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SCRAPS さんの日記

 
2013
3月 30
(土)
23:20
ガラクタ通信 その5
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さてさて、文字通りガラクタみたいな(色んな意味でね)私が綴るガラクタ通信のその5でございます。
私は元々、音楽に関しては作るより聴く方が専門で、作ることに関しては経験が浅く、音楽好きが高じて作ってみたんでちょっと聴いてもらえませんかといったスタンスでGBUCに登録しました。そんな訳で寡作ですと言い訳しておきます。言い訳の機と見れば逃さず言い訳するタイプです。

それで聴くことについては、マニアックというほどではないですが、これがもう非常に雑食なんですね。
どうしてそんなことになったのか振り返ってみれば、どうやら源流をたどるという癖があるからだと思われます。好きなミュージシャンがどんな音楽の影響を受けてきたのか、好きな音楽はどんな系譜上に位置するのか、そんなことが気になってどんどん源流をたどってしまうのです。
そんな訳で、音楽を聴くという行為は私にとってはしばしば旅……、それも時代や文化を横断するような時空間旅行に似ているような気がします。なぜなら新しい音楽が大きく変化する背景にはしばしば異文化の出会いや歴史が深く関わっているからです。(注:ここ、本人はカッコいい感じで言ってるつもりで失敗してるパターンです)

たとえば私たちが普段耳にしている音楽の多くは、アメリカの音楽から派生していますよね。アメリカの音楽を形作ったのは、ヨーロッパとアフリカの音楽の出会いです。
主にイギリスの植民地として、戒律の厳しいプロテスタント系(英国国教会はカトリックとプロテスタントの掛け合わせみたいな宗教らしいですが、大雑把に言うとプロテスタント)の支配下にあったアメリカの黒人奴隷たちは、ドラムを禁じられていたそうです。というのも、黒人コミュニティの間だけで通用する通信手段であり、コミュニケーションツールとも言える、トーキング・ドラムによって逃走の計画でもされては困るということだったようです。実はアメリカの音楽(後のブルーズやジャズやR&R)の発展にはそのことが非常に重要だったりするわけですが。
しかしアフリカから持ち込まれた音楽はいわゆるコール・アンド・レスポンスという形式のワーク・ソングとして残ります。やがて南北戦争と奴隷解放運動後、軍楽隊の払い下げ楽器が安価で出回ることにより、黒人たちはついに楽器を手にするのですね。
ギターやバンジョー(これは瓢箪に弦を張ったような簡素なものだったそうですが)、比較的恵まれた環境の黒人の中にはピアノを弾ける人も出てきます。彼らの演奏する音階はアフリカ由来の音感を西洋楽器で演奏できる音階に置き換えたものとなり、それがいわゆるブルー・ノートということなのでしょう。(かなりザックリ書くと、メジャースケールの3度と7度(後の時代には5度までも)がなぜか半音くらい低い)
ということは、西洋音楽で和声進行しながらブルー・ノート・スケールのフレーズを歌ったり弾いたりすると不思議なことになりますよね。無理やりコード的に説明すると、Cのコード(ド・ミ・ソ)のはずなのに、ブルー・ノートでは第3音が半音下がっている(ミの音がフラットする)ので、組み合わせるとメジャーとマイナーが同時に鳴っている(無理に言えばadd♯9thのコードということになるのでしょうか)という不思議な響きになります。
西洋の音楽に教育され調性に縛られた耳からすると、この調性感の無さ解決感の希薄さっていうのは衝撃的だったはずですよね。

さて一方、北米に先駆けて100年も前から奴隷貿易が行なわれていた中南米はスペインやポルトガルなど、戒律の緩めなカトリックの国々の植民地でした。こちらではドラムが禁止されることなく、音楽は独自のミクスチャーと進化を遂げ、多種多様なダンス・ミュージックが生まれます。
北米とは対照的に、中南米で多様性に富んだダンスミュージックが百花繚乱とも言える状態なのはそんな背景があったからなのですね。

アメリカに話を戻しますが、奴隷時代にアメリカの黒人たちは一度リズム感を失うわけなんですね。そしてリズムに関してはもっぱらカリブ海経由でアフリカから輸入したリズムに頼るようになるのです。
※余談ですが、私の大好きな奇才ヴァン・ダイク・パークスの「Discover America」という名盤があるのですが、このアルバムでカリブの音楽がフィーチャーされているのはとても興味深いことだと思うのです。まさに「Discover America」なのです。



Steelband Music / Van Dyke Parks

そこから生まれたのがケークウォークやラグタイムという音楽。これが画期的だった点はシンコペーションの導入です。今の時代の人間からするとまるでシンコペーションしているようには聞こえないでしょうが、何しろアメリカの黒人たちは一度リズム感を失っているわけですから、ラグタイム程度のシンコペーションであっても革命的だったのでしょう。このシンコペーションがジャズを生み出すきっかけとなったのですから。
初期のジャズはシンコペーションを楽しむダンスミュージックでした。ダンス・クレイズと呼ばれる熱狂的なムーブメントが爆発的に広まります。
その反動で反ダンスミュージックとして生まれたのがブルーズだと言われています。また、ジャズも変化し続け、やがてはダンスミュージックでは無くなっていくのですが。
要は、リズムに関して輸入物に頼っていたのでアメリカの音楽のリズムはどんどん変化し続けたのですね。

こんな具合に、音楽には系譜があります。それが楽しくてどんどん辿っていくと、大陸間を縦断したり横断したりするかのようにあちこち行き巡ってしまうのです。結果的にどんなジャンルが好きですかと質問されても答えに窮するという雑食状態になってしまいました。

ではこの辺で現代の音楽の源流とも言える、アフリカの音楽をちょっと紹介。
アフリカのコンゴ地域の森の民、ピグミーの音楽は非常に洗練されていて高度なものなんです。テクノやエレクトロニカを好きな人もミニマルが好きな人も是非聴いてみて欲しいです。







さぁ、これを聴いた後に例えばこんなの聴いてみたらどうでしょう。なんとなく、アフリカの面影みたいなものが感じられる気がするのですが……。私だけかな。アフリカとヨーロッパがアメリカで出会い、イギリスの若者たちによって消化(昇華?)された音楽です。



The Rolling Stones / We Love You

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投稿者 スレッド
SCRAPS
投稿日時: 2013-4-2 21:39  更新日時: 2013-4-2 21:39
ターミネーター
登録日: 2007-1-27
居住地: 宮崎市
投稿数: 1424
 Re[2]: gigoさんへ ガラクタ通信 その5
gigoさん、コメントどうもありがとうございます。
私が自分のこと博識でもマニアックでもないなと思うのは、gigoさんみたいな方がいるからなんですよね。こういうホントにマニアックな人が、GBUCには何人かいらっしゃいますけども。(笑)

確かに今の時代の情報の伝播速度や手段って、何かが熟成したり定着したりするのに必要な時間や場所がありませんよね。
それはそれで音楽のありようというのがあるわけですが、今後、昔生まれた音楽を超えて広く長く歌われるようになるのかというと、疑問です。

「芸者ノート」の話、面白いですね。12平均律に飼い慣らされていない微分音がイスラム文化圏から来ているのかどうかは私も分かりませんが、その辺のルーツ、ちょっと興味がわきますね。アラブなどイスラム圏の人にとっては西欧の12音音楽は物足りなく感じると聞いたことがあります。
そういえば、以前このブログで紹介した菊池俊輔氏の作曲による「電人ザボーガー」のボーカルは実は微分音が使われていることで知られているんですよ。

戦後の昭和歌謡は結構アメリカの流行をいち早く取り入れていたりもして、影響が大きいですね。フランク永井はラテンの要素も入ってくるわけですが、遠い極東の地でものすごいミクスチャーが起こっていたんだなと思い、不思議な感じがします。

ピグミーのウォータードラムは手のひらをちょっと丸めて空間を作ってパコパコ水面を叩いたり、じゃぶじゃぶ水をかき混ぜたりして音を出してますね。
We Love Youはまぁ、極端な例というか、アフリカの音楽からこんなトコロまで来ましたよという一つの例として出したんですが、あまり説得力がなかったでしょうかw
ま、わたしはどことなく残り香のようなものを感じたのですけど。
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