zizi さんの日記
2014
3月
1
(土)
13:16
本文
Blue mirage
第20話
2014年 3月-4
ライブが終わった翌日。来週はもう終業式だ。
ボクにはやらなくちゃいけない事がある。言わなくちゃいけない事があるんだ。今ではボクは、教室の窓を開けて耳をすませば、音楽室にあの娘がいる事がわかるようになっていた。放課後、皆が帰るのを待って、ボクは音楽室に行こうと心に決め、教室を出ようとした。ところが。
「やめとき」
マコがボクの前に立ちはだかって止めようとする。
「何でそんな事言うんだよ、そこどけよ」
どいてくれよ、マコ。今日、ボクはもうこの暗澹たる想いから解放されるんだ。人を好きになる事がこんなに苦しいなんて知らなかったよ。
「今さ、いつものジジじゃないやろ」
そんな事はないさ、ボクはボクだ。
「オマエには関係ないだろ」
前にも言ったっけ。でも止めないでくれるかな。
「あんたの伝えたい事って、本当は何なんか思い出してるんか?」
わかってるさ、ボクはアサミちゃんが好きだ。ただその事を伝えるんだ。
「何でオマエにそんな事言われなきゃいけないんだよ!意味わかんねぇよ!」
あれ?ボクはどうしてこんなキツい言い方してんだろ。
「行ったらあかんて」
すぐに全てが終わる。どうせダメだけどさ。結果はわかってんだ。
「バカ言ってんな。どけよ!ジャマすんなよ!」
だから頼むからジャマしないでくれ。そして、それでボクもスッキリしたいんだ。
「少し...落ち着いてからの方がいいんやないか?」
ごめんマコ。今はこんな言い方しか出来ないや。
「いい加減にしろよオマエ!何偉そうな事言ってんだよ!さっさとどけ!」
「...」
ボクは何も言わなくなったヤツの肩を押しのけ、よろめいたマコがを机にぶつかって大きな音を立てたけど気にも留めずに教室を出た。
「余計な事考えんな...初めてアサミちゃんのピアノ聴いた時の気持ちを忘れてないよな...まっすぐに手ぇのばすんや!」
ヤツがそう叫んでいたようだったが、ボクの耳には入らなかった。
音楽室。
彼女はいつものようにピアノを弾いていた。でも今日はボクが部屋に入ってもこちらを見ようともせずに黙々とピアノを弾いていた。その曲が昨日ライブで聴いたあの曲だった事にボクは慄然とした。今日の彼女のピアノの音には...充足と寂寥、憧憬と喪失、そんな相反する感情が入り混じっていて複雑な表情を見せていた。ボクは、ただ、自分の気持ちを伝えよう。それだけを考えていたつもりなのに、その曲の表情の中に「仄かな期待」を見つけた時に...ボクの中で何かが歪んで醜い形に変貌した。
ボクはピアノを弾いてる彼女に構わずに話しかけた。
「アサミちゃん...」
返事は無かった。ただピアノの音だけが流れている。ボクは自分の感情をコントロール出来なくなり、言わないでおこうと思っていた事を口走ってしまった。
「ボクはただ…利用されてたんだよね…アサミちゃんがバンドの練習やライブハウスに出入りする間、それを許さなかったお母さんをカモフラージュするために」
彼女はピアノを弾き続けていた。憎らしいとも思ったがそれでも好きなんだと改めて思った。しかしどうしてもそれを彼女にぶつける事が出来ず、言うつもりも無く、また言うべきでない言葉が勝手に口を突いた。
「ね、知ってるかな?」
「何を?」
彼女はピアノを弾く手を休めずに初めて無表情に答えた。
「宮部先輩の事…」
あれ?ボクは何を言ってるんだろう...
「だから何の話?」
「いや…もしかしたらさ... アサミちゃん、宮部先輩の事好きなんだよね?」
いや...ボクが言おうとしたのはそうじゃない...
「…」
「もしかしたらアサミちゃん、あの宮部先輩に騙されてるんじゃない?」
違うだろジジ。伝えたかったのはそんな事じゃない...
彼女は突然ピアノを弾くのをやめた。
「…どうして…そんな事言うの…」
「あの宮部先輩さ…彼女いるんだよ」
肩が少し震えているように見えた。ボクは少し迷ったけど言った。
「あのバンドのマネージャーの女の人と…」
「知ってるわよそんな事くらい…」
「いや…だからさ…教えてあげようと思って…」
「何を言ってるのかさっぱりわかんない」
「宮部先輩もあれだよね、業界に認められたい一心でさ、ほかのメンバーを引き立て役にしてさ。どうせデビューするのは自分だけで、バンドの人達は切り捨てるつもりなんだよ」
「一体...何が言いたいの?」
「バンドにキーボード弾く人いないもんだからさ、アサミちゃん...ピアノ弾いたんでしょ?」
彼女は俯いていた顔を上げた。
「そんなの関係ないでしょ!」
少し大きな声にボクは少し驚いた。でもボクは言った。
「アサミちゃん、もしかして少し期待してるんじゃない?」
「え?だから、何言ってるのかさっぱりわかんないって言ってるでしょ!」
彼女はようやくこちらを向いた。
「だからさ、宮部先輩が自分の方振り向いてくれるんじゃないかって思ってるんじゃない?」
「何であなたがそんな事言うのよ!何度も言わせないでよ!そんなの関係ないでしょ!」
あれ?「ジジ君」って呼んでくれなかった...なんて場違いな事が頭を過った。今まで聞いた事がない強い言い方だった。でもボクは言葉を続けた。
「一緒に演奏したくらいでさ、そんな期待しない方がいいと思うけどね...ボク、見ちゃったんだ、宮部先輩がその女の人と…三好さんって言うんだよ、その人と車の中でキスしてるとこ…」
「人の気持ちがわかんない人が何を偉そうに言ってんのよ!大体何であなたにそんな事言われなくちゃいけないの!」
彼女は突然立ち上がり、ゆっくりとボクに近寄って来た。目には涙が浮かんでいるように見えた。でも、ボクは何で「ジジ君」と呼んでくれないのかその理由を考える間もなく、もう言わずにはいられなかった。
「何でって、だって…ボクはアサミちゃんの事が好きだから!」
そこまで言った時、バシっと大きな音がして...ボクの目の前まで近づいて来てた彼女の平手がボクの頬を打った。
「あんたなんか大っ嫌い!」
そう言って彼女は音楽室から走り去って行った。
廊下を走り去る足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなった。それでもずっとボクはそこに佇んでいた。
「ジジ…まだ居る?」
マコがそう言いながら薄暗くなった音楽室に恐る恐る入って来て、ボクの腕をつかんで体を動かしてくれるまでずっと立っていた。ヤツが来てくれなかったらボクは倒れるまでそこにいたかもしれない。押し黙ったまま二人で歩く帰り道、ボクは何も感じられなくなってしまっていた。
第20話
2014年 3月-4
ライブが終わった翌日。来週はもう終業式だ。
ボクにはやらなくちゃいけない事がある。言わなくちゃいけない事があるんだ。今ではボクは、教室の窓を開けて耳をすませば、音楽室にあの娘がいる事がわかるようになっていた。放課後、皆が帰るのを待って、ボクは音楽室に行こうと心に決め、教室を出ようとした。ところが。
「やめとき」
マコがボクの前に立ちはだかって止めようとする。
「何でそんな事言うんだよ、そこどけよ」
どいてくれよ、マコ。今日、ボクはもうこの暗澹たる想いから解放されるんだ。人を好きになる事がこんなに苦しいなんて知らなかったよ。
「今さ、いつものジジじゃないやろ」
そんな事はないさ、ボクはボクだ。
「オマエには関係ないだろ」
前にも言ったっけ。でも止めないでくれるかな。
「あんたの伝えたい事って、本当は何なんか思い出してるんか?」
わかってるさ、ボクはアサミちゃんが好きだ。ただその事を伝えるんだ。
「何でオマエにそんな事言われなきゃいけないんだよ!意味わかんねぇよ!」
あれ?ボクはどうしてこんなキツい言い方してんだろ。
「行ったらあかんて」
すぐに全てが終わる。どうせダメだけどさ。結果はわかってんだ。
「バカ言ってんな。どけよ!ジャマすんなよ!」
だから頼むからジャマしないでくれ。そして、それでボクもスッキリしたいんだ。
「少し...落ち着いてからの方がいいんやないか?」
ごめんマコ。今はこんな言い方しか出来ないや。
「いい加減にしろよオマエ!何偉そうな事言ってんだよ!さっさとどけ!」
「...」
ボクは何も言わなくなったヤツの肩を押しのけ、よろめいたマコがを机にぶつかって大きな音を立てたけど気にも留めずに教室を出た。
「余計な事考えんな...初めてアサミちゃんのピアノ聴いた時の気持ちを忘れてないよな...まっすぐに手ぇのばすんや!」
ヤツがそう叫んでいたようだったが、ボクの耳には入らなかった。
音楽室。
彼女はいつものようにピアノを弾いていた。でも今日はボクが部屋に入ってもこちらを見ようともせずに黙々とピアノを弾いていた。その曲が昨日ライブで聴いたあの曲だった事にボクは慄然とした。今日の彼女のピアノの音には...充足と寂寥、憧憬と喪失、そんな相反する感情が入り混じっていて複雑な表情を見せていた。ボクは、ただ、自分の気持ちを伝えよう。それだけを考えていたつもりなのに、その曲の表情の中に「仄かな期待」を見つけた時に...ボクの中で何かが歪んで醜い形に変貌した。
ボクはピアノを弾いてる彼女に構わずに話しかけた。
「アサミちゃん...」
返事は無かった。ただピアノの音だけが流れている。ボクは自分の感情をコントロール出来なくなり、言わないでおこうと思っていた事を口走ってしまった。
「ボクはただ…利用されてたんだよね…アサミちゃんがバンドの練習やライブハウスに出入りする間、それを許さなかったお母さんをカモフラージュするために」
彼女はピアノを弾き続けていた。憎らしいとも思ったがそれでも好きなんだと改めて思った。しかしどうしてもそれを彼女にぶつける事が出来ず、言うつもりも無く、また言うべきでない言葉が勝手に口を突いた。
「ね、知ってるかな?」
「何を?」
彼女はピアノを弾く手を休めずに初めて無表情に答えた。
「宮部先輩の事…」
あれ?ボクは何を言ってるんだろう...
「だから何の話?」
「いや…もしかしたらさ... アサミちゃん、宮部先輩の事好きなんだよね?」
いや...ボクが言おうとしたのはそうじゃない...
「…」
「もしかしたらアサミちゃん、あの宮部先輩に騙されてるんじゃない?」
違うだろジジ。伝えたかったのはそんな事じゃない...
彼女は突然ピアノを弾くのをやめた。
「…どうして…そんな事言うの…」
「あの宮部先輩さ…彼女いるんだよ」
肩が少し震えているように見えた。ボクは少し迷ったけど言った。
「あのバンドのマネージャーの女の人と…」
「知ってるわよそんな事くらい…」
「いや…だからさ…教えてあげようと思って…」
「何を言ってるのかさっぱりわかんない」
「宮部先輩もあれだよね、業界に認められたい一心でさ、ほかのメンバーを引き立て役にしてさ。どうせデビューするのは自分だけで、バンドの人達は切り捨てるつもりなんだよ」
「一体...何が言いたいの?」
「バンドにキーボード弾く人いないもんだからさ、アサミちゃん...ピアノ弾いたんでしょ?」
彼女は俯いていた顔を上げた。
「そんなの関係ないでしょ!」
少し大きな声にボクは少し驚いた。でもボクは言った。
「アサミちゃん、もしかして少し期待してるんじゃない?」
「え?だから、何言ってるのかさっぱりわかんないって言ってるでしょ!」
彼女はようやくこちらを向いた。
「だからさ、宮部先輩が自分の方振り向いてくれるんじゃないかって思ってるんじゃない?」
「何であなたがそんな事言うのよ!何度も言わせないでよ!そんなの関係ないでしょ!」
あれ?「ジジ君」って呼んでくれなかった...なんて場違いな事が頭を過った。今まで聞いた事がない強い言い方だった。でもボクは言葉を続けた。
「一緒に演奏したくらいでさ、そんな期待しない方がいいと思うけどね...ボク、見ちゃったんだ、宮部先輩がその女の人と…三好さんって言うんだよ、その人と車の中でキスしてるとこ…」
「人の気持ちがわかんない人が何を偉そうに言ってんのよ!大体何であなたにそんな事言われなくちゃいけないの!」
彼女は突然立ち上がり、ゆっくりとボクに近寄って来た。目には涙が浮かんでいるように見えた。でも、ボクは何で「ジジ君」と呼んでくれないのかその理由を考える間もなく、もう言わずにはいられなかった。
「何でって、だって…ボクはアサミちゃんの事が好きだから!」
そこまで言った時、バシっと大きな音がして...ボクの目の前まで近づいて来てた彼女の平手がボクの頬を打った。
「あんたなんか大っ嫌い!」
そう言って彼女は音楽室から走り去って行った。
廊下を走り去る足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなった。それでもずっとボクはそこに佇んでいた。
「ジジ…まだ居る?」
マコがそう言いながら薄暗くなった音楽室に恐る恐る入って来て、ボクの腕をつかんで体を動かしてくれるまでずっと立っていた。ヤツが来てくれなかったらボクは倒れるまでそこにいたかもしれない。押し黙ったまま二人で歩く帰り道、ボクは何も感じられなくなってしまっていた。
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投稿者 | スレッド |
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zizi | 投稿日時: 2014-3-12 23:13 更新日時: 2014-3-12 23:13 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
たとえ最後の1艦になっても、叩いて見せます! 監督「先程まで雷撃機が先に来て魚雷攻撃をしかけて行った。で、これはカンペキに防いでいるけど、その為に直掩のゼロ戦も対空砲火も低空に注意を引き寄せられていた」
佐藤「では上から?」 監督「そう。『敵機、直上!』と見張り員が叫んだ時には既に手遅れだった...時刻は10:22分からの6分間。急降下爆撃機がようやく日本空母上空に到着、上空から迫っていて、加賀、赤城、蒼龍に急降下爆撃をしかけた。これに日本艦隊は直前まで気付かず、対空砲火も遅れた。結果、三隻の空母は爆弾の直撃弾を数発受け火災を起こす。しかも兵装転換中の為格納されていない爆弾などに誘爆し被害が拡大し戦闘力を喪失、後に沈没(赤城は曳航も検討されたが結局雷撃処分)してしまったんだ...」 鈴木「アメリカ側は最後に見事な連携を見せたんですね」 監督「それがそういうワケでもないんだ。雷撃機が低空に注意を引きつけ、そのスキに上空から急降下爆撃を...ってそんな風に見えるがこれは全くの偶然だったんだ。最初に到達したエンタープライズ艦爆隊はナカナカ日本艦隊を見つけきれず、燃料切れの心配もあり、もう帰ろうかと考えていた。そんな所に偶然日本駆逐艦を発見する。この駆逐艦「嵐」は米潜水艦と小競り合いをしてて艦隊からはぐれてしまって、本隊に合流するため戻る途中だった。これをつけて行った艦爆隊はたまたま雷撃機隊が低空で日本空母を攻撃している所に到着するんだ」 佐藤「アメリカ側は日本と正反対にドンピシャのタイミングですね」 監督「彼らの方が驚いたかもしれない。何せ当時の一航戦、二航戦と言えば太平洋上で連戦連勝、当然ゼロ戦の迎撃や矢衾のようなの対空砲火を想像していたに違いない。ところが...日本側は相次ぐ低空での雷撃機隊の攻撃への防戦に気を取られて、直掩のゼロ戦も低空に降りていて、対空砲火も全て注意が低空に引きつけられていた。そこで急降下爆撃機隊が見た光景は、あの、太平洋を暴れ回っていた無敵の日本機動部隊が全く無防備な状態で海に浮かんでいる姿だった。まだこちらは気付かれていない。こんな千載一遇のチャンスを見逃すはずがない。勇躍躍りかかったんだ」 鈴木「兵装転換中というのも誘爆を起こして事態を深刻化させたんですね。あれっ?でもこの時やられたのは赤城、加賀、蒼龍の三隻ですよね?もう一隻の空母、多聞丸率いる飛龍は...?」 監督「これがな。雷撃機隊の魚雷を回避運動中に、飛龍だけ艦隊の隊列から離れてしまっていて、三隻より少し遠い場所にいたんだ。だから米艦爆隊の攻撃を免れた」 佐藤「でも三隻の空母が炎上したのは飛龍からも見えてますよね。一隻だけ敵中に身を晒す事態ですよね。サスガの闘将山口少将も少しは怯んだんじゃないですか?」 監督「ところが...ここから多聞丸の戦いが始まるんだ...」 鈴木「ええっ。まさか...たった一隻の空母で米艦隊に立ち向かおうと!?」 監督「この時。南雲中将は赤城が行動不能となり軽巡洋艦長良に移乗する事となって、一時的に指揮が取れない状態となる。で。こういう場合の序列は決まっていて、南雲中将が指揮出来ない状況になった場合、先任の重巡洋艦利根に座乗している阿部弘毅少将が取る事になっていた。が。山口少将は全艦艇に向けて一方的に信号を送る。内容は... 「我レ今ヨリ航空戦ノ指揮ヲ執ル」 だ。そして、阿部少将の命令を待たずして、艦首をアメリカ機動部隊の方向へ向けた」 佐藤「も、もしかして多聞丸、メッチャ怒ってます?いや、ブチ切れてますかね?」 鈴木「司令部の優柔不断な態度に業を煮やしたんでしょうか?」 監督「どうだろう。だから言わんこっちゃ無いと怒り心頭だったかもしれんし、案外冷静に状況判断してたのかもしれん...」 |
zizi | 投稿日時: 2014-3-5 20:50 更新日時: 2014-3-5 20:55 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
ん?敵空母が現れましたか? 鈴木「その時アメリカの空母は?」
監督「全滅に近い犠牲を払った陸上基地航空隊のおかげで既に日本の空母の位置を掴んでいる。タイミングを伺っていたんだ。 南雲長官が「第二次攻撃の要ありを認む」と報告を受けてた頃のAM7:00、米側は艦載機の後続距離を考えるとまだ遠い距離だったが今ならまだ日本側に発見されていない。ここでアメリカ側はイチかバチかの賭けに出る。指揮官スプルーアンス少将は決断するんだ...それは「全機発艦」。虎の子の手持ち空母三隻から小数の予備機を除いて全ての戦闘機、攻撃機、雷撃機を発艦させた。しかし当然全機同時に発艦出来る訳でもないから、発進を終えた飛行隊ごとにケツを蹴飛ばして日本機動部隊に向かわせる」 佐藤「日本の索敵機はまだ見つけられないんですか」 監督「日本側の索敵は...とにかく不運だった。日本にとっては全くツキに見放されてしまっていて...全てが悪い方向に展開するんだ。巡洋艦利根の4号機はカタパルトの故障で30分発艦が遅れ、しかもコンパスが故障していた。他の索敵機は米艦隊上空を通過した機もあったが雲にさえぎられ発見出来なかった。で、この利根4号機から7:28分頃ようやく『敵らしきもの10隻見ゆ、ミッドウェーより方位10度、240浬 』と打電してくる。発見が遅れたうえに故障したコンパスのせいで位置も実際の場所と遠い方にズレていた。 この報告を受けて赤城では先程命令した兵装転換を一旦中止する。「雷装そのまま」の命令を出すんだ。先程の兵装転換から30分程度だから数機分だけ転換していた所で一旦保留となる。南雲機動部隊は敵艦隊に空母がいるのか?が知りたい。だから利根4号機に艦種を知らせよと命令する。で、8:20分、『敵兵力は巡洋艦5隻、駆逐艦5隻』続いて8:30分。ようやく『敵はその後方に空母らしきもの一隻を伴う』との報告が入る。米空母がいた!ってことで赤城艦橋では騒然となる。で、ちょうどこの頃ミッドウェー島を攻撃した来た第一次攻撃隊が日本空母上空に帰って来たんだ」 鈴木「タイミングとしては最悪ですね」 監督「そうだ。今空母にある攻撃機の兵装をどうするか、攻撃隊の収容をどうするかでてんやわんやとなる」 佐藤「でもこうなれば敵空母が最大の脅威ですよね、一刻を争う事態になってしまったワケですか」 監督「うん、だから二航戦の山口少将なんかは強烈な意見具申をする。『直ちに攻撃隊発進の要ありと認む』と赤城に信号を送る」 鈴木「多聞丸、イライラしてますかね...ええと...今、日本側は第一次攻撃隊が帰って来て収容しないといけなくて、残してた赤城、加賀の攻撃機は魚雷から爆弾への転換を保留中ですね」 監督「そ、今となっては山口中将の真意は推測するしかないが、飛龍、蒼龍の艦爆で準備出来た機から先に発艦させ、収容は赤城、加賀にやってもらおう、という意味だったのか、それとも第一次攻撃隊は海に不時着させてでも攻撃隊の準備を優先させ一刻でも早く発艦させよとの意味だったのかわからんが」 佐藤「南雲中将の判断は?」 監督「赤城艦橋には草鹿参謀や航空戦の専門家、源田実航空参謀も一緒にいて検討した。で、第一次攻撃隊を海に不時着させるのはあんまりだ。今すぐ準備出来てる攻撃隊だけを発艦させても護衛の戦闘機は上空援護に上がってるためすぐに準備出来ず護衛無しで行かないといけない。で、先の利根4号機が言う位置ならまだ敵艦載機の攻撃はまだ時間かかるだろう、しかも遠いからアチラも戦闘機の護衛はムリだろうとの判断から山口中将の意見具申を却下、まず第一次攻撃隊を収容し兵装転換を急ぎ、攻撃隊を発艦させる、という事になる」 鈴木「ああ〜、でもこの時米空母は全機発艦してるから艦隊護衛無しの丸裸だったんでしょ?」 監督「そうだな。しかしモチロン日本側はそんな事知らないし敵機が既にこちらに向かってる事も知らない。しかも日本側の司令官は二重の目的を持った作戦により複雑な判断を迫られるのに対し、米側のやる事はシンプルだ。「生きて帰りたければ日本の機動部隊を叩け」これだけだ」 佐藤「日本では、まだ大丈夫だからこれから米空母攻撃の準備をするって時に...」 監督「既に米空母から攻撃隊は発艦し刻々と日本の空母に向かっている。日本が第一次攻撃隊の収容が終わりつつある9:20分頃、ついにホーネットの雷撃隊が日本空母に到達してしまう。で、魚雷により攻撃するが全く当たらない。しかも直掩機に全機撃墜されている。ちなみに同空母を発艦した戦闘機隊と爆撃機隊ははぐれてしまい日本艦隊と遭遇出来なかった」 鈴木「なんかアメリカ側も攻勢に出たものの連携取れてないですね」 監督「そうだな、通信不良やら連携ミスやらがあって...しかし彼らは勇敢だった。この時の雷撃隊も護衛戦闘機とはぐれて丸裸でやって来て全機撃墜されてるんだ」 佐藤「その他の空母の攻撃隊は?」 監督「うん、連携が取れてないからバラバラとやって来るんだ。次は9:50分頃、エンタープライズからの雷撃隊が14機が到達、これも護衛の戦闘機がはぐれていない。結果10機撃墜され魚雷は一本も当たらない。続けて10:10分頃ヨークタウン雷撃隊12機が到達。これには戦闘機6機がついていたが、雷撃機は10機撃墜され2機不時着し全滅、魚雷は回避され一発も当たらない。戦闘機は1機の損失だった」 鈴木「米雷撃機隊はほぼ全滅ですね...直掩のゼロ戦はマサに無双的な働きですね、またもや殆ど見事と言ってよい完封劇でまるでアニメや映画の敵だけやられてる場面みたいな」 監督「ここまではそうだが...さすがに直掩機もこれだけ来られたらたまらない。疲れもあるし弾丸の補給なんかで頻繁に空母に着艦離陸を行うし魚雷の回避もある。その中、兵装転換は急いで行われていてあたりは爆弾やらがゴロゴロしている」 佐藤「そういえば...先程のアメリカ側の攻撃機は雷撃機ばかりですね。艦上爆撃機は艦艇を攻撃する際は急降下爆撃しますよね。それはどこに?」 監督「だよな...そしてその時がやって来る...」 |
zizi | 投稿日時: 2014-3-3 21:03 更新日時: 2014-3-3 21:03 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re[2]: Blue mirage 第20話 ええ...やはりこうなってしまいうという...
何もかもイヤになってしまったジジ少年。 かと言って学校サボる度胸も無く早く帰っては ふて寝しています(笑) さて次回...しばしお待ち下さい! |
kimux | 投稿日時: 2014-3-1 23:14 更新日時: 2014-3-1 23:14 |
登録日: 2004-2-11 居住地: 地球 投稿数: 6943 |
Re: Blue mirage 第20話 バシっ!
|
zizi | 投稿日時: 2014-3-1 13:19 更新日時: 2014-3-1 13:19 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
あとがき やはりこうなるんですね...やってしまいましたジジ少年...さて次回、自宅で鬱屈しているジジ少年に電話が?それでは次回また宜しくお願い申し上げます〜
関連楽曲はこちらです。(勝手にスンマセン) Miragegazer/zizi【第ニ期OP曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15897&cid=1 Farewell/zizi【第ニ期ED曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15926&cid=58 She Was Briting/kankanさん【第一期OP曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15661&cid=8 春風 feat kayumai/zizi feat.kayumai【第一期ED曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15775&cid=58 Mr. DJ/kankanさん【【劇中挿入歌】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15560&cid=1 瞳の向こう- for Blue Mirage -/kankanさん【劇中挿入歌】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15770&cid=1 BLUE MIRAGE/Asakoさん曲ziziアレンジver 【イメージテーマ曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15470&cid=1 バックナンバーはこちらです。 http://gbuc.net/modules/d3diary/index.php?req_uid=2049&mode=category&cid=4 登場人物 ジジ:無気力な中学二年生。音楽室で隣のクラスの女の娘に一目ボレします。 アサミ:ジジの隣のクラスの女の娘。音楽室でピアノを弾いている。ジジと少しづつ心を通わすように..なるのか? マコ:ジジの隣の席の女子。ジジとはいつもケンカばかりしている女子。天敵なのか...? 貫太郎:ライブハウス「Kanders」マスター。結構年配です。 凪子:ライブハウス「Kanders」スタッフ。アラサー位?の美人です。 ヤスオ先輩:ジジの先輩。バンド「Potmans」で活動中。現在大学生です。 ユーイチ:ジジの親友、学級委員の秀才。 須倉先生:ジジのクラスの担任の先生。あだ名はスクラップ先生。 なり子先生:教育実習の可愛らしい先生。(7話) 樋渡先生:教育実習のカッコいい先生。(7話) 宮部先輩:イケメンで音楽センス抜群。ジジ少年最大のライバル...なのか? 三好絵理香:宮部先輩のバンドのマネージャー役。二十歳そこそこ。 キム:貸しスタジオ「kimux」マスター。ウクレレが得意。 |
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