zizi さんの日記
2013
10月
18
(金)
22:14
本文
Blue mirage
第9話
2013年 8月 -1
夏休み。最近の夏はボクが子供の頃より少し暑いような気がする。
アサミちゃんのピアノに触発されて、ボクは楽器への興味が復活していた。昔、ユーイチに教えてもらったギターの練習をし、色々と調べてみた。ギブソンのレスポールにフェンダーのストラトキャスター。それぞれに特色がある事も知った。そして昔は嫌で仕方無かったのに、子供の頃から家にある電子ピアノにさえ触るようになった。
更に、父さんのCDを勝手に漁って聴くようになった。テレビの住宅会社のCMに使われてた曲がなんだろうって言ってたら父さんが俺知ってるぞって偉そうに講釈垂れ出したんだ。で、CDあるから聴いてみろって。父さんのCDラックの中は古いロックが多かったけど今の自分にはかえって新鮮だった。ビートルズのシンプルだけど印象的なメロディやレッドツェッペリンやディープパープルのハードなロック、クラシカルな要素も取り入れた曲もあるEL&Pやアメリカ西海岸の香り漂う(ってライナーノーツに書いてあった。行った事ないから分からないけどきっとそうなんだろう)ドゥービーブラザーズなんかが気に入って散々聴きまくって、最近の音楽に疎くなってしまったかもしれない。
そんな夏休みを過ごしてた夏休みのお盆も近いそんなある日、何故かボクはマコと二人だけで一緒にいた。クラスメイト総勢六人で映画を観に行く約束をしていたんだ。しかしユーイチともう一人が親が里帰りを早めたため脱落、一人は夏風邪をひいてしまい脱落、一人は宿題を全くやってなくて親にしこたま叱られて当分外出出来ない、との事だった。ボクとマコはそれぞれ二人づつから電話で連絡をもらい、それぞれが「今日は二人だけ来る事が出来ない」と思いこんで集合場所へ出かけた。
「どうする?」
「せっかく予約してたんやし…行くしかないやろ?」
「そだね…仕方ないか」
「仕方ないって何やその言い方」
そんなやりとりの挙句、ショッピングモールのシネコンで映画を見て、少しゲーセンで遊んでから、ボクはフードコーナーでドリンクを待っていた。待っていたというのは、マコが自分が取ってくるからジジは席で待っててと言ったからだ。案外気が利くんだな、と感心してたら突然頬に冷たいものが当てられて思わず「ひゃっ!」と声を出した。マコが後ろからこっそり近づいて、冷たいドリンクをボクの頬に当てたんだ。
「あははっ!そんなにビックリせんでもええやろ」
「何すんだよっ!普通驚くだろ、こんなんされたら」
「なんかデートみたいやな」マコはボクの言った事を全く気にせずに言った。
「は?何言ってんのさ、ぜんっぜん違ぇよ」
そんな事を言い合っているとボクは意外な人から声を掛けられてビックリした。
「お〜!ジジちゃんじゃないのさ!」
「あっ!ヤスオ先輩!こんにちは」
隣ではマコがワケわからずペコリと頭を下げている。ヤスオさんは吹奏楽部のOBで、ボクがまだ部に居た時に何度か指導に来てもらった事がある。兄貴みたいでウマが合うって感じでボクは好きな先輩だ。今は大学生でバンドやってるって言ってたっけ。
「すみません…ボク、部活辞めちゃって…」
「ああ、聞いてるよ。今年のコンクールも県大会で勝って、支部大会まで行くらしいね。先生変わったからかな?しかしオマエもスミに置けないね..ヤメて何してんのかと思ったらさ、ちゃっかりこんなカワイイ彼女作っちゃって…」
「あらカワイイなんてそんなぁ..でもありがとうございます!」
ボクはマコの戯れ言を遮るように言った。
「いや。そんなんじゃないですから」
「まあそう照れなさんなって、ジジちゃん」
「違いますよ..今日はたまたま...オマエも否定しろよ」
「え〜。どうしようかな?あ、私、マコです。宜しく」
「いいねいいねぇ。マコちゃんね。コイツちょっとひ弱でしょ?でも悪いヤツじゃないからさ、宜しくね。それでさ、丁度良かった。オレ今度ライブ出るんだけど見に来ない?バンド名は「Potmans」。チケット、マコちゃんにはあげるからさ。あ。ジジはお金ちょうだい」
「きゃー!ヤスオ先輩ありがとう!ライブハウスですか?一度行ってみたかったんですよ〜」
「ちぇ。何ですかそれ…ええ、分かりましたよ。行きますよ..」
一週間後。そんな訳で生まれて初めてライブハウスに足を運んだ。残念ながらまたもやマコと一緒だった。一つ隣の駅には賑やかな繁華街があり、その中のとあるビルの地下一階にそれはあった。ライブハウス「Kanders」。
「え〜っと...ここだね」
「うん、そやな」
「どんな所なんだろ」
「ウダウダ言ってないではよ行けや」
どんな所なのかよくわからなくて、入り口で立ち止まったボクはマコに背中を小突かれて恐る恐るドアを開いた。
「いらっしゃい」
予想に反して優しそうなお姉さんが受付で微笑みながら迎えてくれた。
「あの..これ」
ヤスオ先輩から貰った...いや、ボクは買ったんだけど、そのチケットを差し出す。
「はい、ワンドリンク500円お願いしますね」
「え?あ、ハイ…」
ボクは入場チケットと別にお金が要るとは知らずに慌てて1000円札を取り出した。なけなしの小遣いだった。
「えっと、二人分でいいのかな?」お姉さんはマコの方をチラリと見て言った。
「あ、あの..ハイ…」
何だかそう言わないといけないような気がした。
「あ...ジジ、私払うからいいよ」
「いいよ、ボクが…」
「無理しなさんなって、いいからいいから」
マコと財布を出し合って押し問答をしているとお姉さんはクスクス笑ってドリンクと交換する為のチケットを2枚差し出した。
ライブが始まる。思わず心臓がドクン!と音を立てた。最初ボクは家でCD聴くのとは違うその大きな音に少しビックリしたけど、すぐに慣れて来て、段々心地良くなって来た。ヤスオさんのバンドは全3バンド中2番目に登場し、結構拍手を浴びていた。ヤスオさんのレスポールは凄く表情が豊かで、ハードなリフを弾いたかと思えばメロウな音を奏で、生まれて初めて体験する生のバンドの音にボクはすっかり感激していた。プロのCDの好きな曲を聴くのとは違う...ヤスオ先輩ゴメン。無名のアマチュアミュージシャンの音だけど、耳だけでなく全身で感じるって感じで、鳥肌が立ってしまった。今日はあんまり有名なバンドは出演しないらしく、客席もやや大人しかったようだけど。それでもボクにとっての初めてのライブハウスはとても鮮烈な印象を残した。
全バンドのライブが終わって、ヤスオさんがホールに残ってたボクたちの方に来てくれた。
「お、ジジちゃんマコちゃん、どうもありがとね」
「ヤスオ先輩!カッコ良かったです」
「とても素敵でしたよー!」
マコも合いの手を入れる。カウンターには白髪交じりのマスターがいて、結構年配の渋い感じの人だった。ヤスオさんがマスターに話かけてる。
「カンタローさん、どうでした?」
「ああ、良かったんじゃないっスか?チケットも売ってくれてたし。またブッキングするから宜しくっス」
「何でぇ、チケットさえ売れたらいいんスか。でもいいや、またお願いしまーす。あ、こいつらまだ中学生なんスけど、俺らのファンだって言うから連れてきちゃいました。こんな店にマズかったっスかね?」
ヤスオさんは調子良くボクらを紹介した。
「こんばんは…」
ボクたちはおっかなビックリの小さな声であいさつをした。
「こんあ店たぁ何だい…まあいいっスよ。音楽好きなんでしょ?だったら中学生だって構わねぇっスよ。ただしソフトドリンクしか出せないっスけどね」
マスターはそう言ってボクたちに向かってウィンクをした。ちょっとコワい人かと思ってたけど人の好さそうなオジサンだった。カッコ良く歳を重ねた人だなあとボクは思った。で、ボクが受付のお姉さんがカウンターの中にいる事に気付いてチラチラと見ていたのをマコとヤスオさんは見逃さなかった。
「何や、ジジはあのお姉さん気になってんのか?」
マコが冷やかす。
「ち、違うよ…そんなんじゃないって」
「ジジちゃん年頃だねぇ..でもダメだよ、あの人は。凪子さんって言ってさ、マスターの娘さんだから」
「エエッ!」
ボク達はびっくりして声を出した。ヤスオさんの話ではマスターの家系ってのは両親の代から音楽業界に携わってるそうだ。
「マスターの親の代でレコード会社を設立していたんだけど、息子のニ代目になってからさ、業界全体の不振から大手に吸収され消滅、そして今ライブハウスのマスターに収まってるって事らしい。でもさ、今でも業界で結構顔だからさ、マスターに認められりゃメジャーデビューへの道も開けるってんでここにはプロ志向の連中も結構出てるんだぜ。これは都市伝説の類なんだがね…マスターの親父さんってのは特攻隊の生き残りで…料亭で馴染みの芸奴さんを娶ったって話だ」
ヤスオさんの話もとても興味深かったし生で観るライブは五感に響く。とても楽しい所だった。ボクたちは興奮冷めやらぬって感じで、帰り道に言った「また行ってみたいね」というマコの言葉にボクは珍しく同意した。
そして八月最後の日曜日。そう、この日をボクは心待ちにしていた。しかし。
この時ボクの心に、アサミちゃんのピアノの発表会の日から微妙な変化が訪れる事をまだ知らずにいた。
第9話
2013年 8月 -1
夏休み。最近の夏はボクが子供の頃より少し暑いような気がする。
アサミちゃんのピアノに触発されて、ボクは楽器への興味が復活していた。昔、ユーイチに教えてもらったギターの練習をし、色々と調べてみた。ギブソンのレスポールにフェンダーのストラトキャスター。それぞれに特色がある事も知った。そして昔は嫌で仕方無かったのに、子供の頃から家にある電子ピアノにさえ触るようになった。
更に、父さんのCDを勝手に漁って聴くようになった。テレビの住宅会社のCMに使われてた曲がなんだろうって言ってたら父さんが俺知ってるぞって偉そうに講釈垂れ出したんだ。で、CDあるから聴いてみろって。父さんのCDラックの中は古いロックが多かったけど今の自分にはかえって新鮮だった。ビートルズのシンプルだけど印象的なメロディやレッドツェッペリンやディープパープルのハードなロック、クラシカルな要素も取り入れた曲もあるEL&Pやアメリカ西海岸の香り漂う(ってライナーノーツに書いてあった。行った事ないから分からないけどきっとそうなんだろう)ドゥービーブラザーズなんかが気に入って散々聴きまくって、最近の音楽に疎くなってしまったかもしれない。
そんな夏休みを過ごしてた夏休みのお盆も近いそんなある日、何故かボクはマコと二人だけで一緒にいた。クラスメイト総勢六人で映画を観に行く約束をしていたんだ。しかしユーイチともう一人が親が里帰りを早めたため脱落、一人は夏風邪をひいてしまい脱落、一人は宿題を全くやってなくて親にしこたま叱られて当分外出出来ない、との事だった。ボクとマコはそれぞれ二人づつから電話で連絡をもらい、それぞれが「今日は二人だけ来る事が出来ない」と思いこんで集合場所へ出かけた。
「どうする?」
「せっかく予約してたんやし…行くしかないやろ?」
「そだね…仕方ないか」
「仕方ないって何やその言い方」
そんなやりとりの挙句、ショッピングモールのシネコンで映画を見て、少しゲーセンで遊んでから、ボクはフードコーナーでドリンクを待っていた。待っていたというのは、マコが自分が取ってくるからジジは席で待っててと言ったからだ。案外気が利くんだな、と感心してたら突然頬に冷たいものが当てられて思わず「ひゃっ!」と声を出した。マコが後ろからこっそり近づいて、冷たいドリンクをボクの頬に当てたんだ。
「あははっ!そんなにビックリせんでもええやろ」
「何すんだよっ!普通驚くだろ、こんなんされたら」
「なんかデートみたいやな」マコはボクの言った事を全く気にせずに言った。
「は?何言ってんのさ、ぜんっぜん違ぇよ」
そんな事を言い合っているとボクは意外な人から声を掛けられてビックリした。
「お〜!ジジちゃんじゃないのさ!」
「あっ!ヤスオ先輩!こんにちは」
隣ではマコがワケわからずペコリと頭を下げている。ヤスオさんは吹奏楽部のOBで、ボクがまだ部に居た時に何度か指導に来てもらった事がある。兄貴みたいでウマが合うって感じでボクは好きな先輩だ。今は大学生でバンドやってるって言ってたっけ。
「すみません…ボク、部活辞めちゃって…」
「ああ、聞いてるよ。今年のコンクールも県大会で勝って、支部大会まで行くらしいね。先生変わったからかな?しかしオマエもスミに置けないね..ヤメて何してんのかと思ったらさ、ちゃっかりこんなカワイイ彼女作っちゃって…」
「あらカワイイなんてそんなぁ..でもありがとうございます!」
ボクはマコの戯れ言を遮るように言った。
「いや。そんなんじゃないですから」
「まあそう照れなさんなって、ジジちゃん」
「違いますよ..今日はたまたま...オマエも否定しろよ」
「え〜。どうしようかな?あ、私、マコです。宜しく」
「いいねいいねぇ。マコちゃんね。コイツちょっとひ弱でしょ?でも悪いヤツじゃないからさ、宜しくね。それでさ、丁度良かった。オレ今度ライブ出るんだけど見に来ない?バンド名は「Potmans」。チケット、マコちゃんにはあげるからさ。あ。ジジはお金ちょうだい」
「きゃー!ヤスオ先輩ありがとう!ライブハウスですか?一度行ってみたかったんですよ〜」
「ちぇ。何ですかそれ…ええ、分かりましたよ。行きますよ..」
一週間後。そんな訳で生まれて初めてライブハウスに足を運んだ。残念ながらまたもやマコと一緒だった。一つ隣の駅には賑やかな繁華街があり、その中のとあるビルの地下一階にそれはあった。ライブハウス「Kanders」。
「え〜っと...ここだね」
「うん、そやな」
「どんな所なんだろ」
「ウダウダ言ってないではよ行けや」
どんな所なのかよくわからなくて、入り口で立ち止まったボクはマコに背中を小突かれて恐る恐るドアを開いた。
「いらっしゃい」
予想に反して優しそうなお姉さんが受付で微笑みながら迎えてくれた。
「あの..これ」
ヤスオ先輩から貰った...いや、ボクは買ったんだけど、そのチケットを差し出す。
「はい、ワンドリンク500円お願いしますね」
「え?あ、ハイ…」
ボクは入場チケットと別にお金が要るとは知らずに慌てて1000円札を取り出した。なけなしの小遣いだった。
「えっと、二人分でいいのかな?」お姉さんはマコの方をチラリと見て言った。
「あ、あの..ハイ…」
何だかそう言わないといけないような気がした。
「あ...ジジ、私払うからいいよ」
「いいよ、ボクが…」
「無理しなさんなって、いいからいいから」
マコと財布を出し合って押し問答をしているとお姉さんはクスクス笑ってドリンクと交換する為のチケットを2枚差し出した。
ライブが始まる。思わず心臓がドクン!と音を立てた。最初ボクは家でCD聴くのとは違うその大きな音に少しビックリしたけど、すぐに慣れて来て、段々心地良くなって来た。ヤスオさんのバンドは全3バンド中2番目に登場し、結構拍手を浴びていた。ヤスオさんのレスポールは凄く表情が豊かで、ハードなリフを弾いたかと思えばメロウな音を奏で、生まれて初めて体験する生のバンドの音にボクはすっかり感激していた。プロのCDの好きな曲を聴くのとは違う...ヤスオ先輩ゴメン。無名のアマチュアミュージシャンの音だけど、耳だけでなく全身で感じるって感じで、鳥肌が立ってしまった。今日はあんまり有名なバンドは出演しないらしく、客席もやや大人しかったようだけど。それでもボクにとっての初めてのライブハウスはとても鮮烈な印象を残した。
全バンドのライブが終わって、ヤスオさんがホールに残ってたボクたちの方に来てくれた。
「お、ジジちゃんマコちゃん、どうもありがとね」
「ヤスオ先輩!カッコ良かったです」
「とても素敵でしたよー!」
マコも合いの手を入れる。カウンターには白髪交じりのマスターがいて、結構年配の渋い感じの人だった。ヤスオさんがマスターに話かけてる。
「カンタローさん、どうでした?」
「ああ、良かったんじゃないっスか?チケットも売ってくれてたし。またブッキングするから宜しくっス」
「何でぇ、チケットさえ売れたらいいんスか。でもいいや、またお願いしまーす。あ、こいつらまだ中学生なんスけど、俺らのファンだって言うから連れてきちゃいました。こんな店にマズかったっスかね?」
ヤスオさんは調子良くボクらを紹介した。
「こんばんは…」
ボクたちはおっかなビックリの小さな声であいさつをした。
「こんあ店たぁ何だい…まあいいっスよ。音楽好きなんでしょ?だったら中学生だって構わねぇっスよ。ただしソフトドリンクしか出せないっスけどね」
マスターはそう言ってボクたちに向かってウィンクをした。ちょっとコワい人かと思ってたけど人の好さそうなオジサンだった。カッコ良く歳を重ねた人だなあとボクは思った。で、ボクが受付のお姉さんがカウンターの中にいる事に気付いてチラチラと見ていたのをマコとヤスオさんは見逃さなかった。
「何や、ジジはあのお姉さん気になってんのか?」
マコが冷やかす。
「ち、違うよ…そんなんじゃないって」
「ジジちゃん年頃だねぇ..でもダメだよ、あの人は。凪子さんって言ってさ、マスターの娘さんだから」
「エエッ!」
ボク達はびっくりして声を出した。ヤスオさんの話ではマスターの家系ってのは両親の代から音楽業界に携わってるそうだ。
「マスターの親の代でレコード会社を設立していたんだけど、息子のニ代目になってからさ、業界全体の不振から大手に吸収され消滅、そして今ライブハウスのマスターに収まってるって事らしい。でもさ、今でも業界で結構顔だからさ、マスターに認められりゃメジャーデビューへの道も開けるってんでここにはプロ志向の連中も結構出てるんだぜ。これは都市伝説の類なんだがね…マスターの親父さんってのは特攻隊の生き残りで…料亭で馴染みの芸奴さんを娶ったって話だ」
ヤスオさんの話もとても興味深かったし生で観るライブは五感に響く。とても楽しい所だった。ボクたちは興奮冷めやらぬって感じで、帰り道に言った「また行ってみたいね」というマコの言葉にボクは珍しく同意した。
そして八月最後の日曜日。そう、この日をボクは心待ちにしていた。しかし。
この時ボクの心に、アサミちゃんのピアノの発表会の日から微妙な変化が訪れる事をまだ知らずにいた。
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投稿者 | スレッド |
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zizi | 投稿日時: 2013-11-2 21:23 更新日時: 2013-11-2 21:23 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
三好女史との打ち合わせ ふう。須倉氏は気付いただろうか…先日の撮りは全部間違ってデータを消去してしまったから変わりにクレイアニメの画像でごまかしたんだけど…やってみると大変だったな。撮り直した方がはるかに早かった。って言っても作業したのは鈴木と佐藤だけど。まあたぶん大丈夫でしょ。そういや鈴木の地味な彼女は元気にしてるだろうか。いやいやそんな事よりも今日は三好マネージャーと打ち合わせだ。るんるん。
スタジオの打ち合わせ室ではメガネをとキラリと光らせた三好女史と笑みを湛えるzizi監督。 zizi「先日他の映画の関連曲を創って他局に掲示してましたら…再生回数2000回を超えました。」 http://www.youtube.com/watch?v=wrEnwEGiods 三好「へえ…(何十万回とかあるのに全然大した事ないのに。しかもあれって有名小説が映画化されてしかもジャニーズ主演。そのタイトルのおかげでしょ?)」 zizi「それでですね。次回動画も構想中です。」 三好「(どうでも良いけど)えぇ〜楽しみですね、どんなのですか?」 zizi「ええと…タイトルだけ決まってて…「あまちゃんの倍返しなおもてなしは今でしょ!」 三好「は。はあ。どうか頑張って下さい…そんな事よりも監督…私の出番はまさはか須倉みたいな事は…」 zizi「心配しないで下さい。ちゃんとあの場面はキレイに撮りますから。」 三好「え?あの場面?」 zizi「ハイ。まかせて下さい。あのシーンを見れば...これで絵梨香さんもグラビアの仕事が増えるかもです。檀○なんてメじゃありません」 三好「え?どんな?そんな色っぽいシーン台本にありましたっけ?え?」 zizi「今更何を仰ってるんですか。ちゃんとミカンの汁で書いてあります。炙って下さいと伝えてませんでしたっけ。」 三好「いやですそんなの!私は永遠の知的な清純派なのに…」 zizi「そうですか、どうしても御嫌なら仕方ないですね…あのイケメン俳優にもそう申し出しておきます…」 三好「え。イケメン俳優?」 zizi「ええ。三好さんより10才若い。」 三好「やります。」 zizi「え。」 三好「芸術の為ですもの…仕方ありません。」 zizi「そうですか。じゃこれから私と予行演習でも...」 その時急に鳴ってもいないスマホを取り出した三好女史。 三好「あっ。クライアントから急用が…すみません監督、今日はこれで失礼致しますね、それじゃまた〜!」 そう言いながら走り去る三好女史の後ろ姿を見守るしかないzizi監督... またしても良いよういあしらわれるのであった... |
SCRAPS | 投稿日時: 2013-11-1 18:23 更新日時: 2013-11-1 21:17 |
ターミネーター 登録日: 2007-1-27 居住地: 宮崎市 投稿数: 1424 |
Re: Blue mirage 第9話 「三好くん、これどういうことかね。この前のBlue mirageのオンエアを確認してるんだけど、スクラップ先生思いっきり玉砕しちゃってるんだけど。しかも出番少なくない? 演技はもっとしたはずなのに、思いっきりカットされちゃってるよね、これ。話の内容変わちゃってるよね、これ。ていうか、オンエアされた場面って演技した記憶が無いんだけど、もしかしてこれってCGじゃね? そもそも今回は準主役級で、しかも大恋愛する役のオファーって最初言ってなかったか、キミ?」
コンピュータ越しに首を傾げて、間抜け面で須倉がこちらに訴えている。 「先生、演技の世界を甘く見てもらっては困ります。これでもわたし、この美しすぎる敏腕マネージャーのわたしが、随分粘り強くあの手この手で交渉したんですよ。でもネックになったのはやっぱり前回のミズネムでのあの酷い演技。あれですよ。あれが原因です。インターネットの掲示板がそりゃもう大炎上して火消しに苦労しましたよ。あれはないって。あんな演技されたらそりゃいい役なんて回ってくるはずないですよ。そりゃCGにも差し替えられるってもんですよ。もっと自分を客観視してください。ポリゴンに負けてるとか、ププ(笑)」 わたしは、須倉の説教が始まる前に機先を制するべく、少々こっぴどくやり込めた。思った通り、須倉が椅子の上で体育座りをして、古くなった鯖のような目で壁に向かってぶつぶつとなにか言っている。 だって須倉の演技の是非についてインターネットの掲示板が炎上したのは事実だし。もっとも、そうなるように陰で仕掛けたり油を注いだりしたのも私だけれど。(笑) 実のところは準主役級とまでは行かないものの、もうちょっと出番があるはずだった。でもそうならなかったのにはまた別の理由があった。 事の発端はzizi監督が、このわたし、三好絵梨香に監督の今回の作品に出演しないかと誘ってきたことにある。今にして思えば、元アイドルであるわたしの、女優としての芸能界再出発に向けた復帰作となれば、それなりの話題作りになるとでもお考えだったのかしら。真相は定かではないけれど。 ともかく、最初は冗談だろうと思って軽く受け流していた監督からのお誘いだったが、どうも先方としては本気だったらしく、そのお誘いはあまりに熱心……いや、正直なところしつこかった。 とは言え、わたしとしては今更芸能界に復帰する気などさらさら無い。そんなわたしが結果的に今回オファーを受け入れることにしたのには、表沙汰にはしていない理由がある。私の出演と引き換えに、監督にはある条件を呑んでいただいた。 つまり、わたしが出演する代わりに、須倉の出番を減らすこと、且つなるべく情けない感じの役回りにしてもらうという条件。前回、あれだけお願いしていたにもかかわらず、監督ったら、須倉に気を遣ったのかちょっといい人っぽく描いていた。 一つの方向性として、クリーンでジェントルなイメージ戦略で須倉を売り出していくというのも正当なやり方だとは思う。普通ならきっと音楽家としてそっちの方向性を取るのだろうが、わたしとしてはそんな当たり前のやり方ではつまらない。 須倉のあの気障ったらしい音楽と嫌味なキャラクターの割にマヌケなところをわたしは世に訴えたい。知らしめたい。いやむしろ貶めたい。……いけない、わたしとしたことがつい熱くなってしまいましたわ。 まぁ、そもそもあんなもん色物的な扱いで別にいいだろうという程度に考えている。正直、須倉にはかっこ悪い役をやらせておいた方がお似合いだと思う。 わたしはちょくちょくネット掲示板で大炎上を仕掛けては話題作りに利用しているのだが、どうせ世間的に大して影響力もない人なので、それくらいがちょうどいいさじ加減だ。 それにあまり出演場面が増えたり、いい役どころをもらったりして、自分のことを俳優だとでも勘違いされては面倒くさい。とにかく面倒くさい人なのだ。すぐその気になっちゃうし、だらだらと説教するし、面倒くさいことばっかり言ってくるし、その辺りは巧くわたしが操縦しないとわたし自身の仕事がやりにくくなるのだ。 「先生、まぁそう気を落とさずに。今回の演技が名バイプレイヤーとして評価されて次回作につながるかもしれませんよ。ね、元気出しましょ」 「今回の演技って結局CGじゃないかぁ。それで評価されるのってボクじゃないだろ。ん、Pix◯rか、Pix◯rなのか? 結局評価が上がるのはPix◯rかよ」 「何言ってるんですか。たかが先生の出演場面を差し替えるのにPix◯rに外注に出すとか、どんだけお金掛けるんですか。そんなわけ無いでしょ。聞くところではニ◯ニコ動画のCG職人に発注したらしいですよ」 「……」 「そんなことよりか、せんせ。ほら、最近わたしも今回のオファーでインタビューとか結構受けたりしてメディアに露出する機会があったから、ちょっと話題になってますよ。『元アイドルの三好絵梨香ちゃんが今でもかわいすぎな件(画像あり)』っていうスレが立ってますって。ほら、先生もこれ見て元気出して」 もうひとつ、表沙汰にはしていないこと。そう、実はこのスレを立てたのもわたし。芸能界に復帰する気は全然ないんだけど、映画の話題作りのためにはこれくらいの工作はするわ。それにチヤホヤされて悪い気はしないし。 映画が話題になれば、結果として須倉のことも話題になってまたスレが程よく炎上。そうすればますます話題になって映画にも注目が集まるし、須倉の仕事にも注目が集まることになる。 わたしは、音楽家須倉歩のマネージャー。美しすぎる敏腕マネージャーと(業界)人は呼ぶわ。 さて、今夜もネットでひと暴れしますわよ。オーホッホ。 |
zizi | 投稿日時: 2013-10-28 20:36 更新日時: 2013-10-28 20:36 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
kankanさん主演ありがとうございます kankanさんどもども。お疲れ様でございます。
いやいやイイ曲ですよ、ホントにありがとうございます。 ジュニアじじも喜んでおります。 小説中ではようやく出演の場面となりました。ちょっと今回の小説では 主要人物3人以外が登場場面が少なくてすみません。このライブハウスは また小説中の秋頃と冬頃(何とアバウトな)登場します。のでそれ以外 ここでどんな事が行われているかは...スピンオフ創作大歓迎です(笑) 実は私最近、他の流派に(他サイトの事です)赴き武者修行しておりました。 http://creofuga.net/diaries/4644 自分の妄想力もまだまだだな...と思い知らされました(音楽じゃねぇのか:笑) で、せっかくなのでその成果を(音楽の方です)関連楽曲としてあげようとしております。 ってワケでまた今後の展開も随時掲載して参りマッス! |
kankan | 投稿日時: 2013-10-27 16:27 更新日時: 2013-10-27 16:27 |
TheKanders 登録日: 2008-1-14 居住地: 投稿数: 2002 |
Re: Blue mirage 第9話 おっと、おいらが出演したぜ。
ぐひひっ。 なんかいろいろやってることに疲れ、久々のGBUC。 そんで、勝手に曲作ったじぇ。 ダサい覚悟でさ。ストレートにさ。 歯の修理も終わってないのにさ。 ziziさん。ジュニアじじによろぴくっす。 未熟ってとこでの、居心地の良さかな。 |
zizi | 投稿日時: 2013-10-23 22:25 更新日時: 2013-10-23 22:25 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
九九社長は太っ腹 大事な発表会を終えた九九社長。息抜きにzizi監督とコンビニの前に座り込んでダベっています...
九九社長「ziziちゃん、見た?ボクのプレゼン。」 zizi監督「ええ、良かったです...黒いシャツとジーンズ」 九九社長「それじゃなくてさ、ほら、薄型愛版とか」 zizi監督「どうせ私のヘソクリじゃ買えませんから」 九九社長「相変わらずガラケー使ってんの?」 zizi監督「ええ。あ、そうだ。リンゴ社でガラケー作って下さいよ。」 九九社長「何をいまさら。我々は世界を相手にしてんのよ」 zizi監督「まあいいじゃないですか。愛撫叙那さんデザインのガラケー。あ、若しくはカエル工房に依頼するとか」 九九社長「そんなセコいziziちゃんにね。これ。ホラ」 九九社長は自慢の薄型愛版を取り出し、スラスラと操って見せる... zizi監督「え...ええ!?新OSのマーヴェ...一匹狼が無料アップグレード!」 九九社長「どうよ」 zizi監督「マ、マジですか!太っ腹〜!」 |
zizi | 投稿日時: 2013-10-19 19:35 更新日時: 2013-10-19 19:35 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
期間限定の... 監督助手達はスタジオの隅っこで動画サイトを眺めていた。
鈴木「これ、監督に教えなくていいかな...何か参考になるんじゃ」 佐藤「そ。俺もそう思う。特に左側のヤツなんて」 http://wmg.jp/tatsuro/pv.html 鈴木「監督、たぶん...本当はこんなの撮りたいんじゃないの?」 佐藤「でも恋愛映画とか興味なかったんじゃなかったっけ」 鈴木「そだね、やめとこか、また関係無い事で怒らるのヤだし...」 佐藤「でもこれ明日までしか見れないのか...」 背後に気配を感じ振り返る二人。が、目にした物は... 鈴木「はっ!監督...まさか...」 佐藤「もしかして...泣いちゃってます...?」 |
zizi | 投稿日時: 2013-10-18 22:15 更新日時: 2013-10-18 22:15 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
あとがき さてお話は夏休みに突入致しまして、ついに出ましたライブハウス「Kanders」。渋いマスター貫太郎さん(ちょっと年齢は行ってますが勿論口癖は○○っス)にスタッフ凪子さん(こちらはアラサーくらい?年齢不詳っぽいですが勿論美人)。にヤスオ先輩(ギタリスト設定ですがドラムもパワフルです)率いるカッチョいいバンド、Potmans。未成年にも優しい素敵なお店です。もしかしたら今夜もセッションしてるかもしれません...
関連楽曲はこちらです。(勝手にスンマセン) She Was Briting 【第一期OP曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15661&cid=8 Mr. DJ 【劇中挿入歌】(としてご想像下さい) http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15560&cid=1 BLUE MIRAGE 【イメージテーマ曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15470&cid=1 バックナンバーはこちらです。 http://gbuc.net/modules/d3diary/index.php?req_uid=2049&mode=category&cid=4 登場人物 ジジ:無気力な中学二年生。音楽室で隣のクラスの女の娘に一目ボレします。 アサミ:ジジの隣のクラスの女の娘。音楽室でピアノを弾いている。ジジと少しづつ心を通わすように..なるのか? マコ:ジジの隣の席の女子。ジジとはいつもケンカばかりしている女子。天敵なのか...? 貫太郎:ライブハウス「Kanders」マスター。結構年配です。 凪子:ライブハウス「Kanders」スタッフ。アラサー位?の美人です。 ヤスオ先輩:ジジの先輩。バンド「Potmans」で活動中。現在大学生です。 ユーイチ:ジジの親友、学級委員の秀才。 須倉先生:ジジのクラスの担任の先生。あだ名はスクラップ先生。 なり子先生:教育実習の可愛らしい先生。(7話) 樋渡先生:教育実習のカッコいい先生。(7話) また、この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません。 それではまた次回。 |
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