BGM-P さんの日記
2012
11月
2
(金)
00:17
本文
遠い日の約束
bgmpは北海道生まれ。
中学時代の毎週土曜日、習い事に通うため学校から家まで走って帰らなければならかった。
その道には、必ず隣のクラスの晶子さんがいた。彼女は心臓病で唇は暗い紫色。走ることは許されず、いつもたった一人でゆっくりと歩いて帰宅していた。
bgmpは、その並木の一本道で彼女を追い抜いて走るのが辛かった。追い越しざまに彼女にかける言葉は「また来週ね!!」と。それは1年以上続いた。
やがてbgmpは、親の転勤で引越し、海を渡り本州へと転校した。
「また来週会おうね」と、毎週挨拶を交わした晶子さんともそれっきり。
時々夢に見た。
あのプラタナスの並木道を一歩ずつ噛み締めるように一生懸命歩いていた、か細い後ろ姿を。
生きているのなら再会し、一緒に並んで歩くことのできなかったあの日の自分をあやまりたい。
再び会う約束も叶わず、黙って故郷を去ったことをずっと心に残していた。
bgmpは年齢と時代を重ね、やがて音楽投稿のネットサイトに参加するようになっていた。
顔も名前も年齢もプロフィールも出さず淡々と自作の曲を公開するうちに、あるイラストレーターが偶然にbgmpのページをたびたび訪れるようになった。
ある時、bgmpがあの晶子さんをテーマにした歌をエピソード付きで公開した時、彼は「妹にこの歌を聴かせたら、昔、妹のクラスにも心臓病の生徒がいたそうで、いろんな思い出話をしてました。そのクラスメイトは高校に入ってまもなく亡くなったそうですけど。」とのメッセージが届いた。
bgmpは何気なく質問を返信した。「ご出身はどちらですか?」
すると「北海道の田舎町です」と。
・・・やがてbgmpは知る。彼の妹はbgmpと同じ学校・同じ学年・そして隣のクラス。…晶子さんのクラスメイトだった。
本当に偶然というのはあるものなのだ。
この電子の網の中で、名前も年齢も地域も顔も何も知らぬまま、音楽だけで繋がった相手が、何十年も昔に同じ道を同じ学校に通い同じ友人と関わっていた。そしてそれを知ったことは同時に、晶子さんがすでに亡くなっていたという悲しい事実を知ることでもあった。
その偶然を生んだ音楽サイトはその後突然消滅し、イラストレーターとの交流も途絶えた。
幼い日の想い出は「約束」という曲に形を変えて偶然の出会いをもたらし、その結末を告げたあと、また幻のように消えてしまったのだった。
夢を叶えるように、あの日の遠い約束を叶えたかった。
この歌を歌うたびbgmpは故郷の浜辺と並木と、晶子さんを想う。
bgmpは北海道生まれ。
中学時代の毎週土曜日、習い事に通うため学校から家まで走って帰らなければならかった。
その道には、必ず隣のクラスの晶子さんがいた。彼女は心臓病で唇は暗い紫色。走ることは許されず、いつもたった一人でゆっくりと歩いて帰宅していた。
bgmpは、その並木の一本道で彼女を追い抜いて走るのが辛かった。追い越しざまに彼女にかける言葉は「また来週ね!!」と。それは1年以上続いた。
やがてbgmpは、親の転勤で引越し、海を渡り本州へと転校した。
「また来週会おうね」と、毎週挨拶を交わした晶子さんともそれっきり。
時々夢に見た。
あのプラタナスの並木道を一歩ずつ噛み締めるように一生懸命歩いていた、か細い後ろ姿を。
生きているのなら再会し、一緒に並んで歩くことのできなかったあの日の自分をあやまりたい。
再び会う約束も叶わず、黙って故郷を去ったことをずっと心に残していた。
bgmpは年齢と時代を重ね、やがて音楽投稿のネットサイトに参加するようになっていた。
顔も名前も年齢もプロフィールも出さず淡々と自作の曲を公開するうちに、あるイラストレーターが偶然にbgmpのページをたびたび訪れるようになった。
ある時、bgmpがあの晶子さんをテーマにした歌をエピソード付きで公開した時、彼は「妹にこの歌を聴かせたら、昔、妹のクラスにも心臓病の生徒がいたそうで、いろんな思い出話をしてました。そのクラスメイトは高校に入ってまもなく亡くなったそうですけど。」とのメッセージが届いた。
bgmpは何気なく質問を返信した。「ご出身はどちらですか?」
すると「北海道の田舎町です」と。
・・・やがてbgmpは知る。彼の妹はbgmpと同じ学校・同じ学年・そして隣のクラス。…晶子さんのクラスメイトだった。
本当に偶然というのはあるものなのだ。
この電子の網の中で、名前も年齢も地域も顔も何も知らぬまま、音楽だけで繋がった相手が、何十年も昔に同じ道を同じ学校に通い同じ友人と関わっていた。そしてそれを知ったことは同時に、晶子さんがすでに亡くなっていたという悲しい事実を知ることでもあった。
その偶然を生んだ音楽サイトはその後突然消滅し、イラストレーターとの交流も途絶えた。
幼い日の想い出は「約束」という曲に形を変えて偶然の出会いをもたらし、その結末を告げたあと、また幻のように消えてしまったのだった。
夢を叶えるように、あの日の遠い約束を叶えたかった。
この歌を歌うたびbgmpは故郷の浜辺と並木と、晶子さんを想う。
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投稿者 | スレッド |
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BGM-P | 投稿日時: 2012-11-23 2:48 更新日時: 2012-11-23 2:48 |
ケンシロウ 登録日: 2011-10-9 居住地: 投稿数: 545 |
potmanさんへ。/ 遠い日の約束。 コメントありがとうございます。
呼び寄せる・・・そういうのって魅力。 怖いもの・不穏なものは視界に入れません。 不思議なものは不思議なままに受け入れます。 でも。 私の場合「集客能力」は無い ...(T_T) 知り合いと、思いがけない別の場所で出会うのは 楽しい驚きだったり感動だったり感慨だったりします。 金骨ブラザースさん、わ〜そうなんですか。 potmanさんの周りにはさすが、何気なく個性的な方々がいらっしゃるんですね。 |
potman2 | 投稿日時: 2012-11-5 20:44 更新日時: 2012-11-5 20:44 |
ターミネーター 登録日: 2010-5-23 居住地: 東京 投稿数: 1451 |
Re: 遠い日の約束。 BGM-Pさんの場合、呼び寄せる何かがあるんですね。
ここGBUCでも「広瀬正」とか「登戸」とか、いっぱいありますね。 ワタシもこの奇跡の空間GBUCでは金骨ブラザースの代表者が、かつて同じ職場で 働いていたヤツだったという事がありました。 彼らが数曲アップするまで気がつきませんでした。 |
BGM-P | 投稿日時: 2012-11-4 0:44 更新日時: 2012-11-4 0:44 |
ケンシロウ 登録日: 2011-10-9 居住地: 投稿数: 545 |
ziziさんへ/遠い日の約束。 ziziさん、ありがとうございます。
私にはなぜこのようなことが起こったのか未だにわかりません。 ただ生きているというだけで、不思議なことが起こるものですね。 私自身は、この曲を歌い晶子さんとの想い出のエピソードと共に公開して それで私一人のごく個人的な思い出話で終わる、と思っていたのです。 まさか、そこに後半の結末までエピソードが続くとは そのとき想像もしませんでした。 あの頃の自分は、なぜもっと普段に、あの晶子さんと交流していなかったのだろう、 他の皆が彼女を、ガラス細工を見るように遠巻きにしていたのを、 私は同じクラスではないというだけで、同じように敬遠していたのだと思う、 ・・・と。 おばちゃんは一人、空を見上げてため息をつくのでした・・・・。 |
zizi | 投稿日時: 2012-11-3 4:03 更新日時: 2012-11-3 4:03 |
登録日: 2008-4-25 居住地: 投稿数: 3247 |
Re: 遠い日の約束。 そのような体験をされてあったんですね...
ネットワークの世界に偶然の出会いをもたらしたこと...これは偶然なのでしょうか、 それともBGM-Pさんの「心残り」により導かれたのでしょうか、この科学技術の結晶 の上に成り立っているSNSの世界にもなにかこう...何と言葉にして良いのか適切な語句が 思い浮かびませんが、偶然を積み重ねて「挨拶」を交わしたのでしょうか... とても印象深いお話しでした。きっと晶子さんも気に留めていてくれた事、 理解されてあったのではないでしょうかね.... |
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