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zizi さんの日記

 
2013
8月 11
(日)
07:29
Blue mirage 第2話
本文
Blue mirage 

第2話

2013年 4月 -1


桜の花はもう散ってしまって、クラス替え直後のそわそわした教室の雰囲気も落ちついてきた頃。中学二年生になって一週間後、部活を辞めたボクは無気力だった。

「ジジ、ちょっと来い」

終礼が終わって、ボクは担任の須倉先生に呼ばれた。授業中居眠りしてたから怒られるんだろう。
「じゃ。生徒会の仕事あるから。また後でな」
悪友で学級委員のユーイチが声をかけてくれた。
「大丈夫、たいした事じゃないから」
そう応じたものの、ため息が出る。ヤツはボクと違って頭も良く、ギターが上手くて教えてもらったり、一年生の頃はよく一緒に遊んでいたんだけど、二年生になって生徒会活動もやるようになり、塾にも通ってるから最近あまり一緒に遊べなくなって来た。だがユーイチなりにボクの事心配して声をかけてくれたんだろう。ボクは席を離れ、スクラップ...あ、これは須倉先生のあだ名で皆こう呼んでる。そのスクラップ先生の前に立つと説教が始まった。

「ダメだろあんなに堂々と居眠りしちゃ。遅くまで何かやってるのか?」
「はい…すみません。その…ラジオ聴いてて…」
「オマエ最近ボケっとしてるぞ。吹奏楽部に戻る気は無いのか?伊沙子君言ってたそうだ。ジジは戻んないのかって」
「それはもう…そのつもりはありません」
一年の時同じクラスだった伊沙子の部活への本気度は凄い。一生懸命やってるし音楽的センスも優れてるからいずれきっとコンミスにでもなるだろう。
「オマエ、もう音楽はやらないのか?」
「…音楽は好きですけど…部活でってのはちょっともう…あっ、合唱部は勘弁して下さいね、だって男子いないじゃないですかぁ」
ボクはてっきり合唱部に入部を勧められるかと思って先手を打った。しかしこの時、スクラップ先生は三階の教室から隣の校舎の一階の隅に一瞬、視線を走らせただけだった。
「そうか…仕方ないな。分かった、もう言わないからもっとシャキっとしろ。居眠りの罰として教室のゴミ片付けてゴミ置き場まで持って行って来い」
「はい。わかりました」
ボクはスクラップ先生の嘆き節が聞こえる教室をノロノロと後にした。

そして、この後...ボクにとっての大きな事件が起きた。

家に帰ってもボクの胸は高鳴り、この時の出来事を誰かに伝えたくなって、かと言って学校の友達や両親には話すワケにも行かず、いつも聴いている「kankanラジオ局」にメッセージを送った。この番組のDJ,kankanさんとドモンジョさんはサイコーだ。

//

DJ.kankanさん、ドモンジョさん、こんにちは。リスナーのジジと申します。中二です。番組いつも楽しく聴いてます。

今日、とても素敵な出来事がありました。昨日夜遅くまでラジオ聴いてたから、居眠りしちゃって先生に怒られて、罰として放課後教室掃除を一人でやらされたんです。で、片付けが終わってゴミ捨てに行って、音楽室の前を通ったら綺麗なピアノの音が聴こえてきたんです。何故だかわからないけど、その音はこう...凄くボクの心を掴みました。

誰が弾いてるんだろう?と思って中を覗いたら、前に見かけた事のある隣のクラスの可愛い女の娘が弾いてたんです。まだ名前も知らないんだけど...ついゴミ捨てを忘れて見とれていたら、通りかかった先生に「何してるんだ!」って怒られて。大声で叱られて、気になってチラっと音楽室を見たら、あの娘も気づいてこっちを見てて。クスっと笑ってました。でもその笑顔がとても可愛くて素敵でした。

実はボクも子供の頃少しだけピアノを習ってました。練習が嫌ですぐ辞めちゃったけど…だけどクラシック音楽は今でも好きで、最近ラジオ聴くようになってロックやポップスも好きになって来て、最近よく父さんが持ってる古いロックのCD聴いたりしています。フォークギターも中学生になった時買ってもらって、持ってるけど...ごめんなさい、最近全然練習してません。でも、でも今日あの娘のピアノを聴いて、あの娘と同じ趣味を持ってるんだ、と思うだけで何だか楽しくなって来ました。音楽って本当に良いもんですね!

でもその娘の事を考えると動悸が早くなって少し息苦しいような感じになるんです。これって病気なんでしょうか。もしかしたら胸の病気にかかっているんでしょうか。教えて下さい。

それではまた、楽しい番組を聴かせて下さい!

//

こんな感じ。そしたら番組でこのメッセージが読まれたんだ!DJ.kankanさんとドモンジョさんのボクへのメッセージはこうだった。

//

動悸。それは、胸に住んでいる木こりさんが木を切っているのです。
あなたの本当の心の木を、あなたに見せるために、周りの木を切っているのです。

でも、あなたが歪んだら、木こりさんは、本当の木も切ってしまうかも知れません。気を付けてね。

//


この時、ボクはただあの娘のピアノが聴けたらそれで良かった...


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投稿者 スレッド
zizi
投稿日時: 2013-8-14 5:52  更新日時: 2013-8-14 5:53
登録日: 2008-4-25
居住地:
投稿数: 3257
 拝啓ドモンジョ様
(御説明:鈴木と佐藤は監督助手です)

今年の夏は暑い。スタジオもとにかく暑い。

zizi監督「お前ら。今年の夏は暑すぎる。何とかしろ」
鈴木「そ、そんな事言われたって...」
佐藤「監督、アイスでも買って来ましょうか?」
zizi監督「そうだな、じゃオマエ三個買って来い。オレが奢ってやる」
鈴木「え?珍しいですね、監督が我々に奢ってくれるなんて」
zizi監督「珍しいは余計だ。ホレ」

佐藤、監督が出した1000円札をおしいだき、ひとっ走り。やがてコンビニ袋を下げて帰って来た。

佐藤「監督、どうもありがとうございました。いただきま〜す」
zizi監督「き。貴様....なんだよこれ!」
鈴木「え?どうしました?」
zizi監督「何でハーゲンダッツなんて買ってくるんだオマエ!いくらすると思ってるんだ!普通ここはガリガリ君だろうがよ!」

あまりのセコさに辟易し、難儀している所に監督のホットラインが鳴った。

zizi監督「ハイ。もしもし。ああ、ドモンジョさん?ええ...ええ、今回はホント感謝してますよ。いやいやドモンジョさんいつも面白い事ばっかり言ってありますがナカナカの才媛ですな...いやご謙遜を...え、ええ、いつか一緒に夜明けまで飲み明かしましょう。ええ、約束です。それじゃ、今回はどうもありがとうございました。ハイ」
鈴木「誰です?」
zizi監督「ん?ドモンジョさんとDj.kankan氏だ。スタッフと一緒に飲んでるらしい。あ、それの請求書来たら...」
佐藤「わかってますよ、いつものように一旦受け取っておいて後で書留で送り返すんですね」
zizi監督「いや...ウチで持ってやるんだ。」
鈴木「ど、どしたんです?らしくないじゃないですか。いつもの腹黒さは...」
zizi監督「どういう意味だ。いいか、勘違いすんな。あの二人がいなかったら今回の物語は生まれなかった」
佐藤「はい。そうでしたね。ドモンジョさんには感謝ですね」
zizi監督「それにだ。彼女なら...色々...局のアナウンサーとかレポーターとか知り合いかもしれんだろ。飲み会に連れて来てもらうんだ」
鈴木・佐藤「じぇじぇじぇ〜!」
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