zizi さんの日記
2012
11月
2
(金)
06:33
本文
連載小説「水の空に眠る」の第七話です。
これまでの経緯、バックナンバー及び外伝、関連楽曲等は下記御参照頂ければと思います。
第一話〜第六話
「君十七の月ほの暗く」/yuuichikさんの外伝曲
「À la fracture de jour」/SCRAPSさん
「彼方から」/ziziの外伝曲
主な登場人物(今回登場しない方含む)
簡寛太 海軍航空隊に所属する特攻隊員
なぎこ 航空隊のある町の花街にいた美しい娘「なぎこ」
由布 一 寛太の基地の司令官
ぽとまん「黒猫館」常連客で萬商店「土瓶屋」の主
いさこ なぎこと同じ店で働く娘。声の美しい、恥ずかしがり屋。
まこ なぎこと同じ店で働く娘。おきゃんで元気、だけど寂しがり屋。
じじ 彼女たちを束ねる怪しい料亭「黒猫館」のあるじ。
樋渡干記 大陸帰りの従軍記者。過去経歴に謎の部分有り。
シオン 寛太が漂着した村の美しい娘
笹子 古ぼけた写真に写っていた女性。じじ昔の知人であるらしい。
須倉 歩 気の荒い整備兵
それでは第七話。南の島の寛太は...そして黒猫館で暴れる酔客にいさこがとった行動は...
今回のオープニングテーマはこちら。
「Fact that cannot be avoided ZizysaeK version」
挿入歌にこちらをどうぞ。
「晴らしき國ニッポン ー春・夏ー」/YsaeKさん。
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「水の空に眠る」
第七話 いさこの鼓
1945年7月初旬
奄美大島海辺の村
寛太は夢を見ていた…
料亭に行き、酒を飲んでいる夢だった。今年の初め頃、この店で働く娘と知り合って仲良くなり初めて足を運んだのだった。仲間が帰った後も一人座敷に残り、その娘と話し込んでいたのだが、もうそろそろ…という時間になり、美しい娘は言った。
「寛太さん、今日はどうも来て頂いてありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ…とても楽しかったッス」
襖の陰には別の二人の娘の影があり、小声で話をしていたが寛太には聞こえなかった。
「あの人…なぎこさんのいいひとなんかな…」
「そんなことして…まこちゃん、なぎこさんに悪いよ…」
「いさこちゃんも一緒に覗いてるやん…」
座敷に居た美しい娘は酌をしようとして言った。
「あら、もうお酒なくなりそうですね、取りに行ってきましょうか?」
「あ、いえ…今日はもうこれ位で…」
「そうですか…それではまた、いらして下さいね…」
「ええ、本日はとても楽しかったッス…是非また」
そう言いながら立ち上がったが、久しぶりに気持ち良く酒が飲めたせいか、思いの他酔っていた。思わず足がもつれ、転びそうになる。
「きゃっ! 」
思わず娘は体を受け止めた。
「あの…大丈夫ですか?」
「あっ。面目ありません。大丈夫ッス。」
名残惜しかったが、少し間を置いてから肩にかけた手を離し、座敷を出ようとした。襖の影ではこっそり様子を窺っていた娘達が鉢合わせしそうになり、元気良さそうな娘は襖から一歩下がりながら慌てて言った。
「あっ、もうお帰りなんですか…もしよろしければ珈琲でも如何ですか?代用ですけど…」
かわいらしい娘達だった。廊下に居た二人の娘を優しい目で眺め、微笑みながら言った。
「そうですか…では皆様もご一緒にどうッスか?」
「駄目よそんな事言っちゃ。寛太さん御迷惑でしょ」
一緒に座敷に居た娘は少し咎めるように言ったが、
「あ、いえ自分ならまだ大丈夫ッス。代用珈琲も頂いてみたいッスから…」
自分がそう応えたのを聞いて、廊下に居た元気そうな娘は得意気に言う。
「じゃ、皆でもう少しだけ。私達もお邪魔しますね…ほら、おいで」
と、さらにもう一人の恥ずかしがりやであるらしい娘を促した。自分はいつになく愉快な気持ちになっていたせいか珍しく饒舌になり、武勇伝を面白おかしく語った。
「それで、敵兵が薮の中に潜んでるようだから見て来いって言われてッスね、おっかなビックリで近寄ったらザァって音がして、飛び出して来たのは猪だったんス」
「きゃあ」「あはは!」
それからしばらく三人の娘達と他愛無くも楽しい時間を過ごした。
寛太は夢を見ながら何故か懐かしい気持ちになっていた。ここは心地良い空間だ…
----------------------------------
同日夜
黒猫館
最近は統制が一層厳しくなり、戦況も旗色が悪い事が周知の事となっているらしく、黒猫館に来る兵隊達も殺伐とした雰囲気の者が多かった。ちょっとした事ですぐに喧嘩となり、宥めるのに苦労させられる事も多い。今日もなぎこ、まこ、いさこと上がっている座敷で最初は談笑していた兵隊達であったが、些細な事から大声を出して口論となる。今日は整備班長の須倉が顔を見せていた。気の荒い男で整備兵にしては珍しく搭乗員達にも物怖じせず食ってかかる男である。
「貴様!それでも軍人か!もう一度言ってみろ!」
そう搭乗員から咎められても須倉は平然とした顔付きで言い放った。
「そんな耳しててよく操縦士が勤まるな、何度でも言ってやるさ。下手な搭乗員のせいで俺達は苦労させられてる」
どうやら最近は訓練中に発動機の不調が度々あり、途中で引き返す事が良くあるらしい。
「貴様達の整備がなっとらんから訓練もロクに出来んではないか!」
「そうですかね…数も揃わない、しかも精度の悪い部品に粗悪な油脂に燃料。俺達はその中で最善を尽くしてる。俺達だからこそ今の稼働率が保ててるのさ。これ以上どうしろってんだ」
「そこを何とかするのが貴様達の務めではないか!根性が足りん証拠だ!」
「その根性とやらで…昨日も荒っぽい着陸されてましたね。車輪を破裂させた上に脚を折っちまって…おかげでこちらは徹夜で修理をさせられた」
「何だと!?それ位当然ではないか。この非国民めが!」
「そうですかね…もう特攻に出撃した人達の方がよっぽど巧かった。寛太隊員なんか大事な飛行機をすぐに壊すようなお人じゃ無かったね。どちらが非国民なんだか…」
「聞き捨てならん!やる気か貴様!ちょっと立て!」
今日もまた喧嘩が始まろうとしていた。須倉は知らない顔ではなく、なぎこが宥め、まこが仲裁に入る事でいつもなら収まるのだが今日は双方とも矛を収めず、まこが大声で制止しても効かずに次第に大人数の取っ組み合いの喧嘩に発展してしまった。卓台をひっくり返し、皿が割れる音。日頃の鬱憤が溜まっているのか酔いのせいかは解らなかったが今日の喧嘩はとても収まりそうにない雰囲気だった。
「なぎこさん、どうする?」
心配そうに話しかけるまこは、以前盆で酔客を殴って気絶させた事がある。しかし今日は大人数でとてもそんな事は危険だとなぎこは判断した。
「まこちゃん、だめ!じじさん呼んで来るから!」
なぎこは急いで階段を降り、じじの居る所へ向かった。校長先生に連絡してもらうか…以前預かり物だとか言う恩賜の短剣とやらをチラつかせて酔客を黙らせた事がある。
「じじさん、ちょっと今日のお客さん達喧嘩になっちゃって、収まりそうにないんです!校長先生に連絡した方が良いかも..」
「ああ、そうかい…」
主はなぎこの意に反し、ややのんびりと答えた後部屋の奥から何やら取り出して来た。
「校長先生は今土蔵でお楽しみだ、そんなつまらん事で邪魔しちゃ悪い。これ。いさこに渡して来な。」
「え?これって…太鼓?」
「ああ、酔客なんざ猿と一緒みたいなもんさ。後は…何とかしてくれるだろ」
さすがのなぎこも要領を得ないまま太鼓と二本の撥を持ち座敷へ戻った。
「やめて下さいー!あっ、なぎこさん…」
「ちょっと待ってて!」
まこが何とか仲裁しようと奮闘している。しかし酔いと頭に血が上っているせいか皆聞く耳を持たなかった。座敷の隅でどうして良いかわからずにいるいさこを見つけ、なぎこはとにかく持たされた物を渡した。
「いさこちゃん、これ!じじさんが渡してくれって…」
「え?」
いさこは少しキョトンとした表情であったが、太鼓と撥を受け取ると静かに頷き、大きく息を整えた後、おもむろに身構えた。
次の瞬間。太く、芯のある太鼓の音が響き渡った。
長い連打。思わず先程まで取っ組み合いをしていた皆の動きが一瞬止まる。強い、意志を持った響きに皆我にかえったように耳を奪われる。やがて強い連打は一旦小さくなり再び大きくなった後、その響きは突然速く複雑な拍子へと変貌した。全く予測が付かないその撥捌きに皆釘付けとなる。それは徐々に緩やかな動きとなり、今度は安らかな気持ちに満たされる。それは恰も母の胎内にいた時に聞いた、穏やかな胸の鼓動を思い起こさせた。先程までの喧騒が嘘のように引き、その場にいた全員が、いさこの紡ぎだす音に包み込まれて行く。やがて、静かな余韻を残していさこは撥を納めた。
最後の音を耳に残し、皆言葉を失っていた。取っ組み合いをしていた者同士が今まで何をしていたんだろう?という気配で顔を見合わせる。いさこが遠慮がちに口を開いた。
「あの…皆様いつも本当に御苦労様です…でも、私には今何もしてあげる事が出来ません…だから…」
そこで言葉を切ると、少し逡巡した後、独唱を始めた
『菜の花畠に、入日薄れ
見わたす山の端、霞ふかし…』
朧月夜だった。その心打つ…美しい歌声に皆静まった。その歌声はそれまで白と黒の色しか無く冷たかった皆の心に淡く懐かしい色彩と暖い光を灯した。親しい者や故郷を思い出し涙ぐむ者、顔を見合わせ、互いに先程までの喧騒を恥じ入り、照れ隠しに小突いたりする者。それぞれが魂に響く何かを感じ取っていた。
『我は海の子白浪の
さわぐいそべの松原に…』
続けていさこは「我は海の子」を歌った。淡い色彩はやがて色鮮やかになり、皆の心を染め上げて行った。一人..また一人と歌に加わって行く。つい先程まで取っ組み合いの喧嘩をしていた搭乗員と整備兵も最後は皆で肩を組み大合唱が座敷を包んで行った…
終宴後、帰り際に玄関先で須倉が直立不動で挨拶をした。
「本日は本当に申し訳ありませんでした。非礼な振る舞いをどうかお許し頂ければと思います。なぎこさん、まこさん、そしていさこさん。良い体験をさせて頂き誠にありがとうございます。我々には守るべき物があるのだ…改めてそう実感しております。それでは皆様、失礼致します。」
「皆様…また一緒に歌いましょうね…」
声を掛けたいさこに皆振り返ってにっこり笑って会釈した。
「待ってますからねー!絶対また来てくださいよー!」
まこが元気に声をかけた。
「皆様、どうか…是非またいらしてくださいね…」
なぎこが応える。
きちんと敬礼して帰る後姿を見送るなぎこはそっと呟いた。
「あの中の何人の方が御無事でいらっしゃるのだろうか…」
皆が帰った後館内に戻ろうとすると玄関先にじじと帰り支度をした由布の姿があった。校長先生が座敷の奥からこっそり覗いていたのを見つけていたいさこは慌てて傍へ行き会釈をした。由布は軽く頭を撫で、
「立派になったものだ…」
と一言呟きくるりと背を向けて皆に気付かれないよう帰っていった。いさこにはその言葉の意味が分からなかったがその包み込まれるような優しさだけは感じ取っていた…
----------------------------------
翌日、朝。
奄美大島海辺の村
目が覚めた寛太はまだ寝台の中だった。夢で見たあの場所へはかつて行った事があるような気がするが…夢は自分の失われた過去の記憶だったのだろうか…今日もまだ体が痛く、頭も痛い…しかし窓から少しだけ外が見え、海が近いらしく潮風を感じる。どうしても外の様子を見てみたい欲求にかられ、無理をして足をベッドから下した。まだ足は固定され、関節を少ししか曲げる事が出来ない。両手を寝台に付き、体の向きを変え足を床に降ろし思い切って立ち上がってみる。
「案外痛くない…俺はもう歩けるのか?」
そう思い、足を踏み出した…つもりであったが、体だけが前につんのめり、倒れそうになる。
「きゃっ!」
その時丁度様子を見に来たシオンが慌ててかけより体を支えた。
「だめじゃないですか、無理しちゃ…まだ歩ける体じゃ無いって父も言ってましたよ。」
「ああ、すまない…どうしても…もっと良く外の景色が見たくて…」
「そう…ですか…じゃあ、少しだけですよ..さ、肩につかまって下さい。」
「え?」
「そこの窓まで歩いてみましょうか?」
そう言ってシオンは寛太の腕を自分の肩にかけ、寛太の体を支えながら数歩先の窓まで一緒に歩いた。
「海がきれいでしょう?」
「ああ…きれいだ…」
「寛太さん…」
「え?」
「今は無理しないで、ゆっくり体を休めて下さいね…」
「ああ…そうだな…」
寛太はシオンの肩につかまったまま、ある思いが浮かんで来る事を抑え切れなかった。この国は今戦争をしている。自分と同じ年頃の者は徴兵され戦地に赴いているらしい…もしかしたら自分はこのまま、何も思い出さない方が良いのだろうか…
-続く-
----------------------------------------------------------------------
この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません...
今回のエンディングテーマはこちら。 「君十七の月ほの暗く」/yuuichikさん
あとがき
最後までお読み頂きありがとうございました。次回は「ぽとまん」編、その後は来年になるかもしれませんが「なぎこの回想」編へと続く予定です。その途中どこかでテーマ曲をCreate&Listenの方にアップしようと思っています〜!
これまでの経緯、バックナンバー及び外伝、関連楽曲等は下記御参照頂ければと思います。
第一話〜第六話
「君十七の月ほの暗く」/yuuichikさんの外伝曲
「À la fracture de jour」/SCRAPSさん
「彼方から」/ziziの外伝曲
主な登場人物(今回登場しない方含む)
簡寛太 海軍航空隊に所属する特攻隊員
なぎこ 航空隊のある町の花街にいた美しい娘「なぎこ」
由布 一 寛太の基地の司令官
ぽとまん「黒猫館」常連客で萬商店「土瓶屋」の主
いさこ なぎこと同じ店で働く娘。声の美しい、恥ずかしがり屋。
まこ なぎこと同じ店で働く娘。おきゃんで元気、だけど寂しがり屋。
じじ 彼女たちを束ねる怪しい料亭「黒猫館」のあるじ。
樋渡干記 大陸帰りの従軍記者。過去経歴に謎の部分有り。
シオン 寛太が漂着した村の美しい娘
笹子 古ぼけた写真に写っていた女性。じじ昔の知人であるらしい。
須倉 歩 気の荒い整備兵
それでは第七話。南の島の寛太は...そして黒猫館で暴れる酔客にいさこがとった行動は...
今回のオープニングテーマはこちら。
「Fact that cannot be avoided ZizysaeK version」
挿入歌にこちらをどうぞ。
「晴らしき國ニッポン ー春・夏ー」/YsaeKさん。
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「水の空に眠る」
第七話 いさこの鼓
1945年7月初旬
奄美大島海辺の村
寛太は夢を見ていた…
料亭に行き、酒を飲んでいる夢だった。今年の初め頃、この店で働く娘と知り合って仲良くなり初めて足を運んだのだった。仲間が帰った後も一人座敷に残り、その娘と話し込んでいたのだが、もうそろそろ…という時間になり、美しい娘は言った。
「寛太さん、今日はどうも来て頂いてありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ…とても楽しかったッス」
襖の陰には別の二人の娘の影があり、小声で話をしていたが寛太には聞こえなかった。
「あの人…なぎこさんのいいひとなんかな…」
「そんなことして…まこちゃん、なぎこさんに悪いよ…」
「いさこちゃんも一緒に覗いてるやん…」
座敷に居た美しい娘は酌をしようとして言った。
「あら、もうお酒なくなりそうですね、取りに行ってきましょうか?」
「あ、いえ…今日はもうこれ位で…」
「そうですか…それではまた、いらして下さいね…」
「ええ、本日はとても楽しかったッス…是非また」
そう言いながら立ち上がったが、久しぶりに気持ち良く酒が飲めたせいか、思いの他酔っていた。思わず足がもつれ、転びそうになる。
「きゃっ! 」
思わず娘は体を受け止めた。
「あの…大丈夫ですか?」
「あっ。面目ありません。大丈夫ッス。」
名残惜しかったが、少し間を置いてから肩にかけた手を離し、座敷を出ようとした。襖の影ではこっそり様子を窺っていた娘達が鉢合わせしそうになり、元気良さそうな娘は襖から一歩下がりながら慌てて言った。
「あっ、もうお帰りなんですか…もしよろしければ珈琲でも如何ですか?代用ですけど…」
かわいらしい娘達だった。廊下に居た二人の娘を優しい目で眺め、微笑みながら言った。
「そうですか…では皆様もご一緒にどうッスか?」
「駄目よそんな事言っちゃ。寛太さん御迷惑でしょ」
一緒に座敷に居た娘は少し咎めるように言ったが、
「あ、いえ自分ならまだ大丈夫ッス。代用珈琲も頂いてみたいッスから…」
自分がそう応えたのを聞いて、廊下に居た元気そうな娘は得意気に言う。
「じゃ、皆でもう少しだけ。私達もお邪魔しますね…ほら、おいで」
と、さらにもう一人の恥ずかしがりやであるらしい娘を促した。自分はいつになく愉快な気持ちになっていたせいか珍しく饒舌になり、武勇伝を面白おかしく語った。
「それで、敵兵が薮の中に潜んでるようだから見て来いって言われてッスね、おっかなビックリで近寄ったらザァって音がして、飛び出して来たのは猪だったんス」
「きゃあ」「あはは!」
それからしばらく三人の娘達と他愛無くも楽しい時間を過ごした。
寛太は夢を見ながら何故か懐かしい気持ちになっていた。ここは心地良い空間だ…
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同日夜
黒猫館
最近は統制が一層厳しくなり、戦況も旗色が悪い事が周知の事となっているらしく、黒猫館に来る兵隊達も殺伐とした雰囲気の者が多かった。ちょっとした事ですぐに喧嘩となり、宥めるのに苦労させられる事も多い。今日もなぎこ、まこ、いさこと上がっている座敷で最初は談笑していた兵隊達であったが、些細な事から大声を出して口論となる。今日は整備班長の須倉が顔を見せていた。気の荒い男で整備兵にしては珍しく搭乗員達にも物怖じせず食ってかかる男である。
「貴様!それでも軍人か!もう一度言ってみろ!」
そう搭乗員から咎められても須倉は平然とした顔付きで言い放った。
「そんな耳しててよく操縦士が勤まるな、何度でも言ってやるさ。下手な搭乗員のせいで俺達は苦労させられてる」
どうやら最近は訓練中に発動機の不調が度々あり、途中で引き返す事が良くあるらしい。
「貴様達の整備がなっとらんから訓練もロクに出来んではないか!」
「そうですかね…数も揃わない、しかも精度の悪い部品に粗悪な油脂に燃料。俺達はその中で最善を尽くしてる。俺達だからこそ今の稼働率が保ててるのさ。これ以上どうしろってんだ」
「そこを何とかするのが貴様達の務めではないか!根性が足りん証拠だ!」
「その根性とやらで…昨日も荒っぽい着陸されてましたね。車輪を破裂させた上に脚を折っちまって…おかげでこちらは徹夜で修理をさせられた」
「何だと!?それ位当然ではないか。この非国民めが!」
「そうですかね…もう特攻に出撃した人達の方がよっぽど巧かった。寛太隊員なんか大事な飛行機をすぐに壊すようなお人じゃ無かったね。どちらが非国民なんだか…」
「聞き捨てならん!やる気か貴様!ちょっと立て!」
今日もまた喧嘩が始まろうとしていた。須倉は知らない顔ではなく、なぎこが宥め、まこが仲裁に入る事でいつもなら収まるのだが今日は双方とも矛を収めず、まこが大声で制止しても効かずに次第に大人数の取っ組み合いの喧嘩に発展してしまった。卓台をひっくり返し、皿が割れる音。日頃の鬱憤が溜まっているのか酔いのせいかは解らなかったが今日の喧嘩はとても収まりそうにない雰囲気だった。
「なぎこさん、どうする?」
心配そうに話しかけるまこは、以前盆で酔客を殴って気絶させた事がある。しかし今日は大人数でとてもそんな事は危険だとなぎこは判断した。
「まこちゃん、だめ!じじさん呼んで来るから!」
なぎこは急いで階段を降り、じじの居る所へ向かった。校長先生に連絡してもらうか…以前預かり物だとか言う恩賜の短剣とやらをチラつかせて酔客を黙らせた事がある。
「じじさん、ちょっと今日のお客さん達喧嘩になっちゃって、収まりそうにないんです!校長先生に連絡した方が良いかも..」
「ああ、そうかい…」
主はなぎこの意に反し、ややのんびりと答えた後部屋の奥から何やら取り出して来た。
「校長先生は今土蔵でお楽しみだ、そんなつまらん事で邪魔しちゃ悪い。これ。いさこに渡して来な。」
「え?これって…太鼓?」
「ああ、酔客なんざ猿と一緒みたいなもんさ。後は…何とかしてくれるだろ」
さすがのなぎこも要領を得ないまま太鼓と二本の撥を持ち座敷へ戻った。
「やめて下さいー!あっ、なぎこさん…」
「ちょっと待ってて!」
まこが何とか仲裁しようと奮闘している。しかし酔いと頭に血が上っているせいか皆聞く耳を持たなかった。座敷の隅でどうして良いかわからずにいるいさこを見つけ、なぎこはとにかく持たされた物を渡した。
「いさこちゃん、これ!じじさんが渡してくれって…」
「え?」
いさこは少しキョトンとした表情であったが、太鼓と撥を受け取ると静かに頷き、大きく息を整えた後、おもむろに身構えた。
次の瞬間。太く、芯のある太鼓の音が響き渡った。
長い連打。思わず先程まで取っ組み合いをしていた皆の動きが一瞬止まる。強い、意志を持った響きに皆我にかえったように耳を奪われる。やがて強い連打は一旦小さくなり再び大きくなった後、その響きは突然速く複雑な拍子へと変貌した。全く予測が付かないその撥捌きに皆釘付けとなる。それは徐々に緩やかな動きとなり、今度は安らかな気持ちに満たされる。それは恰も母の胎内にいた時に聞いた、穏やかな胸の鼓動を思い起こさせた。先程までの喧騒が嘘のように引き、その場にいた全員が、いさこの紡ぎだす音に包み込まれて行く。やがて、静かな余韻を残していさこは撥を納めた。
最後の音を耳に残し、皆言葉を失っていた。取っ組み合いをしていた者同士が今まで何をしていたんだろう?という気配で顔を見合わせる。いさこが遠慮がちに口を開いた。
「あの…皆様いつも本当に御苦労様です…でも、私には今何もしてあげる事が出来ません…だから…」
そこで言葉を切ると、少し逡巡した後、独唱を始めた
『菜の花畠に、入日薄れ
見わたす山の端、霞ふかし…』
朧月夜だった。その心打つ…美しい歌声に皆静まった。その歌声はそれまで白と黒の色しか無く冷たかった皆の心に淡く懐かしい色彩と暖い光を灯した。親しい者や故郷を思い出し涙ぐむ者、顔を見合わせ、互いに先程までの喧騒を恥じ入り、照れ隠しに小突いたりする者。それぞれが魂に響く何かを感じ取っていた。
『我は海の子白浪の
さわぐいそべの松原に…』
続けていさこは「我は海の子」を歌った。淡い色彩はやがて色鮮やかになり、皆の心を染め上げて行った。一人..また一人と歌に加わって行く。つい先程まで取っ組み合いの喧嘩をしていた搭乗員と整備兵も最後は皆で肩を組み大合唱が座敷を包んで行った…
終宴後、帰り際に玄関先で須倉が直立不動で挨拶をした。
「本日は本当に申し訳ありませんでした。非礼な振る舞いをどうかお許し頂ければと思います。なぎこさん、まこさん、そしていさこさん。良い体験をさせて頂き誠にありがとうございます。我々には守るべき物があるのだ…改めてそう実感しております。それでは皆様、失礼致します。」
「皆様…また一緒に歌いましょうね…」
声を掛けたいさこに皆振り返ってにっこり笑って会釈した。
「待ってますからねー!絶対また来てくださいよー!」
まこが元気に声をかけた。
「皆様、どうか…是非またいらしてくださいね…」
なぎこが応える。
きちんと敬礼して帰る後姿を見送るなぎこはそっと呟いた。
「あの中の何人の方が御無事でいらっしゃるのだろうか…」
皆が帰った後館内に戻ろうとすると玄関先にじじと帰り支度をした由布の姿があった。校長先生が座敷の奥からこっそり覗いていたのを見つけていたいさこは慌てて傍へ行き会釈をした。由布は軽く頭を撫で、
「立派になったものだ…」
と一言呟きくるりと背を向けて皆に気付かれないよう帰っていった。いさこにはその言葉の意味が分からなかったがその包み込まれるような優しさだけは感じ取っていた…
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翌日、朝。
奄美大島海辺の村
目が覚めた寛太はまだ寝台の中だった。夢で見たあの場所へはかつて行った事があるような気がするが…夢は自分の失われた過去の記憶だったのだろうか…今日もまだ体が痛く、頭も痛い…しかし窓から少しだけ外が見え、海が近いらしく潮風を感じる。どうしても外の様子を見てみたい欲求にかられ、無理をして足をベッドから下した。まだ足は固定され、関節を少ししか曲げる事が出来ない。両手を寝台に付き、体の向きを変え足を床に降ろし思い切って立ち上がってみる。
「案外痛くない…俺はもう歩けるのか?」
そう思い、足を踏み出した…つもりであったが、体だけが前につんのめり、倒れそうになる。
「きゃっ!」
その時丁度様子を見に来たシオンが慌ててかけより体を支えた。
「だめじゃないですか、無理しちゃ…まだ歩ける体じゃ無いって父も言ってましたよ。」
「ああ、すまない…どうしても…もっと良く外の景色が見たくて…」
「そう…ですか…じゃあ、少しだけですよ..さ、肩につかまって下さい。」
「え?」
「そこの窓まで歩いてみましょうか?」
そう言ってシオンは寛太の腕を自分の肩にかけ、寛太の体を支えながら数歩先の窓まで一緒に歩いた。
「海がきれいでしょう?」
「ああ…きれいだ…」
「寛太さん…」
「え?」
「今は無理しないで、ゆっくり体を休めて下さいね…」
「ああ…そうだな…」
寛太はシオンの肩につかまったまま、ある思いが浮かんで来る事を抑え切れなかった。この国は今戦争をしている。自分と同じ年頃の者は徴兵され戦地に赴いているらしい…もしかしたら自分はこのまま、何も思い出さない方が良いのだろうか…
-続く-
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この物語はフィクションであり、登場する人物や団体の名称等は実在のものとは一切関係ありません...
今回のエンディングテーマはこちら。 「君十七の月ほの暗く」/yuuichikさん
あとがき
最後までお読み頂きありがとうございました。次回は「ぽとまん」編、その後は来年になるかもしれませんが「なぎこの回想」編へと続く予定です。その途中どこかでテーマ曲をCreate&Listenの方にアップしようと思っています〜!
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投稿者 | スレッド |
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zizi | 投稿日時: 2012-11-29 19:22 更新日時: 2012-11-29 19:22 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
kimuxさんいつもすみません。。。 大変申し訳ありません。ご挨拶が遅れました。
ちょっと今週めちゃ忙しいのに風邪ひいてしまって ちょっと自宅のPC触ってなくて.... いつも本当にどうもありがとうございます。 お。kindleはまた形式が違うんですね... 来週末頃には次回作掲示するかもしれません。 あつかましいとは思いつつ、まった宜しければ... また宜しくお願いします〜! |
kimux | 投稿日時: 2012-11-25 22:29 更新日時: 2012-11-25 22:29 |
登録日: 2004-2-11 居住地: 地球 投稿数: 6943 |
Re: zizi通信 10 「水の空に眠る」第七話 電子書籍、Kindle にも対応しました。mobi形式です。
GBUC 共有フォルダ、水の空に眠る、に入ってます。 kanta01-07.epub ... iBooks 用 kanta01-07.mobi ... Kindle 用 epub→mobi変換はKindle Previewer for Macを使いました。 http://www.amazon.com/gp/feature.html?ie=UTF8&docId=1000234621 |
zizi | 投稿日時: 2012-11-14 21:10 更新日時: 2012-11-14 21:11 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
「水の空に眠る」第七話裏話、「アサコさんは...」 その日のスタジオで朝一番に助手達が監督に雑誌を見せながら言った。
鈴木「監督、週刊誌見ましたか?」 zizi「うむ。」 佐藤「この前の記者会見無駄でしたね。」 zizi「うむ。そのようだ。」 鈴木「監督のせいです。途中まで上手く行ってたのに最期にアサコさんと温泉旅館行ったなんて言うから..」 zizi「しかし...あれは何も無かった」 佐藤「そりゃ私達は知ってますけどね。」 そう、あの時監督は寛太がオマタさんと温泉に行ったと知り、羨ましくなって皆を誘ったが 案の定付いて来たのは鈴木と佐藤だけだった。あまりにも寂しいのでアサコさんに 連絡したらスタジオ入りしてて忙しいので夕食だけなら、との事でスタッフの運転する 車でかけつけて夕食だけ済ませてそそくさと帰って行った。滞在時間は30分だった。 それでも監督はとても嬉しかったのでつい先日の会見で口走ってしまったのだった。 しかし週刊誌を賑わすのもコマーシャルになる。とりあえず寛ちゃんの件もこれ以上 もみ消そうとせずに放置しておこうっと。 鈴木「監督、このTV情報誌のアンケート見て下さい!」 見るとなぎこ、まこ、いさこの三人がそれぞれお嫁さんにしたい女優、彼女にしたい女優、 妹にしたい女優のランキングでNo.1に、してアサコさんは女王にしたい歌手No.1の座に輝いていた。 zizi「ふむ。あの四人ならその結果も当然だろう。」 監督は自分のおかげでも無いのにさも自慢げに言った。 佐藤「監督!この雑誌見てください、寛太さんが!」 見るとバラバラ族という雑誌のアンケートで寛ちゃんは彼氏にしたい人No.1に輝いていた。 zizi「...仕方無い...この路線は...今後も続けていくしか...」 監督は最近ようやくメインタイトル曲の制作を終わったばかりで脚本の制作がやや遅れており 腹黒く考えた。年末の賞獲りレースに向けて、男性関係でも何でも良いから 寛ちゃんに話題を振りまいてもらわなちゃ... それにアサコさんは...特別出演にも関わらず裏話で何度も登場させた挙句に 本当は天使のようにものすごく優しくて色が白くて美しいのに私の脚本のせいで 実はキツイんじゃないかとの印象を与えてしまっている... 寛ちゃん。その役は私がやらねばならない。任せておいてくれ。 こんどの放映が終わった時には九九社長に頼み込んで豪華ホテルで忘年パーティを 催してもらおう。そしてそのどさくさに紛れてアサコさんには死ぬほどお詫びしよう... |
zizi | 投稿日時: 2012-11-14 21:10 更新日時: 2012-11-15 20:26 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
重複しており申し訳ありません... 11月14日にこちらの方へタイトルが違うだけの全く同じ内容のコメントを掲示してしまいました。
大変申し訳ありません。 単なるの私の不注意でした。 もしかしたら何か意味があるのかもしれないと裏読みされてあの長い文章を 二つとも読まれた方、本当に申し訳ありません... |
kankan | 投稿日時: 2012-11-14 19:09 更新日時: 2012-11-15 18:18 |
TheKanders 登録日: 2008-1-14 居住地: 投稿数: 2002 |
「水の空に眠る」第七話裏話、「戸田とアサコの関係」 kankanは、まったく本人の許可も得ず、勝手にAsakoしゃんを登場させて、
好き放題に展開し、面白さ優先主義の悪魔のささやきから逃れないでいた。 要するに、すっごくビビッているのだ。でも、やめられない。おーっまいご。 もし、顰蹙をかったら、どうにかzizi監督のせいにできないものか。そればかりを考えていた。それとも「ごめんなさい」と素直に詫びのメルを送りつけるかぁ。 えーーーーいっ。 オマタがリビングに入ってきた。 オマタ「失礼します」 寛太「失礼されます。オマタさん」 オマタ「はい。何でしょうか?」 寛太「♪いろは の い の字はどう書くの? オマタ「。。。」 寛太「♪こうしてこうして、こう書くの」 (と、腰をまわしてみた) オマタ「よろしいでしょうか? 明日、戸田さんが退院するそうです」 寒々としているのに、太陽の日射しだけが眩しい昼下がりだった。 寛太「そう」(と立ち上がった) オマタ「どちらへ?」 寛太「戸田の見舞い」 オマタ「なぜでしょうか?」 寛太「なぜって、ただ、そうしたいから」 オマタ「では、私も準備いたします」 寛太「オマタさんはいい。たまには自分で車の運転したいし、シオナにうまいものでも作っててくれ」 オマタ「承知しました」 車に乗り、シャッターを開けた瞬間、いくつかフラッシュがたかれ、カメラのシャッター音が響いた。寛太は、それを振り切るように車を出した。 寛太は、車ではいつもFMラジオを聴いているが、レオ・セイヤーの「星影のバラード」がかかった。 寛太「Whoa, whoa, Yeah, yeah......♪More than I can say, 懐かしいなぁ」 昔。友達に車借りて、彼女を海行こうって誘って、第三京浜で160km/h出したら、パトカーに捕まった。そんな頃の歌だ。こわいのは交通課の警官ぐらいのものだった。それなりにいい時代だった。 戸田は、まだ頬がこけていたが、元気そうな表情で、寛太に頭を下げた。 医者がいうには、栄養失調だそうだ。 戸田「本当にすみませんでした」 寛太「。。。お前、結婚しろ」 戸田「。。。すみません。実はもうしているのです。高校生の娘もいます」 寛太「。。。」(えぇーっ。まじ?) 戸田「でも、今は別居中です。。。(間)。。。どうも家庭に馴染まないというか、仕事していると、家に帰ることを忘れるというか。妻が実家に戻って、自分は安マンション借りてるって。。。こんな話、寛太さんにするの初めてですよね。仕事が恋人みたいなものです。もちろん、社長もこのこと知ってます。この前の休みは、家庭サービスの真似事でもいいからやってみろってことだったんだと思います。でも。。。」 寛太「わかっているのに、その安マンションで、感情のない快楽に溺れていった。。。」 戸田「はい。仕事の上では、人間同士の感情があったり、そういうのをそういうものだと対応できるのですが、いや、もちろん完璧に対応できているわけじゃないですが、プライベートってことになると、一切の感情あることに対応できないというか、結局は逃げてしまっているのです。そして、自分はそんな自分に満足してるんです。妻にもちゃんと送金してるし、手持ちのお金にもぎりぎりながら、なんとかできているし。。。べらべらべらべら」 今日の戸田は饒舌だ。たった一言いってしまったために、渓流のように話し始める。寛太は、戸田に人間味を感じた。 寛太「お前は、オレのマネージャーだよな」 戸田「はい。ダメですか?こんな私では」 寛太「まず、お前に訊きたい。お前が危篤だと聞いたアサコさんがオレになんていったと思う?あなたが身代わりになっても、戸田を助けて。。。こう言った。なぜだ?」 戸田「えっ?何それ?。。。あぁーっ。いけねっ。忘れてた。マイケル・ジャクソンのコレクション。。。いえね。スポンサーの担当の方がちょっと相談があるから来てくれというので伺ったら、実は、奥さんが男を作って、出て行ってしまった。未練はまったくないので、奥さんのものを全て処分してほしいってことだったんです。奥さん、マイケル・ジャクソンの大ファンだったらしく、レコード、CD、写真集、DVDやら、いろんなものがわんさか出てきて、自分もそれほど興味がないので、業者を頼んで処分してもらうことにしんです。そんな処分前日、アサコさんとたまたま、スタジオで会って、そんなこんなの話をしたら。それ、譲ってって、目の色を変えてきまして、はい。いいですよ。取っておきますってことになって。。。そうだよなぁ。あれ以来、アサコさんと会ってないものなぁ。すっかり忘れていた」 寛太「それは今、どこにあるの?」 戸田「安マンションの押入れ」 寛太「それが理由で、俺に身代わりになっても戸田を助けろと。。。昔の人はよく言ったものだ。美しいものには棘がある。まったく不条理。。。戸田。お前、何ニタニタしてるんだ」 戸田「。。。そんなアサコさん。割と好きなんだよなぁ」 寛太「勝手にしろ」 戸田「ところで寛太さん。これは何なんですか?」 (と戸田、写真雑誌を寛太の目の前に広げた) 続オカマVS美女マネ 自宅が 遂にリング場に。 火花散る対決。血走るのは血なのか体液なのか?! その夜、何が起こった?! 戸田「さっき、売店で見て、びっくりしましたよ。どうなってるんですか?」 寛太「お前が入院したから、すぐまたオマタさんが来てくれた。その日、ジビッシュのママが寿司持ってやって来た。それだけさ」 戸田「それだけって?」 寛太「それだけさ。なんか朝まで楽しく二人で飲んでいたみたいよ。。。朝なんか、ふたりで仲良く朝食作ってるんだぜ」 戸田「訊いていいですか? 実のところ、寛太さんは二人と、そのぅ、肉体関係あるんですか?」 寛太「ジビッシュのママは曖昧ながらたぶんない。オマタさんは残念ながらない」 戸田「うーん。社長やるなぁ。このスキャンダルが続く限り、連続ドラマも寛太さんもWin&Winなんですよ。マスコミなんて真実が何かなんてのはどうでもいいんですよ」 寛太「記事とか報道できて、読者や視聴者に注目されればマネージングできるからな。んで、読者や視聴者から見ての俺の人格っちゅうもんはどうなるのよ」 戸田「おわかりのように、使い捨て」 寛太「訳わからん雑誌では、寛太&シオナの近親関係とか見出しがあるみたいだし。それがお袋や妹に触れたら、俺はもう、お地蔵さんになるか、出家するしか未来はない。戸田。俺は一体、何、悪いことしたぁ?なーーんにもしてない。したいけど、ナッシング。そして飽きたら、ぽい。用無し。。。」 戸田「みんな、なんだかんだ言って、自分とか仲間とか家族とか会社とか。。。国家とか、自分から離れているものから、使い捨てなんですよ。戦いなんですよ。私はこれまで、いろいろ使い捨てにされました。でも、もう使い捨てはさせない。私は入院している間に思ったことです」 なんなんだ、このコケた頬での奮起は。不気味だ。 戸田「俺は負けない。俺はまーーーけなーーーい」 ちょっと、戸田が危ない。痙攣している。ベルでナースを呼んだ。 ナース「どうしました。あっ。また、あなた」 寛太「間寛太です。。。連続ドラマ「水の空に眠る」の主役。。。...」 ナース「ちょっと出て行ってもらえますかぁ。せっかく明日退院だっていうのに。患者さんを刺激する面会人さんが一番、困るのよね。あらあら。失禁までして」 ナースのお尻が、こいつどけろと言っていた。 寛太「よ、よろしくお願いします」(と言って病院を出た) 戸田は、退院を一日遅らせて、どうにか退院した。 天候が不安定で、どしゃぶりの日だった。 アサコ「戸田さん。どうか死なないで。お願い。オー! マイ・マイケル」 ってことか。 |
zizi | 投稿日時: 2012-11-3 6:09 更新日時: 2012-11-3 6:09 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
キム教授へ キム「監督。今回も作業終わりました。どうです。これ?」
zizi「ああっ!小型愛版じゃないですか!」 (注:以前ipadみたいなヤツの事を「愛板」と表しましたが「愛版」の方が適切かと思い 今回より「愛板」と表記致します:どうでも良いか...) キム「ふふふ。そうです。九九社長の自信作です。」 zizi「しかし大きさが何とも微妙ですね...」 キム「何て事言うんです。愛本よりも大きくて愛版よりも小さい。見事な出来映えです。」 zizi「....私に下さい。」 キム「...嫌です(キッパリ)」 zizi「サンタさん...家にはりんご社の製品を何か御願い致します...」 |
zizi | 投稿日時: 2012-11-3 6:06 更新日時: 2012-11-3 6:12 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
第七話裏話の監督 ふう。疲れた...今日は久々にスタジオで寛ちゃんの収録だった...
やはり彼が居ると場がいやらしく...いや盛り上がる。 久々に皆で飲みに行こうと思い三女優を誘ったがやはりダメだった。 なぎこは最近児童文学の世界にも活躍の幅を拡げており忙しくなっている。彼女は 「すみません。これから成田へ直行しますので。メインテーマ曲の制作さぼらないで下さいね。」 と念を押す事を忘れなかった。今回主役のいさこはいつものパラディロルの手を休めずに 「私生きてます。ちょっと他で色々やる事があるので」とだけ言った。 zizi監督は過去にいさこの子役時代、既に業界に確固とした地位を築いていた彼女と番組制作に 関わった事でこの業界に名が知れた、という恩義がある。その言葉には服従するしかない。まこは 「う〜ん。これから深夜番組の収録で...ごめんなさいね。」 彼女に嫌われると自分はもうスタジオに居場所は無い。深追いはしなかった。 しかし寛ちゃんはゲンさんを誘った。久々にメートルが上がりそうな気配だった。 ようし!今日は朝まで飲み明かしてやる!つもりだった...が... 戸田ちゃんが倒れてしまったのだ。急遽ルカちゃんを呼び寄せたが病院では 邪魔者扱いだった。可哀想に...あ、いや戸田ちゃんが。 シオナちゃんと一緒らしいアサコさんも心配だけど... 後は寛ちゃんにまかせて今日はもう寝よう....あ、ルカちゃん何か連絡あったら教えてね。 あ、あれれ?ジビッシュが音信不通に?仕方ない....少し待とう... |
zizi | 投稿日時: 2012-11-3 4:43 更新日時: 2012-11-3 4:43 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re[2]: SCRAPSさんへ 須倉氏デビュー! 勝手にすみません(笑)
私の一方的なイメージなのですが、SCRAPSさんは職人気質のような気がしたもので... ほう、そうですか、御手先が器用なんですね、羨ましい... 自分はどうも不器用で、プラモデルとか好きなのに巧く出来なくて、色塗ってて 細いラインをハミ出させては「あ〜もう」とかいつも嘆いてました(笑) AE86を三台も!当時私も乗りたかったんですがね〜、クーラー無しの軽自動車に 乗ってました(笑)。最近某漫画で一躍有名になりましたよね。 カートはレンタルに息子と一緒にたま〜に行きます。この前行った時ついに長男 (中三です)にラップタイムで敗れてしまって...面目まるつぶれです。レンタル用 なのでリミッター掛かってると思うのですが、コース幅が結構ある場合って アウト-イン-アウトよりもインべタで廻った方が早いんですかね?いや私のような 素人には結構スピード感を感じますが実際にはサホドではなくて距離短く走った方が 早かったりするのだろうかと疑問を生じてしまっています(無駄に長い話すみません)。 あと亡くなられた義父が昔テーラーやってて、仕事場が残ってて独特の「香り」 がありましたね。結婚する時にスーツを一着仕立てて頂きまして、今では形見と なっており一生大事に着るつもりです。 恋話から失恋へ...いや〜どうでしょう(爆) こちらも長くなってしまいました。また宜しく御願い致します! |
kimux | 投稿日時: 2012-11-3 0:31 更新日時: 2012-11-3 0:31 |
登録日: 2004-2-11 居住地: 地球 投稿数: 6943 |
Re: zizi通信 10 「水の空に眠る」第七話 第七話を追加した EPUB 形式の電子書籍を GBUC 共有フォルダに置きました。
「水の空に眠る」フォルダの "kanta01-07.epub" です。 今日届いた iPad mini で読みましたよ〜。 |
kankan | 投稿日時: 2012-11-3 0:31 更新日時: 2012-11-3 0:31 |
TheKanders 登録日: 2008-1-14 居住地: 投稿数: 2002 |
「水の空に眠る」第七話裏話、「戸田、死ぬな」 ♪赤とんぼ。赤とんぼの羽を取ったら
アサコ「♪ミサイル」 シオナ「何よ、それ。笑えない」 アサコ「笑えないよね。なんで笑えないんだろ。ねぇ。シオナちゃん」 シオナ「はーい」 アサコ「私、太ったァ?」 シオナ「前のアサコさん知らないし。太ってるふうにも見えない」 アサコ「ウエストがね。気になるんだ。なんかデブになったような」 シオナ「ふーん。デブね。じゃぁ。みんなデブだ」 アサコ「何言ってるのよ。若い子、みんな痩せてるし。シオナちゃんも」 シオナ「えぇへっ。アサコさんの方が痩せてるけどなぁ」 アサコ「晴れた空って、いいわねぇ。みんなの空。いいえ。私とあの方の空」 シオナ「ねぇ。アサコさん。。。」 シオナ、返事しろよって思った。 シオナ「私、村の美しい娘って役なんだけど、美しい?」 アサコ「ブス」 シオナ「やっぱねぇ。やっぱ北海道帰ろうかなぁ」 アサコ「シオナは、好きな男の子いるの?」 シオナ「好きな男の子は何人かいるけど、これってのはいない。雅がいい」 アサコ「そうよね。やっぱ雅よねぇ」 シオナ「雅は誰がいいんだろ」 アサコ「決まってるじゃん。わ・た・し」 シオナ「だめ。だめ。わたしよ」 二人は、晴れた秋空の下の芝生を転げ回った。 シオナ「アサコさんの胸、あったかい」 アサコ「うるせぇ。おめぇの方が大きいじゃないか」 シオナ「アサコさん。ライブやらないの?見たい。聴きたい」 アサコ「東京、戻ることが出来たらと思ってるけど。。。」 シオナ「叔父さんが、アサコさんのライブ、いいって言っていた」 アサコ「寛平さん、、アヘッ、じゃなく寛太さんだっけ? が?」 シオナ「超ブスで、超音痴で、へたくそで、最高だぁって言っていた」 アサコ「あんにゃろ」 シオナ「東京でいろいろライブ行ったけど、札幌と変わらないね。数が多いだけで。感じるライブを見たい。っとか言って、隅々まで見たわけじゃないけど。シオナ、ほんとは踊りたいんだ」 アサコ「じゃぁ。踊ろ」 シオナ「えっ?どこで?」 アサコ「ここで。ここでよ。決まってる。どこでもいつでもよ。ほらっ。踊れ。仔雅。腰を振って。今、今生きてること。きっと、それが大事なんだよ」 シオナの携帯電話が鳴った。 シオナ「もしもし。誰?えっ。叔父さん?受信悪いぃ。えっ?戸田さん?が? えぇ?何?何怒ってるの? うん。もうキモいなぁ。よく聞こえないって。早口で言わないで。何よまったく。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。えっ?戸田さんが死んだぁ?」 アサコ「シオナちゃん。ちょっと電話変わって。。。もしもし。寛平さんじゃなくて、寛太さん。お久しぶり。情況、ちゃんと説明して。。。危篤状態なのね。今、戸田さんに死なれちゃまずいの。なんとかして。」 寛太「。。。ぶつぶつぶつ。なんとかしろたって」 アサコ「なんとかして。あんたの命と差し替えても。そのためだったら、私、何でもする」 シオナ「アサコさん」 アサコ「ごめんねぇ。こめん」(とシオナを抱きしめて泣く) 携帯電話の向こうの寛太「もしもし。おい。切れてるのかよ。オレに、戸田の代わりに死ねってかぁ」 寛太「戸田。死ぬな。ほらっ。ルカちゃんだよ」 看護婦「邪魔です。いい加減、あっち行っててもらえますか?」 むーーーーっ。戸田とアサコの関係。謎だ。 |
kankan | 投稿日時: 2012-11-3 0:13 更新日時: 2012-11-3 0:23 |
TheKanders 登録日: 2008-1-14 居住地: 投稿数: 2002 |
「水の空に眠る」第七話裏話、「喧嘩。やれーっ。やれーっ」 よっしゃ、今日は、久々のスタジオ収録。
実は、当日にならないと台本ひらかないんだよね。 いいねぇ。三人娘との共演。そして、喧嘩。がははっ。 あれ、喧嘩シーンで、なんでおいらの出番がないの。 とか思いながら、夢を見た。 寛太「本当に大丈夫なんか。この戦機」 と、足で蹴飛ばしながら言った。 整備士「はい。たぶん。いえ。大丈夫であります」 寛太「これって、行ったら死ねってことだよな」 整備士「そん、そんなことはないであります」 寛太「お前にはそんなことなくても、そんなことなんだよ」 整備士「すみませんであります」 寛太「謝るな。謝るなら、自分が本意でやったことにだけ謝れ」 整備士「自分は、自分は、この戦機に自分のできる精一杯を。。。」 寛太「泣くな。お前が泣けば、この戦機の信用度が下がる」 整備士「くくくくくっ」 寛太「お前にとって、今、この戦機は最上なんだな」 整備士「できることはすべてやりました」 寛太「それでいい。オレはこの戦争のすべてを信じていないが、お前を信じる。今日から一切、訓練はしない。本番間で油を差しておいてくれ」 整備士「はい。(泣く)よかった。あなたが、ぶんなぐらない人で」 寛太「みんな、運命?そんなもんを背負っているんだよなぁ。お前、お前の名前は? 名前? なーまーえー。な^^^^ぇ^^^」 寛太は目覚めた。 寛太「ちと。芝居に入り過ぎ」 戸田(運転しながら)「寛太さん。お目覚め」 寛太(目をこすりながら)「なに?戸田?オマタさんは?」 戸田「夢でも見てたんでないの。昨日からずっと一緒じゃないの」 寛太「そのためぐちはまさに戸田。オマタさんが。。。」 戸田「もうすぐ、スタジオですよ。寛太さんをスタジオなんて久々」 寛太(バックミラーを見ながら)「おめぇ。すっげやせたなぁ。別人みたい。休みの間、何やってたんだ」 戸田(気取りながら)「そりゃ。プライベートっしょ。」 寛太、戸田の頭を思い切り、ぶんなぐる。 寛太「どこでも行け。二度と顔を見せるな。クルマ、止めろ」 きーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ ガクッ。 戸田「すみません。。。寛太さんのマネージャーやらせてください」 寛太「お前なんざ、仕事なきゃ、ただの屍だっちゅーの」 戸田「はい」 寛太「クルマ、出せ」 戸田「はい」 ====================================================== 久々のスタジオ。戦前のセット。 おっ。なぎこちゃん。いさこちゃん。まこちゃん。 華やか華やか。ドラマってこうあらねばねぇ。 zizi監督「うははっ。来たね来たね。って、ここで会うのが久々ってだけだけど」 寛太「メイクさん、変わったね。ちょっと事務的で適当」 zizi監督「あぁ。メイキャップ・プロさんの方で。いろいろあったみたいで。若いスタッフに入れ替えたみたいね」 寛太「照明さんの顔ぶれも違うし。。。音声さんは一緒だ」 zizi監督「昔みたいに、同じスタッフでってことができなくなったみたいでねぇ」 寛太「おおっ。大道具のゲンさん。ゲンさぁーん」 ゲンさん「なんでぇ。寛さん。来てたのけぇ」 寛太「来た来た。もう、寂しい島のロケばっかりでさ」 ゲンさん「したっけ。いい思いばかりだっけさぁ」 寛太「いやいや。虫干しさぁ」 ゲンさん「なんか。週刊誌騒がしちゃってさ」 寛太「いやぁ。話だけ。もう、面っヅラばっかりさ」 ゲンさん「このうぉ、このうぉ」 寛太「ゲンさん。ナグリ貸して。あそこの壁、開いてる」 ゲンさん「あっ。ほんとだ」 寛太「おれ、直す」 ゲンさん「何、言ってるだ」 寛太「おれが。。。ナグリ貸して」 ゲンさん「だめだ。あんたに直させるわけには。。。」 寛太「おれが直す。ゲンさん。直させてぇ」 ゲンさん「なんねぇ。なんねぇ。こっちゃの仕事だ」 寛太「直させろ。。。ゲンさん。お願い。おれ。淋しいんだ」 =================================================== 喧嘩シーン、始まった。 寛太「おぅ。やれやれ。思い切ってやれやれ」 戸田「参加したいんでしょ」 寛太「別に。おれにふりかった喧嘩じゃない」 戸田「でも、やりたいんでしょ」 寛太「あのなぁ。おれは、もめごととか争いごととか、そういう面倒臭いことが大嫌いなんだ」 戸田「面倒臭いけど、やりたい。目をみればわかります」 寛太「あのなぁ。喧嘩したいんじゃないんだ。喧嘩になる気持ちがわかる。そうだろ。整備士も特攻隊も、その時を一生懸命、いや必死で生きていたんだよ。必死だから喧嘩にもなる。。。」 戸田「喧嘩にならない時代が来るんでしょうか? 現在もあんまり変わってないですよねぇ。人間って愚かなんでしょうかぁ?」 寛太「なんか、やつれた姿のお前から言われると妙に迫力。た、た、たぶん。愚かだと思う。でも、愚かって概念も人間が作ったもんだからなぁ。自然世界でも、弱肉強食だし、仲間でも殺し合ったり当たり前だし。喧嘩も戦争もなくならないって考えてた方がいいんじゃないかぁとか思う」 戸田「寛太さん。すんません。タメ口で言います。まともに真面目に答えるなぁーーーーっ。このっ」 =================================================== zizi監督「はい。カット。OK」 助監督の佐藤「皆様。お疲れ様でしたぁ」 寛太「いさこちゃんもまこちゃんも帰っちゃったの?そう」 戸田「深夜番組のゲストなんですって」 寛太「なぎこちゃんは?」 戸田「ダメですよ。海外ロケで、このまま直行、成田だそうです」 寛太「久々のスタジオなのに。これだもんね」 zizi監督「お疲れ、お疲れ。寛ちゃん。さすが女性とのからみ、いいねぇ。なんか目線がリアルなんだよね」 寛太「そういう、まじスケベ的発言しないでくれます?」 zizi監督「はいはい。久々に、ビジッシュで飲みましょうか」 寛太「ジビッシュかぁ。ジビッシュねぇ。」 戸田「寛太さん。ジビッシュのママから電話です。出ます?それとも忙しいって切ります?」 zizi監督「おぉ。おれが出る。出る。。。ママァ。行くよ、今から。もちろん。面白い子、揃えておいて。寛太?もちろん。ガツンよ。ガツン」 戸田、右手と左手の人差指をくるくる回している寛太に「ガツンですって。ガツン」 寛太「ガッツン。カツンね。カツン。カックン」 zizi監督「行こっ」 寛太「戸田ぁ。クルマ、回せ」 戸田「がってんでぇ」 寛太「おぉ。ゲンさん。一緒に行こ」 ゲンさん「どこへ?これからセットのバラシだぜ」 寛太「いいって。若いのがやっちゃうって。今夜はゲンさんのケツの毛まで抜かせちゃうって。すべて、お任せさせてちょ」 ゲンさん「いやぁ。そりゃいけねぇ。仕事だから。わしがいないとスタジオなんともうまくいかねぇって。悪いがわしは。。。」 寛太「うるせぇ。ゲンさん拉致。戸田。クルマ。出せぇ」 zizi監督「いいね。こういうの」 ジビッシュに着くころには、寛太もzizi監督もゲンさんも、妙に盛り上がっていて、ハイになっていた。クルマが店の前で止まった。 ビジッシュの店の前では、ママが小膝を抱えながら迎えに待っていた。 ジビッシュのママ「もう、寒い寒い。膝上100cmのスカートよ。待たせないでっていうのに、もう。。。」 ジビッシュの女?の子一同「いらっしゃーーいまっせ」 寛太、zizi監督、ゲンさんが、クルマから降り、店に入った。 そんなときだった。戸田が意識不明になったのは。 ジビッシュの女?の子のひとりが声をかけた。 「戸田さん。いつもお疲れ。。。戸田さん。戸田さん。どうしたの。ねぇ。ママーーー。戸田さんが。。。」 |
SCRAPS | 投稿日時: 2012-11-2 21:38 更新日時: 2012-11-2 21:47 |
ターミネーター 登録日: 2007-1-27 居住地: 宮崎市 投稿数: 1424 |
Re: zizi通信 10 「水の空に眠る」第七話 お、ついに須倉の登場でしたか(笑)
一体どんなヒドイ人間として登場するのかと、内心ちょっと楽しみにしていたのですが、結構まともな職人気質の人でしたね。 三好マネージャーが地団駄踏む様子が頭に浮かびましたw 現実世界の私は職人ではありませんが、実は職人向きじゃないかとよく言われます。生き方は不器用なのに、手先だけは昔から器用でその上何でも作ることが好きなんです。 裁縫の心得は家庭科の授業程度なのに、ある日思い立ってシャツを作ってしまったこともあります。しかも原型から型紙を自力で起こして。ナポリの手縫い仕立てのサルトリアに、あるいはサヴィル・ロウのテーラーになった自分を妄想しながら(爆) あと他にも、昔趣味で作っていたものをネットで公開していたらいつのまにかちょっと有名になっていて、ワードプレス社の「世界の傑作◯◯」という某ムック本で並み居る一流ブランド品の中に混じってなぜか私の作品が紹介されちゃったこともあります。 そんなわけで、頑固な職人気質の整備兵として描かれているのも納得。っていうか意外に核心をついているような気もしてびっくりでした。 ちなみに学生時代にはレーシングカートをやってましたし、免許とってからはAE86を3台乗り継いで整備は全部自分でやってました。 あ、読み返したらなんだか自分のことばっかり書いてました……orz スミマセン。m(_ _)m それにしても校長先生、なぜか須倉も恋話に持って行こう行こうとしてますねぇ(笑) しかも最終的に失恋させようとw |
zizi | 投稿日時: 2012-11-2 20:34 更新日時: 2012-11-2 20:34 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re[2]: 由布司令官殿へ どうもありがとうございました!
私も最近帰宅後はあんまり覗けてないんですよ...なので早朝に出入りしています(笑) 朝の連ドラは面白いのといまイチなのと周期があるような気がしますね。 しかし通勤途中に申し訳ありません!運転には注意して下さいね。 いやいや三人娘は大和撫子です。そんな乱暴な...あれ?盆で殴った... いやこれは正当防衛で無罪です。 太鼓のシーンは、このエピソードを思いついた時最初に書き始めた部分です。 ここは自分でも思いの他文章がスラスラ出てきましたね。その後に続く独唱の部分... 実はこの「晴らしき國ニッポン ー春・夏ー」は私にとってYsaeKさんの歌声との ファーストコンタクトだったんです。その時の印象が強く残っていて、これも すぐにこのエピソードに絡めようと思いつき企んでおりました。 須倉氏は、職人気質で気難しい男ですが根は良い男なのでしょう。 恋話は...どちらかと言うと飛行機のエンジンに向かって話かけるような タイプなので難しいかもしれません(笑) 寛太のシーンは...自分ではそのつもりは無いのにそういう風になってしまう... 嬢に...あ、いや情に厚いオトコなんですよ。きっと。 校長先生の土蔵でのお楽しみは...「じじ」は蓄音機でレコードでも聴いてるんだろうと思ってますが もしかしたら...黒髪の人形の着物をはだけさせ聴診器を当ててたりして(爆) 大丈夫です。ここの構造は内側からも鍵を掛けられるようになってます。 くれぐれも鍵の閉め忘れには御用心を〜! >いさこの頭を軽く撫でさせてくれた演出 本来であれば自分がこの役をやりたかったのですが前作に続いての ええカッコしいは職権乱用というもの。諦めました(爆) それではあんまりサボってるの見つからないように宜しくまた今後とも宜しくお願いします! |
yuuichik | 投稿日時: 2012-11-2 15:57 更新日時: 2012-11-2 16:21 |
校長 登録日: 2004-2-16 居住地: 投稿数: 2404 |
Re: zizi通信 10 「水の空に眠る」第七話 最近は会議という名のもとの残業続きで疲れ果ててます(^_^;
GBUCを覗くこともままならない・・・。 自宅からだと疲れ切ってコメントできないので、職場の休憩時間から〜♪ 朝通勤途中の車の中で、信号待ち毎にiPadで読みましたよ。 ziziさんのこの小説、ホントに楽しみです。 「梅ちゃん先生」が終わって、続き物で楽しみはこれしかありません(笑) 今回いさこが、こう活躍するとは!! > 屈強な酔客兵士vsいさこの戦いを描いたアクション大作 とあったから、てっきり、まことのW真空飛び膝蹴り炸裂かと。 良い意味で裏切られました(笑) そうだった。ここは音楽サイトなのだと思い直しましたw 文章表現も、さらに洗練されてきましたね。 いさこの太鼓と唄の描写が秀逸でした。 この座敷シーンだけで短編映画が撮れそうです。 なぎことまこの性格付けもこなれてきましたね。 須倉 歩さんがこういう役で出演とは! なかなか一本筋が通っているところがSCRAPSさんらしい(笑) ぜひ恋話につなげてください(笑) > 校長先生は今土蔵でお楽しみだ こ、これはいったい、どんなお楽しみをっ!?(笑) 蔵の中でのお楽しみと言ったら・・・、 奥の大きな筺を開けると、着物を着せた黒髪の人形が・・・(爆 それはともかく、今回は寛太の登場シーンがいいですねぇ。 夢の中のイメージと戦う寛太。 よろけて、なぎこ・シオンに抱きつく寛太・・・。 役の上では好青年だが、実際はエロいkanさんならではの味が出てます(笑) 次回ぽとまん編が、どう展開するのか。楽しみです♪ あ、「心の娘」いさこの頭を軽く撫でさせてくれた演出に、感謝♪ もうこんな時間っっ! 休憩時間とっくに過ぎてる。 仕事戻りま〜す |
zizi | 投稿日時: 2012-11-2 6:34 更新日時: 2012-11-2 6:34 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
裏話の登場人物等 これまでコメント欄での裏話等に登場している本編登場人物以外 updateしました。
戸田:芸能事務所NAK社所属、寛太のマネージャーだが... オマタ:芸能事務所NAK社所属、戸田に代わり寛太のマネージャーとなる。 鈴木:監督助手その1、唐揚弁当事件で一旦クビになる。 佐藤:監督助手その2、会議で監督を援護せず不興を買う。 鈴木の彼女:地味な女子。 ルカ:ziziの仕事用邸宅に居るボカロちゃん。アンドロイドなのか? 九九社長:大スポンサー、りんご電算機株式会社社長。愛車はミ○・イース。 キム教授:時代考証担当顧問 樋渡満記:樋渡干記の兄 三好:須倉氏の美人マネージャー nak社長:愛車はリンカーンコンチネンタル それでは宜しく御願い致します。 |
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