zizi さんの日記
2013
10月
12
(土)
06:56
本文
Blue mirage
第8話
2013年 7月
最近は暑い...夏になると運動部は大会が近くなり、吹奏楽部はコンクールのシーズンだ。放課後、グラウンドに響くかけ声や、大音楽室から聞こえるロングトーンの音を聞きながら、ボクはいつもの場所へ向かった。
最近はもう普通に音楽室に入って行けるようになった。マコがいなくてもだ。アサミちゃんは既にピアノを弾いてる事が多かったので、そんな時は邪魔しちゃ悪いのでそ〜っと扉を開けて、そ〜っと入るんだ。アサミちゃんはボクに気付いて目と目で挨拶をする。それからアサミちゃんのピアノを聴いて、その後におしゃべりをするのが何よりの楽しみとなっていた。ある時通りかかった先生から「何してるんだ?」と言われた事があって、それ以来ボクはアサミちゃんのピアノを聴いている間、机に教科書とノートを開いて置いて、「宿題やってます」的なカムフラージュをすることにした。
もうすぐ夏休みになろうかという時期のマコが早く帰ったその日、ボクはいつものように音楽室へ向かった。そして、いつものようにアサミちゃんのピアノを聴いて、その後おしゃべりをした。ボクはアサミちゃんの言葉に少しドキっとした。
「ジジ君さ、時々音楽室の外でピアノ聴いてくれてたよね?」
「え...気付いてた?....うん...ゴメン、変だよね...?」
「あ、ちがうの、いいのよ、変だとかじゃなくて...あの人には音が届いてるのかなって思って」
「え?そりゃ音は廊下まで聞こえてたけど...」
彼女は少し不思議そうな表情をした。これまで見た事無い様な新鮮な感じだった。
「そういう意味じゃなくて...なんて言うんだろ、わかってもらえる感じ?なんだろ、やっぱり私もよくわかんない」
そう言いながらクスクスと笑った。この表情はとても魅力的に見えて、ボクは少しそれを隠そうとして話題を変えた。
「もうすぐ夏休みだね...」
「そうだね。ジジ君は何か予定あるの?」
「いや...特に。でも、最近アサミちゃんのピアノ聴いてまた楽器なんかに興味が出て来ちゃってさ。家にギターと電子ピアノがあるから...時々触ってるんだ。ちょっと練習してみようかなってね」
「あ〜、そうなんだ、うん。いいと思うな。ジジ君も何かやった方がいいよ、楽しいと思うよ」
本当はいつかアサミちゃんのピアノと一緒に演奏出来たらいいな...なんて思ってたんだけど、ボクは言えなかった。
「うん、そうだね。簡単な曲さがして練習してみようかな、なんて...あ、アサミちゃんは?」」
「あ、八月の最後の日曜日、ピアノの発表会があるんだ。だから練習しなくっちゃ」
「発表会って夏休みの間にあるんだね。あのさ...もしも良かったら...それって観に行ったり出来るのかな...?」
「えっ?ホント?わざわざ観に来てくれるの?同じ先生の門下生ばかりで、有名な人なんかいないんだよ?」
言うまでもない。ボクはアサミちゃんのピアノ演奏さえ観れたらそれでよかったんだ。
「うん、絶対行くよ。これってチケットとかあるの?」
「あ、特に入場料とか要らないんだけど...一応入場整理券はあるから渡しておくね」
そう言いながらアサミちゃんは鞄の中から二枚の入場券を取り出しながら言った。
「ハイ。マコちゃんの分もね」
「ええっ...あ、そ、そうだね...一応誘ってみるよ」
こんな心躍る一大イベントにアイツなんか絶対連れて行けない。ボクはユーイチを誘って行こうと思いながら受け取った。
とにかくこれはボクにとって夏休み最大の楽しみとなった。気兼ねなく観るために、それまでに宿題も全部終わらせてやる。そう意気込んでいた。
この時、ボクはこんな風景がいつまでも続くんだ、と思っていた。
第8話
2013年 7月
最近は暑い...夏になると運動部は大会が近くなり、吹奏楽部はコンクールのシーズンだ。放課後、グラウンドに響くかけ声や、大音楽室から聞こえるロングトーンの音を聞きながら、ボクはいつもの場所へ向かった。
最近はもう普通に音楽室に入って行けるようになった。マコがいなくてもだ。アサミちゃんは既にピアノを弾いてる事が多かったので、そんな時は邪魔しちゃ悪いのでそ〜っと扉を開けて、そ〜っと入るんだ。アサミちゃんはボクに気付いて目と目で挨拶をする。それからアサミちゃんのピアノを聴いて、その後におしゃべりをするのが何よりの楽しみとなっていた。ある時通りかかった先生から「何してるんだ?」と言われた事があって、それ以来ボクはアサミちゃんのピアノを聴いている間、机に教科書とノートを開いて置いて、「宿題やってます」的なカムフラージュをすることにした。
もうすぐ夏休みになろうかという時期のマコが早く帰ったその日、ボクはいつものように音楽室へ向かった。そして、いつものようにアサミちゃんのピアノを聴いて、その後おしゃべりをした。ボクはアサミちゃんの言葉に少しドキっとした。
「ジジ君さ、時々音楽室の外でピアノ聴いてくれてたよね?」
「え...気付いてた?....うん...ゴメン、変だよね...?」
「あ、ちがうの、いいのよ、変だとかじゃなくて...あの人には音が届いてるのかなって思って」
「え?そりゃ音は廊下まで聞こえてたけど...」
彼女は少し不思議そうな表情をした。これまで見た事無い様な新鮮な感じだった。
「そういう意味じゃなくて...なんて言うんだろ、わかってもらえる感じ?なんだろ、やっぱり私もよくわかんない」
そう言いながらクスクスと笑った。この表情はとても魅力的に見えて、ボクは少しそれを隠そうとして話題を変えた。
「もうすぐ夏休みだね...」
「そうだね。ジジ君は何か予定あるの?」
「いや...特に。でも、最近アサミちゃんのピアノ聴いてまた楽器なんかに興味が出て来ちゃってさ。家にギターと電子ピアノがあるから...時々触ってるんだ。ちょっと練習してみようかなってね」
「あ〜、そうなんだ、うん。いいと思うな。ジジ君も何かやった方がいいよ、楽しいと思うよ」
本当はいつかアサミちゃんのピアノと一緒に演奏出来たらいいな...なんて思ってたんだけど、ボクは言えなかった。
「うん、そうだね。簡単な曲さがして練習してみようかな、なんて...あ、アサミちゃんは?」」
「あ、八月の最後の日曜日、ピアノの発表会があるんだ。だから練習しなくっちゃ」
「発表会って夏休みの間にあるんだね。あのさ...もしも良かったら...それって観に行ったり出来るのかな...?」
「えっ?ホント?わざわざ観に来てくれるの?同じ先生の門下生ばかりで、有名な人なんかいないんだよ?」
言うまでもない。ボクはアサミちゃんのピアノ演奏さえ観れたらそれでよかったんだ。
「うん、絶対行くよ。これってチケットとかあるの?」
「あ、特に入場料とか要らないんだけど...一応入場整理券はあるから渡しておくね」
そう言いながらアサミちゃんは鞄の中から二枚の入場券を取り出しながら言った。
「ハイ。マコちゃんの分もね」
「ええっ...あ、そ、そうだね...一応誘ってみるよ」
こんな心躍る一大イベントにアイツなんか絶対連れて行けない。ボクはユーイチを誘って行こうと思いながら受け取った。
とにかくこれはボクにとって夏休み最大の楽しみとなった。気兼ねなく観るために、それまでに宿題も全部終わらせてやる。そう意気込んでいた。
この時、ボクはこんな風景がいつまでも続くんだ、と思っていた。
(閲覧:27981) | (好きボタンポチっと数:)
投稿者 | スレッド |
---|---|
zizi | 投稿日時: 2013-10-14 7:53 更新日時: 2013-10-14 8:03 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re[2]: 須倉先生へ2 須倉先生、どもども〜!
そうですね、私なんかはもう中学生といえばいけてない事この上なかったのでこの物語のように女子と音楽室で語らう...なんて事はありませんでした(笑)。で、実際の中学生がいる我が家で取材しますと、携帯所持率は高校生になるとグッと上がるんですが、中学生ではまだそうでもないんですね。持ってない方が圧倒的に多い(東京ではどうか知りませんが)。なので自分の記憶もまだ活かせるかな〜と。それとあれですよ、すぐに連絡出来なかったりする大人と子供の境界線にいる貴重な世代です。 あ、エンディング風の曲、実は只今制作中なのですが、被っても構いませんのでどしどし創ってやって下さい、第二期エンディングとかアニメ版とドラマ版のエンディングとか誰かのキャラソンとか(今のアニメとかって一つの作品でopとエンディング、登場キャラのテーマソング等でCD7〜8枚出たりするみたいですから)色々ありますので〜 |
SCRAPS | 投稿日時: 2013-10-12 21:42 更新日時: 2013-10-12 23:25 |
ターミネーター 登録日: 2007-1-27 居住地: 宮崎市 投稿数: 1424 |
Re: Blue mirage 第8話 いいですねぇ〜。
学生時代をなんとなく思い出しながら読ませていただいてます。 私もエンディング曲、勝手に頭の中にはイメージがあるんですが、相変わらず怠け者でなかなか実際の作品作りまでいかないんですよね。 そのうちまた勝手に作っちゃえとか思っているんですけども。 |
zizi | 投稿日時: 2013-10-12 7:00 更新日時: 2013-10-12 7:00 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
あとがき 物語中では一学期も終わりに近づき、次回はいよいよ夏休み、ちょっと予告編めいた事書きますとこの間ジジ少年はひょんな事からマコちゃんとデート状態になってしまい人生初めての体験をしてしまい...で、登場人物が増える予定です。ロックバンド「Potmans」のリーダーであるヤスオ先輩、ライブハウス「Kanders」のマスター貫太郎さんと美人スタッフの凪子さんです。さてさてどうなりますやら...
関連楽曲はこちらです。(勝手にスンマセン) She Was Briting 【第一期OP曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15661&cid=8 Mr. DJ 【劇中挿入歌】(としてご想像下さい) http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15560&cid=1 BLUE MIRAGE 【イメージテーマ曲】 http://gbuc.net/modules/myalbum/photo.php?lid=15470&cid=1 バックナンバーはこちらです。 http://gbuc.net/modules/d3diary/index.php?req_uid=2049&mode=category&cid=4 登場人物 ジジ:無気力な中学二年生。音楽室で隣のクラスの女の娘に一目ボレします。 アサミ:ジジの隣のクラスの女の娘。音楽室でピアノを弾いている。ジジと少しづつ心を通わすように..なるのか? マコ:ジジの隣の席の女子。ジジとはいつもケンカばかりしている女子。天敵なのか...? 貫太郎:ライブハウス「Kanders」マスター。結構年配です。(9話登場予定) 凪子:ライブハウス「Kanders」スタッフ。アラサー位?の美人です。(9話登場予定) ヤスオ先輩:ジジの先輩。バンド「Potmans」で活動中。現在大学生です。(9話登場予定) ユーイチ:ジジの親友、学級委員の秀才。 須倉先生:ジジのクラスの担任の先生。あだ名はスクラップ先生。 なり子先生:教育実習の可愛らしい先生。(7話) 樋渡先生:教育実習のカッコいい先生。(7話) また、この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません。 それではまた次回。 |
アバター
アクセス数
8047880 / 日記全体
最近の日記
最近のコメント
- SCRAPSさま zizi [10-29 21:44]
- potman2さま zizi [10-29 21:36]
- Re[2]: Deep Purple: zizi [10-29 21:25]
- テツオさま zizi [10-29 21:13]
- 無題 SCRAPS [10-29 00:12]
- 無題 potman2 [10-28 16:02]
- Re: Deep Purple kimux [10-28 09:34]
各月の日記