ストラディバリウスが購入されたものなのか不明なので、
ニューヨークタイムスにあったように、鑑定を求めているのでしょうけれど
ユダヤ人はすごい執念だなーと、いつもながら思ってしまいます。
と言うのも、もし次の原発事故で日本が住めない土地になったら
日本人は世界各地に飛散して流浪の民になって
1000年後に日本に戻る日本人のアイデンティティは、
果たして保たれるのかなーなどと、最近時々考えてしまってね。

 
zizi
投稿日時: 2012-10-12 5:20  更新日時: 2012-10-12 5:20
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re: セーラー服とバイオリン
現在重版未定となってるようですが、運良く「美貌なれ昭和」という文庫本を入手しました。
(神風号の二人と諏訪根自子について書かれた本です。)これによると諏訪氏本人はこの
ストラディバリウスはドイツ側からは仲買業者から購入した、と聞いたらしいですね。
当時ドイツは両方の事をやっており、証拠となるような物はどちらも見つかってないようです。
しかし子供時代はお転婆で木登りが得意であったそうで...パリからベルリンへの逃避行など
その部分だけで一本の映画に出来そうです。

しかしひわたしさんのコメント...妄想力をくすぐる...
gigo
投稿日時: 2012-9-28 2:09  更新日時: 2012-9-28 7:57
登録日: 2004-6-2
居住地: 中央公園西半丁入る北通り下駄履き最上階北窓日照短猫付時折雨漏り環境並地下鉄バス近大通り東3丁目元馬通
投稿数: 4160
 ひわたしさん> セーラー服とバイオリン
ひわたしさん

あー、あのセーラー服のお嬢様は、根自子さまじゃございませんよ。

そう言えばひょうたん型の鞄をお持ちでしたので
お間違いになられたのかもしれませんね。

さあ、鞄の色までは気がつきませんでしたが
お帰りになる時は、たいそう重そうに両手で抱えて
お連れの方がご心配そうに、ご覧になっていらっしゃいました
確か、お連れは目高組とかの半纏をお召しだったと伺っておりますが
さ〜て、どちらのお嬢様でございましょうか。

ええ、さいでございます
「♪さよならは別れの〜言葉じゃなくーて〜」とか
口ずさんでいらしたようで

いえいえ、私どもはそれ以上の事は、どうぞご容赦くださいまシ。

  

  
gigo
投稿日時: 2012-9-28 2:07  更新日時: 2012-9-28 2:07
登録日: 2004-6-2
居住地: 中央公園西半丁入る北通り下駄履き最上階北窓日照短猫付時折雨漏り環境並地下鉄バス近大通り東3丁目元馬通
投稿数: 4160
 ziziさん>セーラー服とバイオリン
ziziさんも、
私と同じに何かピーンと来るものを感じたんですね。

「神風号」は、一部読んでみたいと思っていたので、
インフォありがとうございます。
確かに微笑ましい文ですね。

あはははー
映画の話は「セーラー服と・・・」に引っ掛けた
駄洒落のようなキャスティングなので、その程度に受け取ってください。

でも映画化でも、テレビ化でもいいから見たいです。
第一部は、無名の新人美少女希望!!
選考委員会に入りたい。
gigo
投稿日時: 2012-9-28 2:04  更新日時: 2012-9-28 2:04
登録日: 2004-6-2
居住地: 中央公園西半丁入る北通り下駄履き最上階北窓日照短猫付時折雨漏り環境並地下鉄バス近大通り東3丁目元馬通
投稿数: 4160
 SCRAPSさん>セーラー服とバイオリン
SCRAPSさん

確かに波瀾万丈で、まだこれからも
バイオリンを巡って何か起こるかもしれないですねー。

いろいろと探ってみたいような、沢山の魅力にあふれています。
ひわたし
投稿日時: 2012-9-27 23:44  更新日時: 2012-9-27 23:44
オビ=ワン
登録日: 2007-4-8
居住地: ロックンロールサーカス
投稿数: 1528
 Re: セーラー服とバイオリン
こんにちはー。ちょっと失礼しますよ。
こちら黒猫館に諏訪根自子さんが最近お忍びで立ち寄ったという噂を聞いたもんでね。
いえいえ、何も仰らなくて結構です。突然割り込んだのは私ですから
礼を欠いてるのは承知の上です。まあ、世界的音楽家がふらっとその時代ホットで面白そうな所に立ち寄るというのは、古今東西どこにでも有る話です。
でもね、私がちょっと気になったのは、諏訪根自子さんが持ってらした手荷物のひょうたん型の鞄の色が入る時と出る時とで違うように見えたという運転手の話です。
あー、ですよね。そんなの覚えてないですよね。
すいません、突然お邪魔しまして。
ところで、ひとつお伺いしたいのですが
帰る時に諏訪根自子さんは何か歌を歌うというか口ずさんではいなかったですか?

あー、そうですか。ありがとうございます。ひとつ先へ進む事が出来ました。
zizi
投稿日時: 2012-9-27 20:56  更新日時: 2012-9-28 6:00
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 Re: セーラー服とバイオリン
ああ...この話題、実は私にとってここ数日最大の関心事項でした...

この方の事、私は不勉強ながら存知あげておりませんでした。数日前会社の日○新聞のコラムに訃報が載っていたのを読んで初めて知ったのですが、こんな方がいらっしゃったんだと...正直かなり愕然としました。
ゲッペルスからヴァイオリンを贈られ、指揮者のクナッパーツブッシュ(むちゃくちゃクセの有る大家ですよね)と共演した事もあるそうで、どちらも歴史的大物ですよね。もうこれだけで大変感銘を受けておりました。

しかしユダヤ人とナチス...私の記憶では戦後のカラヤンの演奏会のチケットをユダ人が買占め空席にした事件やロリンマゼールがウィーンフィルニューイヤーコンサートを初指揮の時ビラが撒かれたとか、イスラエルフィルのワーグナーの曲へのタブー視等今尚負の遺産を払拭出来ないでいるのでしょうね...

更に飛行機好きな私の関心を惹いたのが「神風号」との接触。
「神風号」は後年の特攻隊ではなく大戦間に行われた訪欧親善飛行で当時の世界記録を樹立した新聞社の連絡機(元は軍用偵察機ですが)の名前です。この機のベルギー訪問時に飛行士に花束を渡されたりされてあるのですね。この時弱冠17才。留学中でベルギー滞在中だったようですが、新聞社への手記がまたふるってます。

http://blog.goo.ne.jp/sat-kamikaze/e/203902c6dce3b7ac17927b6c537fb31c

>飯沼氏(神風号の飛行士の事です)はダンゼン素敵だったので、ジロジロ眺めるだけ眺めた。あゝ今日はホントに嬉しかった。

ちょっと胸がキュンとしました(笑)。何とも微笑ましいではないですか...これ程の才媛が普通にミーハーチックな感想を述べられてあり、とても人間味を感じます。

もしも戦争が無かったら...とどうしても思ってしまいますね。時代の流れに翻弄され、本当に大変な思いをされた事でしょう。帰国後、どのような思いで過ごされてあったのか...もしも願いが叶うなら...直接お会いして話が聞いてみたかった...

私も映像化を切に願います。もしも映画だったら2時間程度にまとめようとせず、三部作位でじっくり観て見たいものですね。配役は、往年は、そうですね、「セーラー服と..」のタイトルであれば薬師丸さんも良いですね。私だったら...若村麻由美さんか紺野美沙子さんとか。若い頃は...水川あさみさんが「のだめ」で見せたヴァイオリンの演技(←実際に弾いているように見えた)も捨てがたいですが...成海璃子さん(←確かピアノが出来る)か夏帆さん(←完全に個人的趣味に走っている)だったら...10代〜20代までいけるんじゃないかと...
SCRAPS
投稿日時: 2012-9-27 20:04  更新日時: 2012-9-27 20:04
ターミネーター
登録日: 2007-1-27
居住地: 宮崎市
投稿数: 1424
 Re: セーラー服とバイオリン
諏訪根自子さん、名前を聞いたことはあるという程度(演奏も多分何かで耳にはしていると思いますが)でしたが、とても波瀾万丈な人生を送られた方なのですね。
ストラディバリをナチスから送られるとは余程の才能をお持ちだったのでしょうね。しかもかわいらしいルックス。
ナチス絡みは色々と謎めいていて、妄想も膨らみます。なんだか急に手塚治虫の「アドルフに告ぐ」を読みたくなりました。
あ、映画化するなら誰が……という妄想も膨らんでますねw
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