zizi さんの日記
2014
1月
13
(月)
07:24
本文
Blue mirage
第16話
2014年 2月
一月はあっと言う間に終わった。今は一年間で一番寒い季節だ。
「ジジ君、ちょっと話したい事があるんだけど...いいかな...?」
放課後の音楽室。今日はマコがいない。ボクはピアノを弾き始める前のアサミちゃんにそう言われた。もちろんいけないワケが無い。
「え?どうしたの、急に」
そしたら彼女はボクが予想もしていなかった事を言った。
「今度...今度の土曜日の夕方、ジジ君の家に行ってもいいかな...?」
確かにそう言った。また一緒に勉強しようって。勿論即OKした!一応...言わないワケにはいかないので、両親には話をした。母さんは何だかソワソワしている。父さんに至っては「よし、その日は仕事だけど残業放棄して飲みにも行かずに早く帰ってくる」なんて言ってる。何言ってんだ放っといてくれと思ったんだけど、ボクも舞い上がって部屋を一生懸命掃除した。見られてマズい物は押し入れの深い所に葬った。家には急須と緑茶しか無いので、紅茶とコンビニではない店で買ったスイーツを用意した。
お互いの家の電話番号を交換して、家の地図を書いて、後は明日の約束の時間を待つばかりだ。ハングリーであれ、愚かであれ。って誰かが言ってたらしいけど、好きな言葉だ。だからボクは社会が得意と言ってしまった手前、「社会の整理と対策」を全範囲予習した。何を聞かれてもすぐに答えられるように、先生からは禁じられているんだけど、解答集を見て、内容を全部隅から隅まで目を通して頭に叩き込んだ。おかげで徹夜して授業中に居眠りしてしまって、またスクラップ先生に叱られた。その代わり、アサミちゃんが家に来た時に勉強する範囲、休憩の時間、休憩後の勉強、勉強後のおやつの時間とタイムスケジュール表を頭の中に作成して対策はバッチリだった。
しかし...結論から言うと結局アサミちゃんは来なかったんだ...当日。家に来る時間が少し過ぎて、電話が鳴った。アサミちゃん、もしかしたら家が分からないのかな?と思って受話器を取ろうとした母の手からひったくるようにして電話に出た。するとやっぱりアサミちゃんからで...
「あの、アサミと申します...あ、ジジ君?...ごめん...今日ね、どうしても行けなくなっちゃって...」
「え?...ホント...でもそれじゃ...仕方ないよね...具合でも悪いの?」
「それが...ごめんね、そうじゃなくて...実はね、ジジ君、これ誰にも言わないって約束してくれる?」
「え...?どうしたの?何を?」
「あのね...今、私...予定通りジジ君の家に行ってる事にしておいて欲しいの。ウチのお母さんって友達の家遊びに行ったら..最初に行くお家にはいつも必ずお邪魔しましたって、御礼の電話するのよ...だからもしもお母さんから電話なんかあったら上手く言っておいて欲しいんだけど...だめかな?」
「うん...そう...いや、ダメなワケないじゃない...うん、上手く言っとくよ」
「良かったぁ...ありがとう...それでね、この事は私とジジ君、二人だけの秘密にしておいて欲しいの...」
「え...二人だけの....わかった。わかったよ。きっとそうするから...あのね、今度さ」
「ホント?ありがとう!それじゃまた、学校でね!」
ツー・ツー・ツー....
アサミちゃんは慌てているのか、こちらの話を遮るように電話は切れてしまった。母さんはは少し残念そうな安心したような表情だった。少し後で帰って来た父さんは一目見たかったのにとマジで残念そうにしてた。ボクも本当は残念だったけど、これは仕方ないんだ、と思い直した。きっとたまたま急用が入ったんだ。それに何よりも二人だけの秘密を持ったんだ。そう、ボクとアサミちゃん、二人だけの秘密を...
この事は、一時的にボクの心の靄を覆い隠してしまっていた。でも。何となく予感はあったんだけれど...それは現実となった。ボクがアサミちゃんにドタキャンされてからまた二週間くらい過ぎた頃。
「ジジ君、この間はゴメンね...それでさ、こんな事言うの申し訳ないんだけど、今度こそ、ジジ君の家に行ってもいいかな...」
アサミちゃんと廊下で会った時に、そう言われた。ボクはもう以前の事をすっかり忘れてしまった。
「うん!おいでよ。いつにする?」
即答でそう言った。そして当日。そしたら...また以前と同じように直前に電話があって...今日も行けなくなってごめんって。また前の時と同じようにボクの家に居る事にしておいて欲しいって。ボクはその時「うん、わかったよ、だから心配しないで」と言った。何が起こってるのかよく分からない。でも彼女、何か困ってるんじゃないか、助けてあげなくちゃいけないんじゃないかと思い始めて来た。
そんな事を考えていると、何だかとても心配というか不安になって来て、ボクはこらえ切れなくなって、とうとうマコに相談した。天敵とは言えボクが今置かれている状況を一番理解してくれているのはコイツだ。ボクはマコにこの前の非礼を詫びた。マコは全く怒りもせず、そんな事いいから早く言えとボクを急かした。そして、ヤツに対してこれまでに無いような丁寧な口調で話をした。
アサミちゃんの方から一緒に勉強しようと言い出してくれて、アサミちゃんの家に行った事。その後アサミちゃんがボクの家に来ることになったんだけど、その日になってドタキャンされて、でも家に行った事にして欲しいと言われた事、それが二回続いた事などを説明した。ボクはてっきりからかわれる事を覚悟していたんだけど、予想に反してアイツは真剣な表情で話を聞いてくれた。
「ねえ、ジジ…それって、いつ?」
「え?どちらも土曜日だったよ…一番最近のは先週の土曜日」
「そうなんや…じゃ、やっぱり…」
「え?何がだよ?」
実は、マコはお父さんがいなくて、お母さんが駅近くの繁華街のスナックって言うんだろうか?そこで働いてるんだ。ボクのお父さんなんか時々行ってるらしくてお互い知ってるみたいだ、という事を最近知った。まあそれは関係無いんだけど、マコは時々夜お母さんが酒に酔って帰る時に心配だから迎えに行く時があるらしい。あんまり酔うとタクシーの中で寝ちゃったりするから。時々夕方店に行って、掃除や準備だけ手伝う事もあるらしい。マコが学校から早く帰る時ってそんな時だったんだ。あいつはああ見えても結構大変で、ボクよりよっぽど大人で偉いんだなあと思って、いつものマコに対する態度を少し恥ずかしく思った。マコが少し間を置いてから、口を開いた。
「実はその日さ、アサミちゃん見かけたんよ...」
「え?どこでだよ?」
しかしボクはそんな気持ちをすぐに忘れてつっけんどんに聞いた。
「繁華街の所で、母さんの店の近くだった」
少し言いにくそうにマコは言った。
「そんな所で何してたんだよ?」
ボクはたたみ掛けるように聞いた。
「そんなん言われても…その時は人違いかなって思って..でも今思い出したけどあの人も見覚えがある...」
「あの人って?」
マコは、ボクの問いへの答えを逡巡し、少し間を置いた。
「男の人と一緒やったんや。少し髪の長いイケメン風の…ほら...発表会の特、アサミちゃんの後に弾いたピアノの上手い人おったやろ?あの人や...しばらく立ち話してて、アサミちゃんだけ駅の方に行ったみたいや..帰ったんやろな」
ボクの想像力が目まぐるしく働くまでもなかった。一生懸命違う答えを導き出そうとしたが、それは不可能だった。しかしボクは一縷の望みを託してマコに訊いた。
「おいおいマコさぁ...それ冗談だろ...」
「ジジ、気持ちはわかるけど...でも...」
「オマエの見間違いだよ、な。そうだろ!?」
「...いや...あの男の人...宮部さんって名前やったな...ライブの時も見てるし...特徴あるやろ...」
ボクは自分が望む答えが出ずに苛々して来た。
「そんなのウソだ、オマエいい加減な事言うなよ!アサミちゃん言ってたんだ、やりたい事あるけど親が厳しくて出来ないって!それがそんな事だってオマエ言うのかよ!そんなハズねぇだろうがよ!」
一気にまくしたてた自分の大声に自分でも驚いた。マコは何も悪くないのに、しかも自分から話を持ちかけておきながら、責めるよう事を言ってしまった。言ってしまってから、またやってしまったと後悔し、悪いと思った。
「言おうかどうか迷ったんやけど...黙っとくのも悪いと思って...」
しかしまたもマコは怒らずに、ただ少し悲しそうな表情で、そう言い残して教室を出て行った。ボクは、ゴメン、と心の中で何度も思ったが、マコが教室の扉をゆっくりと閉めて、窓越しの影が見えなくなるまでついに口にする事が出来なかった。
アサミちゃんは、ボクに嘘を言った。最初からボクの家に来るつもりなんてなかったんだ。そして、宮部先輩と会っていた。しかもボクは、その事で自分の心が苛立ついてしまい、こともあろうかマコにその感情をぶつけてしまった。とんでもない自己嫌悪と嫉心と、色んな感情が入り混じってとても息苦しさを感じていた...
この時、ボクの心に歪みが生まれて来た事を感じていた。
第16話
2014年 2月
一月はあっと言う間に終わった。今は一年間で一番寒い季節だ。
「ジジ君、ちょっと話したい事があるんだけど...いいかな...?」
放課後の音楽室。今日はマコがいない。ボクはピアノを弾き始める前のアサミちゃんにそう言われた。もちろんいけないワケが無い。
「え?どうしたの、急に」
そしたら彼女はボクが予想もしていなかった事を言った。
「今度...今度の土曜日の夕方、ジジ君の家に行ってもいいかな...?」
確かにそう言った。また一緒に勉強しようって。勿論即OKした!一応...言わないワケにはいかないので、両親には話をした。母さんは何だかソワソワしている。父さんに至っては「よし、その日は仕事だけど残業放棄して飲みにも行かずに早く帰ってくる」なんて言ってる。何言ってんだ放っといてくれと思ったんだけど、ボクも舞い上がって部屋を一生懸命掃除した。見られてマズい物は押し入れの深い所に葬った。家には急須と緑茶しか無いので、紅茶とコンビニではない店で買ったスイーツを用意した。
お互いの家の電話番号を交換して、家の地図を書いて、後は明日の約束の時間を待つばかりだ。ハングリーであれ、愚かであれ。って誰かが言ってたらしいけど、好きな言葉だ。だからボクは社会が得意と言ってしまった手前、「社会の整理と対策」を全範囲予習した。何を聞かれてもすぐに答えられるように、先生からは禁じられているんだけど、解答集を見て、内容を全部隅から隅まで目を通して頭に叩き込んだ。おかげで徹夜して授業中に居眠りしてしまって、またスクラップ先生に叱られた。その代わり、アサミちゃんが家に来た時に勉強する範囲、休憩の時間、休憩後の勉強、勉強後のおやつの時間とタイムスケジュール表を頭の中に作成して対策はバッチリだった。
しかし...結論から言うと結局アサミちゃんは来なかったんだ...当日。家に来る時間が少し過ぎて、電話が鳴った。アサミちゃん、もしかしたら家が分からないのかな?と思って受話器を取ろうとした母の手からひったくるようにして電話に出た。するとやっぱりアサミちゃんからで...
「あの、アサミと申します...あ、ジジ君?...ごめん...今日ね、どうしても行けなくなっちゃって...」
「え?...ホント...でもそれじゃ...仕方ないよね...具合でも悪いの?」
「それが...ごめんね、そうじゃなくて...実はね、ジジ君、これ誰にも言わないって約束してくれる?」
「え...?どうしたの?何を?」
「あのね...今、私...予定通りジジ君の家に行ってる事にしておいて欲しいの。ウチのお母さんって友達の家遊びに行ったら..最初に行くお家にはいつも必ずお邪魔しましたって、御礼の電話するのよ...だからもしもお母さんから電話なんかあったら上手く言っておいて欲しいんだけど...だめかな?」
「うん...そう...いや、ダメなワケないじゃない...うん、上手く言っとくよ」
「良かったぁ...ありがとう...それでね、この事は私とジジ君、二人だけの秘密にしておいて欲しいの...」
「え...二人だけの....わかった。わかったよ。きっとそうするから...あのね、今度さ」
「ホント?ありがとう!それじゃまた、学校でね!」
ツー・ツー・ツー....
アサミちゃんは慌てているのか、こちらの話を遮るように電話は切れてしまった。母さんはは少し残念そうな安心したような表情だった。少し後で帰って来た父さんは一目見たかったのにとマジで残念そうにしてた。ボクも本当は残念だったけど、これは仕方ないんだ、と思い直した。きっとたまたま急用が入ったんだ。それに何よりも二人だけの秘密を持ったんだ。そう、ボクとアサミちゃん、二人だけの秘密を...
この事は、一時的にボクの心の靄を覆い隠してしまっていた。でも。何となく予感はあったんだけれど...それは現実となった。ボクがアサミちゃんにドタキャンされてからまた二週間くらい過ぎた頃。
「ジジ君、この間はゴメンね...それでさ、こんな事言うの申し訳ないんだけど、今度こそ、ジジ君の家に行ってもいいかな...」
アサミちゃんと廊下で会った時に、そう言われた。ボクはもう以前の事をすっかり忘れてしまった。
「うん!おいでよ。いつにする?」
即答でそう言った。そして当日。そしたら...また以前と同じように直前に電話があって...今日も行けなくなってごめんって。また前の時と同じようにボクの家に居る事にしておいて欲しいって。ボクはその時「うん、わかったよ、だから心配しないで」と言った。何が起こってるのかよく分からない。でも彼女、何か困ってるんじゃないか、助けてあげなくちゃいけないんじゃないかと思い始めて来た。
そんな事を考えていると、何だかとても心配というか不安になって来て、ボクはこらえ切れなくなって、とうとうマコに相談した。天敵とは言えボクが今置かれている状況を一番理解してくれているのはコイツだ。ボクはマコにこの前の非礼を詫びた。マコは全く怒りもせず、そんな事いいから早く言えとボクを急かした。そして、ヤツに対してこれまでに無いような丁寧な口調で話をした。
アサミちゃんの方から一緒に勉強しようと言い出してくれて、アサミちゃんの家に行った事。その後アサミちゃんがボクの家に来ることになったんだけど、その日になってドタキャンされて、でも家に行った事にして欲しいと言われた事、それが二回続いた事などを説明した。ボクはてっきりからかわれる事を覚悟していたんだけど、予想に反してアイツは真剣な表情で話を聞いてくれた。
「ねえ、ジジ…それって、いつ?」
「え?どちらも土曜日だったよ…一番最近のは先週の土曜日」
「そうなんや…じゃ、やっぱり…」
「え?何がだよ?」
実は、マコはお父さんがいなくて、お母さんが駅近くの繁華街のスナックって言うんだろうか?そこで働いてるんだ。ボクのお父さんなんか時々行ってるらしくてお互い知ってるみたいだ、という事を最近知った。まあそれは関係無いんだけど、マコは時々夜お母さんが酒に酔って帰る時に心配だから迎えに行く時があるらしい。あんまり酔うとタクシーの中で寝ちゃったりするから。時々夕方店に行って、掃除や準備だけ手伝う事もあるらしい。マコが学校から早く帰る時ってそんな時だったんだ。あいつはああ見えても結構大変で、ボクよりよっぽど大人で偉いんだなあと思って、いつものマコに対する態度を少し恥ずかしく思った。マコが少し間を置いてから、口を開いた。
「実はその日さ、アサミちゃん見かけたんよ...」
「え?どこでだよ?」
しかしボクはそんな気持ちをすぐに忘れてつっけんどんに聞いた。
「繁華街の所で、母さんの店の近くだった」
少し言いにくそうにマコは言った。
「そんな所で何してたんだよ?」
ボクはたたみ掛けるように聞いた。
「そんなん言われても…その時は人違いかなって思って..でも今思い出したけどあの人も見覚えがある...」
「あの人って?」
マコは、ボクの問いへの答えを逡巡し、少し間を置いた。
「男の人と一緒やったんや。少し髪の長いイケメン風の…ほら...発表会の特、アサミちゃんの後に弾いたピアノの上手い人おったやろ?あの人や...しばらく立ち話してて、アサミちゃんだけ駅の方に行ったみたいや..帰ったんやろな」
ボクの想像力が目まぐるしく働くまでもなかった。一生懸命違う答えを導き出そうとしたが、それは不可能だった。しかしボクは一縷の望みを託してマコに訊いた。
「おいおいマコさぁ...それ冗談だろ...」
「ジジ、気持ちはわかるけど...でも...」
「オマエの見間違いだよ、な。そうだろ!?」
「...いや...あの男の人...宮部さんって名前やったな...ライブの時も見てるし...特徴あるやろ...」
ボクは自分が望む答えが出ずに苛々して来た。
「そんなのウソだ、オマエいい加減な事言うなよ!アサミちゃん言ってたんだ、やりたい事あるけど親が厳しくて出来ないって!それがそんな事だってオマエ言うのかよ!そんなハズねぇだろうがよ!」
一気にまくしたてた自分の大声に自分でも驚いた。マコは何も悪くないのに、しかも自分から話を持ちかけておきながら、責めるよう事を言ってしまった。言ってしまってから、またやってしまったと後悔し、悪いと思った。
「言おうかどうか迷ったんやけど...黙っとくのも悪いと思って...」
しかしまたもマコは怒らずに、ただ少し悲しそうな表情で、そう言い残して教室を出て行った。ボクは、ゴメン、と心の中で何度も思ったが、マコが教室の扉をゆっくりと閉めて、窓越しの影が見えなくなるまでついに口にする事が出来なかった。
アサミちゃんは、ボクに嘘を言った。最初からボクの家に来るつもりなんてなかったんだ。そして、宮部先輩と会っていた。しかもボクは、その事で自分の心が苛立ついてしまい、こともあろうかマコにその感情をぶつけてしまった。とんでもない自己嫌悪と嫉心と、色んな感情が入り混じってとても息苦しさを感じていた...
この時、ボクの心に歪みが生まれて来た事を感じていた。
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投稿者 | スレッド |
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zizi | 投稿日時: 2014-1-21 21:55 更新日時: 2014-1-22 22:33 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
監督映画鑑賞する その3 佐藤「で、映画ではポイントとなっていた21型と52型。「みずねむ」ではうやむやでしたが...」
鈴木「どう違うんです?同じゼロ戦でしょ?」 監督「ざっくり言うと...21型は前半戦の、52型は後半戦の主力だ。大戦全期を通じて使用されたゼロ戦もちょくちょく改良されていたんだ。11型、21型、32型、52型、その後もあった。21型と52型の大きな違いは発動機(エンジン)の出力かな。」 佐藤「ええと...ポケモンで言うと21型がヒトカゲで52型がリザードに進化した感じ?」 監督「21型よりも52型の方が馬力が大きくなって速度や上昇力が向上した。米軍機はどんどん大馬力、高速度になってたから。それに52型(数種類ある)の後期の型は消火装置など防御力も高められている」 鈴木「じゃ、リザードンみたいな?」 監督「ただし重量が少し増えた。ここが...前回の話を少し思い出してくれ。人によって意見が違う。21型の方が格闘性能が優れていたから良かった...という意見もあれば21型は要らないから52型が欲しいという前線の意見が多かったとか物によって色々書かれている。ただ映画のあの場面では大戦末期だから状態が良いのは新しい方の52型だったろう」 佐藤「そうなんすか...で、ですよ。米国はどんどん新型機創ってたのにゼロ戦の後継機は出なかったんですかね」 監督「開発してなかったワケじゃない。紫電改の艦載機型はテストで空母着艦に成功していたし堀越技師が手掛けていた「烈風」なんかもあった。が、試作の段階で終戦を迎えた。それに一機種を改良し続けて使うのは有名なイギリスのスピットファイアやドイツのメッサーシュミットMe(Bf)109なんかもそうだ。ただしこれらは改造の程度が違う。大戦初期と後期の型じゃ...とんでもない鬼改造で別の機種と言って良いくらい性能に雲泥の差がある。工業力に差があったんだろうかね...あとは自分で調べてくれ」 鈴木「そうですか...」 |
zizi | 投稿日時: 2014-1-20 23:57 更新日時: 2014-1-20 23:58 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
監督映画鑑賞する その2 佐藤「でもあれちょっと意味不明な単語が出て来て...」
監督「何だ」 鈴木「そうそう、マジックヒューズって何ですか。映画上では何の説明も無かったし」 監督「VT信管の事だ。大戦後期の米艦船の対空砲火の砲弾は小型のレーダーみたいのが仕込まれていて、飛行機に当たらなくても近づいたら爆発するように出来てたそうだ」 佐藤「え?それまでのは?」 監督「時限式なんだ。でも艦船と攻撃して来る航空機の距離は刻々と変わる。だからナカナカ当たらない」 鈴木「1944年のマリアナ沖海戦では相当な被害だったとか」 監督「良く言われる「Turkey Shoot(七面鳥撃ち)」だな。しかしオマエそれはあれだ」 佐藤「なんです」 監督「あれはVT信管のおかげで相当被害を受けた...とか書いてあったりするのが多くてそう思ってる人多いようだが実際は少しちがうようだ。マリアナ沖海戦時のVT信管の使用率はそれ程高くなかった...らしい」 鈴木「そ...そうなんすか」 監督「戦記とか当時の資料とかTVのインタビューとかってあれだ。一方の意見を鵜呑みにすると事実を誤認する可能性がある。ネット上とか雑誌でちょっと読んだとかだけでそれを全てと思わない方が良いと思う」 佐藤「や...やけに慎重ですね。過去に何か痛い目に?」 監督「いやそういうワケじゃ...」 |
zizi | 投稿日時: 2014-1-19 16:58 更新日時: 2014-1-19 16:59 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
監督映画鑑賞する 久々登場...今日のスタジオの隅っこでは助手の佐藤と鈴木がヒソヒソ話しをしている。
佐藤「おい鈴木...観たか?永○の0」 鈴木「観た...あれ、まさか...」 そこに通りかかったzizi監督。佐藤は咎めるような口調で話しかける。 佐藤「監督...観ました?」 監督「うむ...観た」 鈴木「何か共通点多いですよね...?」 監督「どういう意味だ」 佐藤「しらばっくれないで下さいよ」 鈴木「主人公はミッドウエー海戦の時空母の直掩機で...その後ラバウルでその後内地に戻って特攻。寛太は教官はやってませんが戦歴はそっくりです」 佐藤「濃緑色の塗料がはげて銀色の下地が覗くゼロ戦や...」 鈴木「二十一型と五十二型の事や...」 佐藤「ゼロとP-51の空中戦」 鈴木「沖縄に辿り着けず手前の島に不時着するゼロ戦なんか...」 監督「違う。だいたい搭乗員の経歴なんざ大戦末期に生き残ってるベテランなら大体そんなもんだ。誰でも考える。それに、確かにあの作品は読んだ。しかしそれは「みずねむ」の原稿を全て書き終えてからだ。おそらく影響を受ける事必至だと思ったのでガマンしていた。これは本当だ」 鈴木「だ、誰に向かって言ってるんです?」 監督「あ、いや...それに原作のあのシーンはP-51じゃなくてF-4Uだったろうが」 佐藤「わ、わかりました...で、泣きました?」 監督「うむ...」 鈴木「ちなみにどのシーンですか?」 監督「ミッドウエー海戦で...あ...赤城の被弾するシーン...」 佐藤「それ本筋とあまり関係ないですよね...しかも前半だし」 |
zizi | 投稿日時: 2014-1-13 17:19 更新日時: 2014-1-13 17:19 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
kimuxさんへ いやどうもこんな感じで進んで参ります。
まあ何と言いますか。この年頃ってのは大人から見たらそんな事で...という事がえらく重大な事だったりしてまあ頭を悩ませたりしている...のでしょうか。果たしてアサミちゃんは一体どこで何をしているのか...次回までしばらくお待ち下さい〜! あ、ちなみに私ipad air(wifiモデル)買ってしまいました。 |
kimux | 投稿日時: 2014-1-13 12:05 更新日時: 2014-1-13 12:05 |
登録日: 2004-2-11 居住地: 地球 投稿数: 6943 |
Re: Blue mirage 第16話 いやはやなんとも。
なるようになってきましたね。 |
zizi | 投稿日時: 2014-1-13 7:30 更新日時: 2014-1-13 7:30 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
あとがき さてさて、第16話はいきなり2月へ飛びます。ちょいと予告編的な事を申しますと、次回で3月に突入し、そこから1ヶ月間の話が数話に分けて進みます。ここに来てようやくキャラが一人歩きして来たような気がします...のでもうどうなるか自分でも良くわかりません(笑)、が。また次回。宜しくお願い申し上げます!
関連楽曲はこちらです。(勝手にスンマセン) Miragegazer/zizi【第ニ期OP曲(DEMO)】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15859&cid=58 Farewell/zizi【第ニ期ED曲(DEMO)】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15888&cid=1 She Was Briting/kankanさん【第一期OP曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15661&cid=8 春風 feat kayumai/zizi feat.kayumai【第一期ED曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15775&cid=58 Mr. DJ/kankanさん【【劇中挿入歌】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15560&cid=1 瞳の向こう- for Blue Mirage -/kankanさん【劇中挿入歌】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15770&cid=1 BLUE MIRAGE/Asakoさん曲ziziアレンジver 【イメージテーマ曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15470&cid=1 バックナンバーはこちらです。 http://gbuc.net/modules/d3diary/index.php?req_uid=2049&mode=category&cid=4 登場人物 ジジ:無気力な中学二年生。音楽室で隣のクラスの女の娘に一目ボレします。 アサミ:ジジの隣のクラスの女の娘。音楽室でピアノを弾いている。ジジと少しづつ心を通わすように..なるのか? マコ:ジジの隣の席の女子。ジジとはいつもケンカばかりしている女子。天敵なのか...? 貫太郎:ライブハウス「Kanders」マスター。結構年配です。 凪子:ライブハウス「Kanders」スタッフ。アラサー位?の美人です。 ヤスオ先輩:ジジの先輩。バンド「Potmans」で活動中。現在大学生です。 ユーイチ:ジジの親友、学級委員の秀才。 須倉先生:ジジのクラスの担任の先生。あだ名はスクラップ先生。 なり子先生:教育実習の可愛らしい先生。(7話) 樋渡先生:教育実習のカッコいい先生。(7話) 宮部先輩:イケメンで音楽センス抜群。ジジ少年最大のライバル...なのか? 三好絵理香:宮部先輩のバンドのマネージャー役。二十歳そこそこ。 また、この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません。 それではまた次回。 |
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