lost in translation

9:ロスト〜ネタばれ含む
Laloop 08/09 19:38
ちょっとリクエストがあったので、映画のほうのlost In Translationのレビューを書いたのでのせます。

タイトルは「翻訳の際に生じる損失」のような意味だろう。これは直接は
「日本へやって来た主人公である中年のハリウッド・スター」、ボブがCM撮影をしているとき、彼が直面させられる困難(ディレクターの指示をいい加減な通訳が勝手につくって彼に伝えることでひどく消耗させられる)の場面を指しているのだろう。いわゆるギョーカイの滑稽な日本人や西洋人から見れば奇妙なサイバー都市トーキョー。これらへの違和感も主人公によってユーモラスに強調される。しかし、この映画のテーマはそんなところにはない。

ボブは東京に滞在中の若い女性・シャーロットとやがて知り合う。が、ボブもシャーロットもそれぞれの妻・夫と仲が悪いわけではないのにすれ違いぼんやりとした孤独感を感じている。何もうまくいっていない。言葉が通じても、同じ国の人間でも、おそらくは愛し合っている人間どうしでもなんらうまくいっていないのだ。異国での不自由や違和感、孤独感それらはあって当然だし、とても分かりやすい。ところが「翻訳の際に生じる損失」がないはずの人間同士でも違和感や孤独感は依然としてお互いの間に横たわったままなのだ。
結局のところ、別の人間である以上、ある『翻訳の際に生じる損失』はついてまわる。それでも、恋愛ですらないような二人の関係の中で彼らは何かの感覚を共有するのだ。とぼとぼとしたつたない会話の中で。そこがとても美しい。

あとはビデオ(まだ出ていないかもしれませんが)で見てね。サントラももちろんお奨めします。

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